鬼灯の冷徹

2016年6月29日

評価/★★★★☆(61点)

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これぞ地獄系日常アニメ

原作はモーニングで連載中の漫画作品
アニメーション制作はWIT STUDIO、監督は鏑木ひろ。

始まって早々「稲川淳二」によるナレーションが流れる。
簡単なこの作品での地獄の説明なのだが、
これまた「稲川淳二」という人物と声の魅力でお陰でぐっと作品の世界観に引き込まれる
事前情報がない状態だと「稲川淳二」という人物だけで怖い作品なのかな?と感じさせる
だが、その引きこまれた世界観から1度拒絶される。

そのナレーションの後にめちゃくちゃ明るいOPが流れる(笑)
キャラクターが腕を振りながら「ここは地獄、地獄、地獄、素敵な地獄♪」と
稲川淳二で作り上げた雰囲気はどこいったというギャップで冒頭1分で少し笑ってしまう
オセロの表裏を一瞬にしてひっくり返されたような気分になるすばらしい演出だ

そして始まる本編、はっきりいって「ゆるい」作風だ。
この作品はいわゆる「日常系」に属するような作品で
閻魔大王の補佐官を務める鬼、「鬼灯」を主人公に彼目線での地獄の日常を描いている
時には地獄に攻めてきた桃太郎と子分たちの就職斡旋したり、時には現世を見たり、
地獄の諸問題を日々活躍していく。

強烈なギャグ要素と呼べるギャグは少ない。
妙に「現代感覚」を持ち合わせる地獄のキャラクターの日常は、
設定が地獄というだけでファンタジー要素はそこまで強くなく、淡々と日常を描いている
同僚たちとの会話や問題を起こすキャラクターたちの問題を解決する中で
あくまでも「日常の中のギャグ」として描いているためコメディ作品ではありながら
ギャグが連発されるようなシーンは少ない

それが逆にいい。
わざとらしいボケ、テンションが無駄に高いツッコミ、勢いに任せた荒唐無稽な展開、
そういった「最近のギャグ作品」にありがちな要素がひとつもなく、
淡々とボケてひっそりとツッコミ、粛々と展開していく
勢いに任せていないだけに時折、1つ1つのボケが間延びしている部分も多いのだが
その間延びした感覚が不思議な「間」と「癒やし」を生んでおり
ギャグ作品では使い捨てされがちなキャラクターが丁寧に描かれる

ドSな鬼灯、のんきな閻魔大王、桃太郎の家来たち、
愛すべきキャラクターたちがしれっとボケるからこそ
なんともいえない笑いを産んでおり、見ている間、ニヤニヤとした表情のまま
時折クスクスと笑える内容に仕上がっている
そんな雰囲気の中で時折「強烈なギャグ」がぶっこまれて爆笑してしまう。

更にパロディネタ、非常に細かいネタから分かりやすいネタまで
様々なネタが話の中にふんだんに取り込まれている
パロディ自体は有名なモノからのパロディが多いため分かりづらいことはないと思うが
「しれっと」パロディとして扱っているため元ネタを知らなくとも問題がない
物語の中であくまで「自然」にパロディネタを取り入れており、
妙にジブリネタが多いのは気になるところではあるが、逆に分かりやすく面白い

ただ話によって「間延び」しすぎている話もあり、当たり外れもある。
キャラクター描写がしっかりしてるからこそ間延びしててもダレはしないものの
淡々とした空気感の中で飽きてしまう方も居るかもしれない
この作品の「良さ」そのものが「欠点」でもあり、
好みが分かれやすい作品でもある。

本来はもう少しテンポを良くしてもいいはずだ、
1話30分の中で2話構成から分かる通り、
この作品は「1話15分」枠の作品でも良かった
のんびりしたテンポは作品の空気感を作ってはいるものの、
ストーリーの起伏やメリハリが薄く、のんびりしすぎている印象も拭えない。
後半に慣ればなるほど、その感覚が強くなってしまうのも厳しいところだ

サブキャラクター数も多いだけに、どのサブキャラが出るかによっても話の面白さが違う
これでテンポが良ければサクサクっと次の話に変わるので気にならないだろうが
のんびりしたテンポであるがゆえに外れの回のときにダレてしまっている感じが強く
話的に似たような話も多いため、もう一歩踏み込んだ内容がほしいと感じてしまう

全体的に見て作品の空気感が素晴らしい雰囲気だ。
「地獄」という舞台設定からは想像しがたい日常系は強烈なギャグやボケは少ないが
だからこそ癒やされる作品になっており、決定的な「面白さ」は感じないものの
作品全体として「なんとなく面白い」雰囲気を醸し出しており、
その雰囲気の中でキャラクターが動くことでクスクスっとした笑いに繋がり、
キャラクターに愛着が持てる作品に仕上がっている

恐らく見ている間に色々と問題点や気になる部分を感じる人は多いだろう
だが、そういう「気になる」部分を気にしつつも何となく見てしまう。
ふわ~っとした作品の空気感に飲まれたまま最後まで見終わることの出来る作品だ
1話ごとのインパクトは薄いのだが、作品としての印象は残る

ただメリハリの無さや強烈なギャグの少なさは嫌いな人はとことん嫌いな作品だろう
特に中盤以降の話の当たり外れは大きく、テンポの緩急の付け方も弱い
キャラクターを使い捨てにしないからこそキャラクターに愛着をもてるが
同時にキャラクターがどんどん増えていくため、
キャラクター自体が外れの場合は、そのキャラの回の時も外れになってしまう。
見る人によって好みのキャラクターは違うと思うが、
好きなキャラクターが出る回は単純に面白く、
特に好きでもないキャラクターが出る回は微妙な場合が多い。

個人的に桃太郎の犬の「シロ」がいちいち可愛かったw
犬としての本能によるボケや妙な可愛さがキャラクターとしてたまらず
彼?が出る回は個人的にはツボだった
また「閻魔大王」の弄られ具合も素晴らしく、ドSの主人公の本性も発揮されるため
いろいろな意味で愛すべきキャラクターだ。

あくまでもこの作品は「ギャグアニメ」ではなく「日常アニメ」を見る感覚で見れば
大きな肩透かしは喰らわないはずだ。
話を見る中で好きなキャラクターができれば、そのキャラが出る回は楽しめる。
もう少しテンポさえ上げれば気にならなくなる部分も多いだけに
2期があるならばもう少しだけテンポを上げて欲しい作品だ
正直、30分枠なら1話の中に3つエピソードでもちょうどいいと感じてしまう

売り上げ的に考えれば2期の可能性は高いだろう。
色々と改善点はあるが、2期ではいい感じに改善されることを期待したい
なおアニメでは描かれていないがシロの日常を追った話もあるらしい
個人的には物凄くそれがみたい・・・w
本当に外見的にはただの犬なのだが、ここまで愛着が出てしまうキャラクターの魅力と
小林由美子さんの素晴らしい演技を是非見ていただきたい。