「四月一日さん家の」レビュー

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日常
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評価 ★★★☆☆(41点) 全12話

あらすじ 子どもの頃に母を失い、1年前に父を失った三姉妹、四月一日一花、四月一日二葉、四月一日三樹の日常を描く。引用- Wikipedia

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やっぱりVが好き?

本作品はVTUBERによるドラマ作品。
ドラマと銘打ってるものの、VTUBERが出演しており、
フルCGで制作されているため、当サイトでは「アニメ」として扱う。
監督は住田崇、湯浅弘章、渡辺武、太田勇と複数人だ。

笑い声


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

この作品は簡単に言えば日常ものだ。三姉妹の暮らしの中での何気ない会話であり、
「バーチャルさん」とは違ってシチュエーションが
しょちゅう変わったりするわけではない。「家の中」という状況すら変わらない。
そんな中で「笑い声」が聞こえてくる。
三姉妹が普通の会話をしてるだけなのになぜか笑い声が聞こえてくるのだ。

例えば1話では冒頭ではこんな会話をしている

「お坊さん何時に来るの?」
「11時って言ってたよ」
「11時か~、ふふふ、11時ってお坊さんが1番似合う時間だよね」

HAHAHAHAHA!

と特に爆笑するような会話劇ではない。この作品はいわゆる「シットコム」だ。
有名所で言えばフルハウスや、やっぱり猫が好きなどがわかりやすいが、
ああいうホームコメディでまるで観客が居るような笑い声を入れることで、
そのボケをよりおもしろき見せようと共感を誘う手法だ。

しかし、これが悪手としか言いようがない。
これが現実の人間が行ってるコメディドラマならお客さんの存在が居ても
「見てる人がいるんだなー」という感じがあるが、
VTUBERが演じ、フルCGで描かれてる世界に人間の笑い声が入ってるのは
強い違和感しか無く、笑えるものも笑えなくしている。

笑い声を入れること自体は否定しないが、いくらなんでも入れ過ぎだ。
ここぞという時に「笑い声」が入るならば、笑いの共感を誘うこともできるが
3分に一回くらい入れてるんじゃないか?と思うほどの笑い声の多さは、
やや厳しいものがある。

シリアスなシーンでも笑い声が入ってるくることもあり、狂気だ。
父親が亡くなり、長女である「一花」が二人の妹の母親になろうとする話がある。
長女だから責任を感じる時があり、父親の遺言を見つけるものの
そこには何も書いていなかった。自分が何をしていいかわからなかったと。
自分がしっかりしないとと思い、自分の遺言書まで残している。

ここに笑うところなど1つもない。だが笑いが入る。正直意味不明だ。
どこが笑いどころなのか?と何回か2話を見返したが、
何度見返しても笑いどころではないところで笑いが入っている。
狂気でしか無い。

これで笑いがなければ、シリアスなシーンからのコメディなシーンという
切り替わりで笑うことができるが、シリアスなシーンでも
笑い声が入ることで、笑いところが混乱してしまう。
脚本自体は悪くないのに、笑い声のせいでその脚本の良さすら消えている

中盤辺りから笑い声だけでなく「え~?」みたいな声も入れてくる。
笑い声でさえうまくつかいこなせていないのに、他の声も
うまく使いこなせるわけもなく、薄ら寒いだけだ。

目がチカチカする


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

時折あからさまにキャラクターのフレームレートが落ちて
「カクカク」して目がチカチカする感覚に陥るときがある。

あえてかくかくした部分を残してるのかもしれないが、
そういった「カクカク」が良さにはなっていない。
なめらかな動きのvtuberも増えている中でこの不自然なカクカクさは
逆にわざとらしさすら感じてしまう。

vtuberでフルCGだからこそのカクカクで、
vtuberだからこその雰囲気を出そうとしている感が凄い出てしまっている。
5年前に「みならいディーバ」という生でアニメを作るという目的の作品があったが
あの作品と比べてもカクカクが目立ってしまっている。

