聖剣使いの禁呪詠唱」

2015年4月20日

評価/★★★★☆(65点)

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真面目にふざければ駄作はここまで面白くなる、綴るっ!

原作はライトノベルな本作品。
ちなみにタイトルの読み方は「いけんつかいのワールドブレイク」
禁呪詠唱と書いてワールドブレイクと読ませる、このセンス。
そこにシビれる憧れる(笑)

見出して早々、笑える。
魔法を使うファンタジーアニメで「詠唱シーン」にこだわっている作品は多い
スレイヤーズ、魔術士オーフェン、CCさくらなど
子供の頃にこれらのアニメを見て真似した方は多いはずだ。
そんな「詠唱シーン」、かっこよく見せる、可愛く魅せるのが本来の趣旨だ

しかし、この作品の場合違う。
空中に指で文字を書く(笑)
この1行だけで思わず想像してしまったシーンがあると思うが、
恐らくその想像のままだ、マジで空中に書いている。
しかも1行くらいならばササっと空中に不思議な文字を描くかっこよさが
出てくると主思うのだが、非常に長い。

1話の冒頭で描かれる魔法シーンの場合だが、
主人公が空中に文字を書き出して、魔法を発動するまでに
1分近く書きっぱなしだ(笑)
棒立ちで人差し指で空中に文字を書くシーンはシュール過ぎて
強い笑いになってしまっている。

更にストーリー。
どこからともなく現れる怪物「異端者」を倒すための救世主を育てる
「前世の記憶」を持つ人間が集まる学園に入学するところから始まる
だが、もう1話の段階から超展開だ。

いきなり出会ったヒロインが「前世の記憶」を思い出し、主人公を兄と呼び
もう一人のヒロインも前世の記憶を思い出し主人公にキスをする
わずか2,3分しか時間がたっていないはずなのに
ものすごい速度でストーリーが進み、ものすごい速度で展開が変わる
原作がライトノベルじゃなく4コマ漫画なんじゃないのか?と感じるほど
サクサク進んでいくテンポの良さのせいで不思議なギャグ感が出ている

設定としてははっきりいって大したことがない。
前世の記憶や学園ファンタジーなどの設定はどこかで見たことがある内容だ
だが、そのどこかで見たことがある内容を
「ギャグテイスト」に仕上げることで
どこかで見たことがある内容のはずなのにまるで別物のように感じてしまう
王道ファンタジーや王道なラノベ展開をギャグテイストにしただけにすぎないが、
逆にコレが物凄い新鮮だ。

はっきりいってこの作品を普通に描いてしまったら
「はいはい、ラノベ原作アニメね」の一言で片付いてしまうような
つまらない作品になってしまうだろう。
だが、ストーリー、テンポ、演出の1つ1つを「ふざける」ことで
王道ラノベアニメをバカにしたような面白さが出てしまっている

真面目にふざける。
対義語的な矛盾を含む表現ではあるが、
この作品はまさに「真面目にふざける」ことに徹している。
演出の1つ1つをわざとダサくるすことによって
描いている内容自体は真面目なラノベファンタジーなはずなのに、
アニメーションとして描写している部分がギャグになっており、
真面目なストーリーとギャグ描写が絶妙な塩梅で組み合わさっている

最近のラノベアニメの場合、
どこかで見たことがある設定や内容が多すぎて飽きていたり、
予算が少ないせいでギャグアニメのような演出になってしまったり、
製作期間が短いせいで作画が崩れたりすることも多い。

だからこそ、最近のアニメ事情を踏まえた上で
逆に精一杯ギャグアニメとして作ることによって予算の少なさを誇張し
制作スケジュールのきつさをあえて隠さず、
どこかで見たことがある内容を「視線」を変えて描写することで
マンネリだったファンタジーラノベアニメに新しい風を吹き込んでいる
妙な風ではあるが(笑)

この作品を決して真面目に見てはいけない。
まじめに見れば見るほど、あまりの突っ込みどころの多さに
ツッコミ疲れてしまうだろう。
この作品にツッコミ役は居ない、あえて言うなら視聴者だ(笑)
1話あたり10回以上はある突っ込みどころをかかさず突っ込みたくなったら
もうこの作品のファンだろう。

この作品の「ギャグ」を言葉にするのは非常に難しい、
なにせ内容は真面目なラノベファンタジーだから仕方ない。
演出の絶妙なズレ方、展開の異常な早さ、セリフのなんともいえないダサさと厨二感、
この作品を構成するすべてがギャグアニメとしての構成されてしまっており、
言葉に表現できない常に脇腹をくすぐられるような面白さを醸し出している
「サンダーボルトドラゴン」という絶妙な技名のダサさはこの作品そのものだ

