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限界飢餓作画「暴食のベルセルク」レビュー

暴食のベルセルク 未分類
暴食のベルセルク ©一色一凛/マイクロマガジン社/暴食のベルセルク製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(22点) 全12話

TVアニメ『暴食のベルセルク』2023年10月放送開始! 本PV

あらすじ 神によって与えられるスキルの優劣が絶対の世界。貴族階級である聖騎士の横暴が平民を虐げる王都で腹が減るだけのスキル《暴食》を持つフェイト・グラファイトは生きるだけで精一杯の最底辺の暮らしを強いられていた引用- Wikipedia

限界飢餓作画

原作は小説家になろうで連載されていた作品。
監督は柳沢テツヤ、制作はA・C・G・T

作画

1話冒頭から作画の悪さを感じる、
アップが多く、止め絵も多く、なんとか戦闘シーンを
描きあげている印象を受ける1話冒頭はかなりインパクトに欠け、
そんな中ででてくる主人公のキャラデザも没個性の極みだ。
ちょっと崩れれば作画が崩壊する、
そんな一歩手前のクォリティは最近のアニメとしてはかなり厳しいものがある。

この世界には生まれ持った「スキル」が存在する。
神に寄って与えられたスキルによって人生が決まる世界、
貧富の差も激しく、魔物なども存在している。
そんな世界で主人公は日雇いの門番をしている平民だ。

「暴食」というスキルを持っている彼は常に腹をすかしており、
使えない不遇スキルを持っているがゆえに貧しく暮らし、
特別で強いスキルを持っている聖騎士にいじめられている。

そんなダークな世界観を描きたいのはわかるのだが、
1枚の絵をだらーっとカメラを右から左に動かしてるだけだったり、
やたらアップでこれまたカメラをしたから上に動かしてるだけだったり、
作画枚数を誤魔化しているシーンも多い。

いじめられている主人公に「ロキシー」という聖騎士は
唯一優しく接してくれている。
この状況をなんとかしたいと思いつつも、
「持たざるものではない」主人公はその日生きることに必死だ。

そんな中で主人公は手負いの「悪人」を殺してしまう。
初めて人を殺した彼の「スキル」が発動し、
殺した相手のステータスとスキルを奪うスキルだったことが
判明するというところから物語が動き出す。

グリード

悪人を一人殺したことで主人公は読心と鑑定のスキルを手に入れている。
自分のスキルすらよくわからないまま、現状に戸惑っていると
街中で「グリード」と名乗る魔剣を主人公は見つける。

そんな剣を買い、街の外で魔物を狩りまくる。
人間だけでなく魔物もスキルを持っており、
そんな魔物を倒すことでスキルを手に入れステータスも手に入れられる。
倒せば倒すほど主人公は無限に強くなっていく。

本来、この世界は経験値を稼いでレベルを上げられるという
ゲーム的な世界観だが、主人公だけは経験値と関係なく、
「暴食」というスキルのおかげで敵を倒せば倒すほど無限に強くなれる。

この基本的な設定は面白そうなのだが、色々とご都合主義も目立つ。
たまたま悪人を倒したからこそ自身のスキルの詳細を
知るのはいいのだが、その後に「暴食」スキルのことを知っている
魔剣をたまたま街中で手に入れるのはご都合主義感が凄まじい。

戦闘シーンのクォリティも酷く、
主人公が序盤の段階でかなり強くなっているせいもあるのだが、
ほぼ一撃でケリが付いてしまう。

無駄に血液表現だけは激しく、画面も暗いせいか、
「グロテスク」な印象を受けるシーンも多いが、
それが作品の面白さにはなっていない。

絵的に気になるシーンも多い。
特に剣に話しかけるのは改善する気が主人公にはないらしく、
「心の声」で話せるはずなのに堂々と声を出して
会話をして、周囲に怪しまれている。
ヒロインとの会話でさえ、剣との会話が
彼女に言ったことを勘違いされたりしているのに主人公は直そうとしない。

名家のヒロインも正体を隠して街を視察したりしているのだが、
髪型をちょろっと変えただけで正体がバレない(苦笑)
色々と細かいツッコミどころが凄まじい作品だ。

飢餓

1度暴食スキルで魂の味を知ってしまうと、
定期的に魂を食らわなければ、いずれは飢餓で死ぬか、自制心を失って暴走する。
定期的に魔物か、人を殺さなければならない業を背負ったスキルだ。

その分、どんどんと強くなるのだが、
魔剣であるグリードは一定以上すると使用者のステータスを求める。
自らのステータスを全て捧げることで魔剣はどんどん強くなっていく。
いかにもゲーム的な設定ではあるものの、話自体はやや
面白さを魅せてくる。

ただ捧げるのはステータスだけでスキルはいらないというのは
ややご都合主義な感じも強い。
ステータスは初期値に戻るが手に入れたスキルはそのままで、
初期値に戻って弱体化してしまってピンチ!みたいな展開もない。

ヒロイン

街の周辺の魔物を倒しまくる主人公の存在は
街の人にとっては脅威だ。正体も不明であり、どこの誰かもわからない。
はぐれ魔物のせいでは?と疑われ聖騎士と呼ばれる強い存在が
派遣されることになる。

そんな聖騎士に勝てるように主人公は序盤から中盤強くなりながら、
ヒロインとの仲を深めていく。
ヒロインを守るために街を守るために戦い続けるものの、
徐々に暴食スキルは暴走していく。
より質のいい魂を、もっと強い魔物を食らわなければ満足できなくなる。

ヒロインも強い魔物を倒すための遠征の任務を受ける羽目になる。
自身のスキルを隠しつつも、ヒロインのそばには居られないとしても、
影でヒロインを守るために彼はヒロインに正体を隠し
こっそりと守ることにする。

