「ようこそ実力至上主義の教室へ」レビュー

評価 ★★★☆☆(52点) 全12話

あらすじ 最新設備が使用できて毎月1ポイント1円相当の電子マネーが支給され、髪型や私物の持ち込みも自由であり、希望する就職、進学先にほぼ100%応える全国屈指の名門校・高度育成高等学校を舞台に繰り広げられる新たな学園黙示録引用- Wikipedia

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々

原作はライトノベルな本作品。
作者は「暁の護衛 」などのアダルトゲームを手がけた衣笠彰梧。
監督は岸誠二×橋本裕之、制作はLerche

見出して感じるのは主人公の印象だろう。
ライトノベル原作のアニメらしく主人公の独白から始まるが、
はっきり言って彼の感情は死んでいる。
死んだ魚のような眼と抑揚のない喋り方でどこか達観しており、
客観的に物事を見ている。

そんな彼が政府の作った進学校に入学する所から物語が始まる。
この作品の学校はタイトル通り「実力主義」な学校だ。
入学したての場合は月10万に値するポイントをもらえるが、
毎月クラスごとに「査定」され、授業態度や成績などが評価され、
月に使うことのできるポイントが支給される。
この学校の設定は面白い。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

だが、その反面で序盤のストーリーは非常に地味だ。
主人公の感情の起伏がほとんどないという所も原因だと思うが、
最悪な評価をもらった後に主人公たちがすることと言えば勉強や、
過去問を手に入れるために画策したりと絵的に地味な展開がであり、
盛り上がりに欠ける。

序盤の盛り上がり所といえばヒロインの露骨なセクシー描写や、
謎のバトルシーンくらいだろうが、特に必要性は感じない。
特にバトルシーンに関しては「あーエロゲー出身な作者」だなと
露骨に感じてしまうほど安易なシーンであり、
シーンによっては、これがアダルトゲームなら
「このあと性行為描写がありそうな一歩手前」を感じさせるシーンも有る。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

似た作品にバカとテストと召喚獣という作品があるが、
あちらはテストの結果を召喚獣の強さにして
競い合うという派手な要素があった。
しかし、この作品にそういったSFやファンタジーの要素はなく、
どちらかというと「頭脳戦」のようなものが主軸だ。

生徒たちに支給されているポイントは物品の購入以外でも使うことができる。
生徒同士の「情報」の売買はもちろんのこと、
先生に対する「ワイロ」としても利用可能だ。
テストに不安があるならば問題を手に入れればいい、
テストの点数が足りなければ買えばいい。なんでもありである(笑)

そんな何でもありな実力主義な中で光るのはキャラクターだ。
派手なバトルやファンタジー要素がない頭脳戦が基本だからこそ、
キャラクターの味付けが自然と濃ゆくなっており、
およそ高校生には見えない黒人SPのようなキャラクターや、
露骨になにか企んでいそうなキャラクターが出ることで盛り上がってくる。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

それと同時に作品のB級感がどんどん高まっていく。
そう、この作品は決して名作ではない。
作品の根幹たる学校の仕組みである「Sシステム」も非常にツッコミどころも多く、
後出しで明かされる設定や内容も多い。

そもそも実力主義の教育を目指すならクラス全体ではなく
個人評価が基本になるべきであり、
「政府」が作った割には学校内の施設は「クラブ」みたいな場所があったりと
学生にふさわしくないものもある。

だが、名作ではなくB級と考えればそんなツッコミ所すらも気にならない。
この作品はあくまでB級であり真面目かつ高度な頭脳戦を楽しむのではなく、
極端な設定と極端なキャラクターたちの行動や言動、
突っ込みどころのある展開を見る側が突っ込んで初めて成立する。

無駄な展開も非常に多い。
わざと回り道して話を引き伸ばしてるような感じになってる部分も多く、
頭脳戦を描きたいのは分かるが、突っ込み所が多すぎて
頭脳戦にすらなっておらず先が読める。真面目に見たら損をする作品である。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

B級作品と割り切ればこの作品の面白さは明確に際立ってくる。
大した内容でもないのに引き伸ばし、大げさにするのがこの作品の手法だ。
例えば「クラスの問題児が暴行事件を起こした」というだけの内容を
1話も2話も3話も引き伸ばす(笑)
なかなかこれだけの内容を3話も引き伸ばすことはできないだろう。

