今年のコナン映画は賛否両論だ。
だからこそなのかもしれないが、SNSや一部のニュースサイトでは
今年のゲスト声優である「横浜流星」さんに対する批判の声も上がっている。

↑のYahooニュースなどがわかりやすいが、コメント欄でも賛否両論だ。
個人的には今年のゲスト声優はコナン映画の中ではマシなほうだが、
キャラクターにはあっておらず、声の演技がうまいとは思えなかった。
一言で言えば浮いている演技だ。
名探偵コナン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん。
いわゆる「国民的アニメ映画」と呼ばれる作品は、
毎年のように芸能人ゲスト声優が起用されているのが
お約束になっている。
それ自体は長年続いてきた慣習だが、
今のこの3作品においても本当に必要なのだろうか。
果たしてそこに意味はあるのだろうか?
ゲスト声優の経済効果
以前、私はYouTubeの動画にて、いわゆる芸能人声優を
起用した場合の経済効果を試算したことが有る。
詳しくはこの動画をご覧いただきたいが、
ChaOやアズワンなど芸能人を起用した場合、
最低でも2000万ほどの興行収入が生まれている。
「君は彼方」という過去のアニメ映画でも
芸能人を声優に起用した結果、1500万ほどの興行収入であり、
起用した芸能人の知名度、人気にもよるが、
経済効果といえるのは1000万ほどではないだろうかと試算している。
これがもっと大人気なアイドルだったら違ったかもしれない。
「ふれる。」という作品では「永瀬廉」さんという
大人気アイドルを起用しており、
最終的な興行収入は2.6億ほどになっている。
ただ「永瀬廉」さんがでているからと言って2.6億円の
興行収入が生まれたとはいい難く、他にも芸能人声優が
起用されていることを考えても多く見積もっても5千万くらいだろう。
天下のジャニーズ(TARTO ENTERTAINMENT )を
起用してもこれくらいの経済効果でしかない。
それでも多くのアニメ映画はゲスト声優を起用し続けている
宣伝効果
オリジナルアニメ映画の場合は原作の有る作品や
アニメ化して地上波で放送された作品と違って知名度がない。
だからこそ、芸能人を声優に起用することで
朝のニュース番組やバラエティ番組、雑誌などで宣伝することができる。
これはまだ理解できる話だ。
オリジナルアニメ映画はどれだけ名作でも、
昨今はなかなか厳しい現実に有る。
だからこその芸能人という宣伝に頼るのは理解できる話だ。
しかし、それはオリジナルアニメ映画に限った話だ。
国民的アニメ映画
冒頭の話に戻るが、名探偵コナン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん。
いわゆる「国民的アニメ映画」と呼ばれる作品は、
毎年のように芸能人ゲスト声優が起用されているのがお約束になっている。
そのお約束は果たして意味があるのだろうか?
名探偵コナン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん。
この3作品はもはや日本人に馴染みきっており、
知らない人を探すほうが難しいくらいの知名度を誇る作品だ。
毎年映画を公開し、それを見に行くことがある種の風物詩ですらある。
コナンは初期の方は芸能人声優を使うことはなかったのだが、
2008年の12作目以降は芸能人声優を使うことが当たり前になってきている。
ドラえもん映画も同じく初期に芸能人声優の起用はないが、
2001年の22作品目以降は芸能人声優を使い続けている。
クレヨンしんちゃん映画は原作者を除けば6作目から芸能人声優の起用が続いている。
国民的なアニメ映画ですらゲスト声優を使い続けている状態だ。
確かに初期は効果的だったのかもしれない。
特にコナンは知名度的にも初期は今のような規模ではなく、
クレヨンしんちゃんも子供に魅せたくないアニメと大人からは不評だった。
だからこそのゲスト声優なのはまだ理解できる。
だが、今はどうだろうか?