同じvtuberの作品である「バーチャルさん」はCGだからこそ
様々な状況やシチュエーションを作り、
CGだからこそできるシーンづくりをしていた。
だが、この作品はCGだからこそのシーン作りができていない。

さらに言えば3人のメインキャラのうちの一人が
白黒の「ボーダー」を着ており、これが余計に目をチカチカさせてくる。
表情もあまり変わらないため、正直、映像を見ずにボイスドラマとして
聞いていたほうが楽しめそうな感じすらある。

やっぱり猫が好き


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

公式側も「やっぱり猫が好き」をオマージュしてると明言しているため、
あの作品をVTUBERでやるという企画意図なのは分かるが、
あの作品が面白いのは「もたいまさこ」「室井滋」「小林聡美」の
3人の持つ空気感と演技力の賜物といってもいい。
台詞を間違えてもそれすらもアドリブで笑いに変える「実力」があった。

3人のVTUBERの演技力自体はそこまで問題がない。
だが、3人のうち有名所は「ときのそら」ぐらいで他の二人の知名度は薄く、
二人のうちの一人はドラマの1話放送時にはチャンネルすらなかった新人だ。
2019年11月現在にはチャンネルは開設されているが、
殆どが生放送の雑談のみの動画であとは四月一日さんちの関連の動画くらいだ。

正直、どっから連れてきたんだと言う感じの否めないキャストだ。
ある程度有名所も集めていた「バーチャルさんは見ている」とは違い、
3人しか出ていないのに有名所が一人しか居ない。
ちょっとよくわからない感じの配役になっている。

本人たちの本来のキャラクターもよくわからない。
ある意味でドラマの中の配役になりきるという意味では、
本人たちの本来のキャラなどどうでもいいのかもしれないが、
それならばvtuberを起用した意味もわからなくなる。

「やっぱり猫が好き」はあの3人だからこその空気感や演技力で面白さが合り、
だからこそ「焼き肉を食べる」というような日常の話が面白かったが、
この作品は何気ない日常というよりかは毎回何かが起こる感じが強く、
オマージュでありながらオマージュになりきれていない。

アドリブ


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

ただ中盤くらいから制作側もキャストも「慣れた」感じが出ている。
特にそれがよく現れているのは「アドリブ」だろう。
あきらかにアドリブとわかるアドリブや自然な反応をしているシーンが
中盤以降からは増えてくる。

このアドリブが増えることによって、この作品だからこそ、
この3人だからこその「空気感」が生まれてくる。
二人がどうでもいい話をアドリブでしている中で、
長女がその会話を「うるさいなー」という表情で聞いている。
これでシーンを成り立たせることできちんと空気感が生まれている。

7話のようにあくまでも何気ない日常の中で3姉妹のキャラを活かしつつ、
アドリブの会話を混ぜつつ、親が居ないという状況を生かしたストーリー展開と
しんみりとさせる部分もある内容は、
この作品だからこその面白さを感じさせてくれる。
序盤にはなかった空気感と良さが7話あたりからにじみ出てくる。

笑い声SEも序盤に比べて減っており、適切な箇所で入っている。
見る側が「慣れた」という部分も大きいかもしれないが、
序盤に比べて中盤以降は制作側も視聴者も「こなれた」からこそ、
この作品の良さが前面に出てくる。

8話など姉妹のどちらがチョコレートを多く食べたかで喧嘩してたかと思えば
長女が古畑任三郎のまるで似てないモノマネをはじめたと思えば、
ザコシショウバージョンの古畑へと変貌し、
最後はしんみりできるエピソードに着地する。

序盤では感じにくかった脚本の良さが
中盤以降からはきっちりと感じることができる。

結婚


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

この作品は1話のラストで次女が「結婚する」と宣言し、
その「次女の結婚」を主軸に物語が進んでいく。
父の一周忌に結婚報告し、時には結婚相手から送られた鮭で一騒動起こったり、
結婚に備えて漫才の練習をしたり、1年間3人だけで暮らしていたからこそ
次女の結婚が寂しかったり。