引き伸ばすだけなら誰でもできるがグダグダになっていないというのが
この作品のすごい所だ。
回り道し余計なストーリーを足していき、やたらめったらに大げさに
描く事で何かすごいことをやってる風にしている。

例えば生徒会長が主人公に壁ドンして問い詰めるというシーンが有る。
そもそも、このシーンは「主人公」がクラスメイトを信じるという発言をし、
生徒会長がそれを証明してみろと言ってるだけのシーンだ。
壁ドンの必要性はまるで無い(笑)

必要性はないのに壮大なBGMと思わせぶりなセリフが合わさることで
「なにかすごいことをやっている」風なシーンに見せており、
冷静に見たら全く必要ない壁ドン描写なのだが、
その無駄な盛り上がりがギャグになっておりおかしくてたまらない。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

真面目に見てしまうと薄いストーリーを引き伸ばしてるだけにしか見えず、
余計な描写と過剰な演出と突っ込み所の多さしか感じないだろう。
だが、B級作品と割り切ることで素晴らしいギャグアニメになっており、
中盤以降は笑いどころしか無い。

主人公たちの敵も基本的に馬鹿である。
決して主人公たちの頭の良さや回転の速さがあるからこそではない、
馬鹿だからこそ安易な主人公達の罠にあっさりとひっかかる。
周囲のレベルを落すことで主人公を天才に見せており、
それが分かりやすく見てる側に伝わり、敵のアホさに笑うしか無い。

ただ結局の所、1クールではキャラ紹介くらいで終わる。
序盤こそ「Sシステム」をもとにしたストーリーだったが、
中盤以降は忘れられる事も多く、主人公にも壮大な過去がありそうなのだが、
ほとんど明かされず、無人島でサバイバルして終わる(笑)

1週間も生徒だけでサバイバル生活させるのは無謀でしかなく、
ガバガバなルールの中でクラス同士ポイントを賭けた画策が行われるのだが、
もうあっさりと主人公の計画に敵がハマっているのは突っ込みどころしかなく、
大爆笑しつつ1クールが終わってしまった

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

総評

全体的に見てB級作品としては素晴らしい出来栄えだ。
実力主義でポイント制の学校で賄賂など何でもありな設定は面白いのだが、
その設定が生かされるのは序盤くらいで、
あとは心底どうでもいい話を盛り上げまくっており、
話が進むほど物語の突っ込みどころが生まれB級感が強まっている。

この設定ならばもっとクラス同士のポイントの闘いや、
期末試験という重用なイベントでの画策があってもいいようなものなのだが、
序盤をすぎるとクラスメイトの暴行事件の解決や
男子生徒の盗撮騒動などどうでもいい話ばかりが描かれ、
終盤は無人島サバイバル生活だ(笑)

突拍子もないストーリー展開や他のキャラの知能を下げることでしか
頭のいい風な話を作ることができておらず、
それを誤魔化すために大げさな演出がされてるのだが、
その誤魔化し方が壮大過ぎてギャグにしかなっていない。

はっきりいって粗しかない作品だ。突っ込もうと思えばどの角度から突っ込める。
だがB級作品と割り切ることで、そのツッコミ所がギャグに昇華しており、
見る側が突っ込むことでギャグとして成立しているシーンが多く、
安易なセクシー描写などもB級感を強めており、見ていて楽しい作品だった。

ようこそ実力至上主義の教室へ引用元:© 衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会

個人的な感想

個人的には最初こそ設定の面白さに惹かれたのだが、
4話くらいで「あ、これギャグアニメだ」と見る心構えが変わったため、
最終話まで大変楽しく見ることが出来た。
なんだかんだで面白く、なんだかなで楽しめる。
真面目に見なければ最初から最後まで笑顔でいれる作品だ(笑)

売上的には1000枚前後と爆死。
イベントチケット優先販売申込券がついていてこの売上は厳しいだろう。
原作の売上は伸びているようだが、2期は厳しそうだ。
中盤から色々な意味で面白くなった作品なだけに
2クールくらいでがっつり見てみたかった作品だった