展開自体は悪くないのだが、作画の安っぽさが、
本来はこの作品にあるはずの面白さを素直に面白く感じさせてくれない。
俺つえーな要素やグロテスクな描写、ダークな世界、
この作品を構成する要素をアニメという媒体で
低クォリティな作画とそれを誤魔化すための演出のせいで
「面白さ」にしきれていない。

大罪スキル

ヒロインを追う中で、もう一人の「大罪」スキルと持った少女と出会う。
大罪スキルは絶大な力を手に入れることができるが、大きな代償がある。
大罪スキルとはなんなのか、大罪武器とはなんなのかなど
色々と気になるところはあるものの、
1クールで明かされる部分はかなり少ない。

本来は主人公が強くなる過程で色々な魔物や聖騎士と
戦いながら魔剣であるグリードとのバディもの的な要素もありつつ、
強くなっていくことを楽しむことができる作品なのだが、
前述した通り、作画の悪さのせいでその作品の面白さが出し切れていない。
戦闘シーンも毎話のようにあるからこそ、常にもどかしい感じだ。

そんなもどかしさを感じながらも主人公はどんどん強くなっていく。
「師匠」と呼べる存在と出会い手ほどきを受けたりしながら、
自身の暴食のスキルを抑え込む方法を学んでいく。

暴走しかけると目が赤くなったり、
硬めだけ赤くなるような厨2感あふれる設定も
清々しさすら感じる部分ではあるのだが、
本当に作画さえ良ければ素直に楽しめるのに、
作画の悪さが作品全体の足を引っ張っている。

大罪スキルの成れの果てである「キメラ」など、
徐々に作品の設定が紐解かれていくのだが、明確にはなりきらない。
ストーリー的には悪くないのだが、
色々と伏線や謎を引っ張っている感も強い。

既視感のある要素はあるものの、それをうまく組みあせて
物語を作り上げており、やや早足の展開ではあるものの、
作画と違ってストーリーはそこまで悪くはない感じだ。

代償を払ってでも、人間をやめてでも守りたいものがある。
そんな主人公の魅力をアニメという媒体で
厨二病感あふれる作品の魅力を出し切れていないのがもったいない。

最後まで

終盤には更に別の大罪スキルをもつ敵も現れる。
何を考えているのか、目的すらもよく分からないなかで
ヒロインのピンチに主人公が駆けつけるものの、正体がバレてしまう。
このあたりの決定的なシーンの作画の悪さは本当にもったいない。

最終話の戦闘シーンもアップばかりだ。
主人公が「左腕」を欠損する展開などグロテスクなシーンもあるのだが、
決定的にこの作品は戦闘シーンというものを描けていない。

精神世界で「グリード」の人形形態に出会ったり、
たとえ自らの精神が崩壊しても強敵をくらおうとしたり、
片腕での戦闘シーンなど本来なら盛り上がるはずだ。
大きな力を手に入れた代償にいつ暴走してもおかしくない、
そんな中でヒロインへの思いが一歩を踏みとどまらせる。

ストーリー自体は悪くないものの、
低予算なクォリティのせいで作品本来の面白さを
最後まで出し切れないまま終わってしまう作品だった。

総評:寸止め厨二なろうイズム

全体的に見て作品全体でいい意味で厨二感が漂っており、
それ自体は悪くはなく、大きな力を手に入れた代償に
いつ暴走してもおかしくない主人公がヒロインを守るために
強くなっていき、最後はすべてを知ったヒロインに心を救ってもらう。

1クールで区切りがいいところまでストーリーも進んでおり、
ストーリー自体は決して悪くはない。だが、問題は作画だ。
キャラクターデザインの時点から最近のアニメというよりは
2000年代のアニメのような古さを感じるバタ臭さが在り、
いまいちキャラクターの魅力を感じきれない。

それだけならまだしも、戦闘シーンが多い作品なのに
戦闘シーンをきちんと描けていない。
止め絵とアップの連続で迫力が一切ない戦闘シーンが多く、
序盤はあっさりと決着がつく戦闘シーンばかりで、
本来ならば「俺つえー」感を感じられるはずなのだが、
そういう魅力を感じられない戦闘シーンになってしまっている。

ストーリー的に細かいツッコミどころや、
大罪スキルや世界観の謎など色々と気になるところはあるのだが、
それは明かされない部分が多く、引っ張っている感じはある。
本来は厨二病感あふれる魅力のある作品なのは伝わるのだが、
それをアニメという媒体で活かしきれていない。

作品全体の色味も妙に暗く、グロテスクなシーンは多いのに
そういうグロテスクな要素の面白さも感じにくくなっており、
そういった原作の魅力をアニメで出し切れていない、
寸止め感が常に漂う作品だった。

個人的な感想:ACGT

制作元である「ACGT」はもともとグロス、下請けの会社だ。
最近ではオリエントなども元請けとして手掛けているものの、
あの作品も作画はあまり良くなかった。

この作品も、そもそも制作予算がないからこそ
「ACGT」に制作を以来したのかもしれない。
20年前の深夜アニメだったら、このくらいのクォリティでも
通ずる部分があったかもしれないが、
作画のレベルが上った2023年のTVアニメとしてはかなり厳しく感じる。

1話の時点からスタッフクレジットをみると外注に
投げまくりであり、その結果のクォリティだ。
制作がも作る段階でこのクォリティになるのはわかって作っている。
予算が最初から少なかったことは明らかだ。

内容自体はそこまで悪くはないため、
きちんとした作画で描かれれば
もう少し話題になったかもしれないだけに残念なところだ。

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