中盤以降は作画がかなり崩れており、止め絵シーンも目立つ。
本来ならそれは欠点ではあるのだが、
この作品に限ってはギャグ要素の1つとして受け止めることができる
明らかに作画が間に合っておらず「波」をひたすら映すシーンなど
シュール過ぎて思わず爆笑してしまうほどだ

そして、この作品で1番重用なのは主人公だ。
王道ラノベファンタジーなので「俺ツエー」な主人公ではあるのだが
かっこつけるたびに「ダサい」(笑)
本来はかっこいいはずのシーンなのに、本来は主人公の魅力を感じるシーンなのに
演出とセリフ回しのせいで物凄いダサい、ダサすぎて抱腹絶倒だ
ここまでお腹痛くなるほど笑える主人公は中々存在しないだろう(笑)

序盤こそ力の発動の仕方がわからなかったり、
まだ力が不完全なために可愛げがあるのだが、
中盤以降は力を使いこなして可愛げがなくなり調子に乗りまくる。
調子に乗ったことで「負ける」ことや「ミス」することもなく、
むしろ回りが崇め奉るため余計に主人公が調子に乗る。
調子に乗れば乗るほどかっこつけるのだが、かっこつければかっこつけるほど
カッコ悪い(笑)

最終話での「覚醒」した彼のトゲトゲしい様は彼の象徴だ
もう、思い出しただけでも笑ってしまうほどの破壊力だ
本来は覚醒した主人公はかっこいいはずなのだが、
この作品に至っては覚醒してしまったために
「スベリ知らず」のギャグシーンになっている

全体的に見て素晴らしいクソアニメだったといえるだろう。
低予算ときついスケジュールを逆手に取り
「王道ラノベ」をギャグテイストに仕上げることで
最初から最後まで貫ききった作品だ。
まじめに見ると損をするが、逆にまじめに見なければこれほど
的確に笑いどころを抑えたアニメはめったにない。

こういったネタ感や駄作感が強い作品の場合「出落ち」感がある作品も多い
だが、この作品は出落ちではない。
最初に使った「ネタ」を更に膨らますことで
出落ちではなくきちんとしたお約束ギャグに昇華しており、
更に視聴者がそのネタに飽きてくると新キャラを入れてマンネリを打破する。
お約束ネタも「予想外」の方向に進化させることで更に笑いを強めている

また、この手の作品には珍しくサブキャラクターもきちんと掘り下げ
きちんと活躍するシーンが描かれることで
メインキャラ以外のサブキャラの印象も非常に強く残る。
同時にサブキャラにも「お約束ギャグ」が生まれており、
話が進むほどキャラ描写が深まるほど、きちんと作品の世界観に入り込める

こちらの予想を超える「低予算演出」で1話から最終話まで毎回爆笑できる。
ストーリーはもちろん「俺たちの戦いはこれからだ」ENDになっており、
売り上げ的にももちろん「爆死」なため2期は望めないだろう。
逆に売れないからこそ、続きができないからこそ
それを予想した上で好き放題やったような感じの作品でもある。

原作1巻あたり2話をつかっているようで
原作を読んだ人にとっては省かれてしまった部分などで不満があるだろう
個人的に調べた限りでは「足で詠唱を綴る」という素晴らしいシーンが
カットになっていたのは本当に残念ではあるものの、
原作で改めて読む楽しさも生まれている。

はっきりいって何度見て楽しめる作品ではなく、
出来栄えだけで言えば「面白い」作品なのだがクォリティが高いとはいえない
売れないことも納得できるのだが、
逆に言えばこれだけ最初から最後まで貫いて作り上げてしまうと、
原作が気になる。

DVDは売れなかったかもしれないが、原作を買ってしまった人はいるだろう。
そういった意味で原作の宣伝と割り切り
アニメで若干過剰に原作の面白さを「盛る」ことで
ギャグテイストのファンタジーラノベとしてアニメはアニメで割り切った
面白さが表現できている作品だった。

欠点らしい欠点をすべて「ギャグ」として見ることができる
本来は減点すべき箇所なのだが、
その減点すべき箇所を見事に制作側が「分かって」笑いに変えているため
欠点になっていない。

こういった作品ばかりだったらアニメ業界は終わりだが、
馬鹿馬鹿しいが楽しめるアニメという「娯楽」を
見る側も作る側も楽しんでいる作品は
「たまには」必要なのかもしれない。
最近のアニメは似たようなものばかりでつまらない、
何か刺激的な作品を見たいという方は是非見てもらいたい(笑)

少しだけ2期を期待しているのだが・・・売り上げ的に難しいのが残念だ
かといって応援するためにDVD購入にするかという気持ちにもならない
1巻の売り上げが1000枚以下という何とも言えない枚数が
ある意味でこの作品らしいと感じているからかもしれない。

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