ゲスト声優はいらない
コナンは毎年の映画が一大イベント化しており、
ゲスト声優がいなくても観る人は観る。
むしろ観客が期待しているのは、 今年は誰が声をやるかではなく、
どのキャラクターがどう活躍するのか、 どんな事件で、
どんな見せ場があるのかという本編の中身のほうだ。
ドラえもんも同じく、 観客が求めているのは毎年、
冒険している「ドラえもん映画」そのものだ。
クレヨンしんちゃんもまた、 しんのすけの物語が
ちゃんと面白ければ成立するシリーズであり、
3作品とも20年や30年前のような知名度ではない。
この3シリーズはもう、
ゲスト声優で集客を底上げしなければならない作品ではなく、
作品単体で人を呼べるブランドになっている。
しかも、ドラえもんやクレヨンしんちゃんは
興行収入30億円は当たり前、コナンに至っては100億を連発している。
これは決してゲスト声優によるものではなく、
作品としての魅力、強さがあるからこそだ。
この次元に至っている3作品で、
せいぜい5000万ほどのブーストしかかからない
ゲスト声優を使う必要はあるのだろうか?
芸能人は浮く
短い出番で場を華やかにするタイプの役や、
本人の声質が役柄にぴったり合っているケースなら、
作品にプラスになることもある。
ただ、問題は「浮いてしまう」ということだ。
コナンが1番わかりやすいのだが、
30年近く演じ続けたプロの声優による演技と、
声優初挑戦です!という芸能人の演技は明らかに違う。
オリジナルアニメ映画のように芸能人声優だらけならば、
この演技のテイストの違いが生まれづらく浮きづらいのだが、
国民的アニメ映画の場合は別だ、明確に浮く。
上手い下手の前に違和感が生まれてしまうことのほうが多い。
国民的アニメ映画には、長年積み重ねてきた完成された世界観がある。
そこに作品の一部としてではなく、
「芸能人が演じている」と意識させる演技が入ると、
観客は一気に現実へ引き戻されてしまう。
それは単に上手い下手の問題ではなく、没入感を損なうということだ。
ようは「萎えて」しまう。
近年の観客は、昔よりずっとその違和感に敏感だ。
これはいい意味でも悪い意味でも日本人がオタク化していることにある。
ゲスト声優がただ有名だから、話題になるからという理由だけでは
もう納得してもらえない。ブランドが大きくなったぶん、
ゲスト声優にも以前以上の自然さが求められている。
もう「話題性のためのゲスト」は卒業してもいい
国民的アニメ映画は、もう十分に強い。
わざわざ外から話題を持ってこなくても、
作品そのものが最大の集客装置になっている。
だからこそこれからは、ゲスト声優を入れるかどうかではなく、
その起用が本当に作品のためになっているのかを
もっとシビアに考えてもいいのではないだろうか。
ゲスト声優が悪いのではない。
ただ、もう「とりあえず毎年入れておくもの」ではない。
少なくとも今の国民的アニメ映画は、
そこまでしなくても十分すぎるほどの興行収入を叩き出している。。
むしろ必要なのは、余計な宣伝の飾りではなく、
観客がちゃんと満足して劇場を出られるだけの中身だ。
それがあるなら、ゲスト声優はいてもいい。
国民的アニメ映画の中でも素晴らしい演技と存在感のある
ゲスト声優もいた、芸能人が演じたからこその凄みを感じさせる
キャラクターもいる。
あえてその「芸能人」を起用する意味があるのか、
作品としてプラスになるのか、むしろ、 ないなら、いないほうがいいのが
今の国民的アニメ映画の立ち位置だ。
クレヨンしんちゃん
ただ、個人的にはクレヨンしんちゃんにおける
ゲスト声優の立ち位置は割と好きだったりする。
なぜならば、クレヨンしんちゃんにおけるゲスト声優は
「本人」だからだ。
小宮悦子、雛形あきこ、波田陽区 、長州小力、
小島よしお、ジェロ、日本エレキテル連合etc….
時代に時代で「流行っていた」芸人やアイドルが出ており、
メインどころではないキャラ、芸能人が本人としてでてくるのは
クレヨンしんちゃん映画としての世界観を壊さずに違和感がない。
これくらいがちょうどいいゲスト声優なのかもしれない。

