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プペルを超える内輪ノリ「遠井さんは青春したい!「バカとスマホとロマンスと」 」レビュー

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遠井さんは青春したい!「バカとスマホとロマンスと」 映画
画像引用元:(C)STPR Inc./劇場版「遠井さん」製作委員会
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評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全90分

「劇場版 遠井さんは青春したい!『バカとスマホとロマンスと』」本予告 【7月18日(金)全国の映画館で公開!】

あらすじ 女子高生の遠井さんは普通の青春を送るつもりだったが、入学初日にハチャメチャ男子・ジェルに気に入られ、謎の「青春ロマンス部」に強制的に入部させられてしまう 引用- Wikipedia

プペルを超える内輪ノリ

原作はすとろべりーぷりんすのメンバー、
ジェルが自身のYouTubeチャンネル『ジェルちゃんねる』にて
投稿している動画シリーズ。
監督はまんきゅう 、制作はSeven Arcs

乙女ゲーム

冒頭でいわゆる乙女ゲーム的な画面から始まる。
いかにもな乙女ゲームな画面の中で、
主人公である「遠井さん」は高校の入学式でワクワクしている中で、
「ジェル」という様子のおかしい男が現れる。

カーディガンを反対に着たり、「僕は未来からきた君の息子だ!」と
いきなり話しかけてたり、かなり「痛々しいノリ」を
強制してくるタイプだ。

主人公である遠井さんも当然ちょっかいをかけられるのだが、
わざ遠い場所から話しかけられた結果、
「遠井さん」と呼ばれることになるというところから物語が始まる

喋りまくる

非常にきつい。
この作品がファン向けで、原作を見ていないと
わからないノリがあることは周知の事実ではあるものの、
どこに笑いのポイントが有るのだろう?と思うほど、痛々しいノリがある。

感覚的には銀魂が大好きな中学生の会話を聞いてるような感じだ。
面白くないのに、独特のノリで怒涛の会話をしており、
聴いているだけでむず痒くなるようなそんな感覚だ。

しかも、これは元々がYouTubeの動画シリーズであるがゆえの
問題なのだが、主人公である「遠井さん」と「ジェル」を
ジェルさんが演じている。一部のモブもジェルさんが演じており、
演じ分けはきちんとできてはいるのだが、長時間聞くのは辛い。

ジェルさんが演じるジェルがよくわからないボケをかまし、
ジェルさん演ずる遠井さんが突っ込む。
この一人二役な感じが聞いていてつらい。
YouTubeで数分なら気にならないかもしれないが、
長時間になると徐々に痛々しさがにじみ出てくる。

これは原作、YouTubeではほぼ全キャラをジェルさんが演じているらしいが、
映画では流石にそれは無理だと感じたのか、
メインキャラクターはプロの声優さんが演じている。
だからこそ「演技力」や「声質」の違いも目立ってしまっており、
遠井さんとジェルの違和感が際立っている。

アニメーション

作画のクオリティもあまり高くはない。
原作のシリーズからあまり逸脱したものは出来ないというのはわかるが、
これを映画という巨大なスクリーンで見るのは厳しく、
「すとぷり」の映画はしっかりとした作画だっただけに、
もしこれがTVアニメだったとしても作画の悪さは気になるところだ。

メタネタも多く、映画の序盤では各キャラがいきなり実写化するなど
映像的な挑戦も多いものの、基本的にアニメ映画の
アニメーションとしての見ごたえはかなり薄い。

ただ、一応初見も意識してなのか、
きちんと物語の導入から描いており、
ジェルが「青春ロマンス部」を作るために部員集めをし、
部活を作るという流れが生まれている。

そんな部活動の中で動画を作り、「ジェルちゃんねる」で投稿し、
人気になっていくというメタ的な要素もしっかりとあり、
中盤の校歌絶唱のときには「すとぷり」なあの人達もいたりと、
ファンでなくとも、理解しやすくなっている。

その中で日常ギャグが序盤から中盤まではひたすら詰め込まれており、
この独特の学生ノリな感じを受け入れられる人は
楽しめるのだろうという感じはあるものの、
強烈な内輪ノリとファン向けな雰囲気はそれ以外の人には厳しい。

人助け

チャンネル登録者が増えた彼らは面白い動画だけでなく、
人助けをしていくようになっていく。
困ってる人たちの手助けをし、それを動画にする。
多くの人を笑顔にしたいというジェルの目的があるからこその
人助けなのは分かるが唐突感は否めない。

そんな中でメインキャラの一人である「ハルカ」が
ネットで叩かれるようになっていく。
ネットでも話題の美少女でもあるハルカは
パソコン部との仲がわるく、パソコン部がやっているのでは?と
疑うものの、証拠もなく、ハルカを助けることができない。

擁護しようと掲示板に遠井さんが書き込むものの、
彼女の書き込みがきっかけで余計に叩き行為は加速してしまう。
しかも、青春ロマンス部までも捏造画像で炎上してしまう。

急にシリアスな展開になるのは温度差が激しく、
序盤から中盤まで痛々しいノリの会話劇を繰り広げていたのに、
急にシリアスになられても戸惑うしか無い。

炎上を笑いで

そんな炎上をも「ジェル」は笑いに変えて乗り越えようとする。
ハルカを叩いていた真犯人もあっさりと見つかり、事件も解決する。
びっくりするほどあっさりと事件が解決するのは拍子抜けであり、
わざわざシリアスな展開にするほどのものか…?というような感覚が生まれる。

だが、その真犯人の前に疑われてた
いかにもなオタクの「パソコン部」が最後の最後で悪事を働く展開も
独特の気持ち悪さがあり、最後の最後で遠井さんに
ジェルは「最高のエンターテイナー」というポジションと
書かせて終わる。

ちなみにこの作品の脚本はジェルさんが手掛けている。
この自画自賛っぷり、ラストシーンに到るまで
痛々しさが凄まじい作品だった。

総評:ファンとそれ以外の人の距離が遠い

全体的に見て非常に厳しい作品だ。
「すとぷり」の映画はファンでなくとも見られる、
楽しめる作品だったが、この作品に関しては内輪ノリが厳しく、
それを考慮しても痛々しいノリと会話劇の応酬は厳しいものがあった。

映画としてのクオリティも低く、アニメーションとしても見劣りしてしまう。
唯一笑えたのは実写パートくらいで、アニメーション部分での笑いはほぼ無く、
わざわざこれを映画館で見たいとは思えない。

原作がYouTubeでの動画だからということもあるからこそ、
あまり高いクォリティの作画は求められてなかったのかもしれないが、
内容的にもショート動画を繋げたような感じの序盤から中盤で、
終盤では温度差がすごいシリアス要素をとってつけた感じが凄まじい。

キャラクターは多いものの、そのキャラクター自体の
描写が薄く、ジェルと遠井さんくらいしか印象に残らずに終わってしまう。
ファン向けということは百も承知で見たものの、
それでも厳しい作品だった。

個人的な感想:内輪ノリ

すとぷりの映画が意外と楽しめただけに、
この作品ももしかして…と思ったものの、相当厳しい作品だった。
今作はすとぷりの映画ほどではないものの、
初週で1.2億とかなりの興行収入を叩き出しており、
ファンの愛の深さを感じる作品だ。

この内輪ノリ感を楽しめるファンは多いのかもしれないが、
それ以外の人が見るといろいろな意味での距離感を感じてしまう、
私にとっては遠い作品だった。

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