日常作品ではあるが環境の「変化」を予感させることで、
その変化に伴うストーリーをきちんと描いている。
そして最終話。結婚式を明日に控えた「三人姉妹の最後の共同生活」の日だ。
1クール掛けていろいろな騒動があり、喧嘩もした。
そんな中でついに来た別れの日だ。

そんな日は普通の日だ。本当に普通の日常会話を繰り広げる。
「最後の晩餐」で何を食べる?という話だ。
ある意味で三姉妹にとっての最後の晩餐でもあるが、
ちょっとしんみりした雰囲気を出しつつも「結婚前夜」の家族の姿を描いている

序盤で見つけた「母のカレー」のレシピを使い、カレーを食べる。
そこには5人分用意されている。この演出は卑怯としか言いようがない。
「家族」の最後の晩餐だ。
家族5人で食べるカレー、もう実現することはできない家族での食事を
次女の結婚前夜に再現し、家族で食べる。

そんなしんみりとした雰囲気を醸し出しつつも、
結婚前夜に何度もかかってくる彼の電話にいいタイミングで邪魔をされることで
それがきっちりとコメディになり、話をしんみりとさせすぎない。

話のオチも「漫才」だ(笑)
いい雰囲気で終わらせることもできるのに敢えて最後までコメディを
貫くのはこの作品らしく、気持ちのいい終わり方になっていた。

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総評:右肩上がりに面白くなっていく


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

全体的に見て色々と惜しい作品だ。
序盤は「シットコム」お決まりの笑い声の違和感が非常に強く、
カクカクしたCGの動きや、目がチカチカする次女のボーダー服など、
作品の内容以前に厳しい部分が多く、そこに慣れるまでやや時間がかかる。

しかし中盤以降は制作側も演者も視聴者もいろいろな部分に「慣れる」ことで
この作品本来が持つ「脚本」の良さが光だし、
しんみりとさせる話も多いなかできちんと三姉妹のキャラも立ち、
笑わせてくれる話も多くなる。

そして1クールで「次女の結婚」というストーリーをきちんとまとめている。
結婚相手とのトラブルや愚痴、次女が結婚するという寂しさや
両親が居ない三姉妹の境遇などを生かしたストーリーを描き、
最終話は思わず涙腺を刺激される展開までありつつも、
最後はコメディできっちりと締めている。

前半だけだと15点くらいの作品だが、後半から最終話にかけて70点くらいの
作品になったような右肩上がりに面白くなっていく感じを味わえる作品だ。
もう少し早い段階でこの面白さが出てくれば多くの人に
受け入れられたかもしれないだけに序盤で色々と欠点が目立ってしまっているのが
残念な作品だ。

VTUBERで「ドラマをやる」という新しい試みの作品なだけに、
序盤は試行錯誤してる感じも強く、中盤からはそれが落ち着き面白くなる作品だ。
今からもし見る人は序盤は様子を見て中盤辺りまで見てもらうと、
この作品の良さがしっかりと伝わってくるかもしれない。

個人的な感想:序盤は…


引用元:(C)「四月一日さん家の」製作委員会

序盤は本当になんだこの作品という感じが強かったが、
6話辺りから潮目が変わってきた感じのある作品だ。
試みとしては斬新であり、バーチャルさんは見ているとは比べ物にならないほど
作品としてしっかりしたものになってはいるものの、
序盤の欠点が色々と目立つ部分だけが色々ともったいなさを感じてしまう。

それにしても次女のボーダー服だけは最後まで慣れることができなかった。
あれは心底目に悪い(苦笑)
静止画状態でもいわゆる「錯視」のような感じになってしまっており、
CGで白黒のボーダーを描く弊害みたいなのをひしひしと感じてしまった。
もう少しCGの質が良いか、ボーダーの幅が広ければ問題なかったかもしれないが、
最後まで目をチカチカさせてくる最悪な服装だった。

気になるのはVTUBERとしてろくに活動してない「猿楽町双葉」の存在だ。
この作品のためにどっかから連れてきて、VTUBERをさせた感じが強く、
動画の投稿もほとんどされていない(苦笑)
彼女の活動が今後どうなるのか地味に気になってしまっている私が居る。

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