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「恋する小惑星」レビュー

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評価 ★★★☆☆(41点) 全12話

あらすじ 幼いころ、町のキャンプに参加していた木ノ幡みらはアオと名乗る同じ年頃の子に出会う引用- Wikipedia

見てる側の感情が置いてけぼり

原作はまんがタイムきららキャラットで連載中の漫画作品。
監督は平牧大輔、制作は動画工房。

小さい頃の思い出


画像引用元:恋する小惑星 1話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

1話の冒頭、「回想」シーンから本作品は始まる。
主人公が子供の頃に出会った男の子との思い出、
自分の名前が「星」の名前と同じことを知り、いつか男の子と同じ「アオ」という
名前を星につける約束をする。そして高校生になる。
しかし、いざ「天文部」に入ろうと思ったら「地質研」と合体し、
「地学部」になったという所から物語が始まる。

非常に丁寧な始まりだ。
主人公がなぜ「天文部」に入りたいのかという設定を丁寧に描きつつ、
自然な流れで高校生である主人公が「地学部」に入る。
強引な展開や無理のある展開ではなく、一言で言えば真面目な導入だ。

いざ「地学部」に入ると主人公が幼い頃に出会った少年、
ではなく少女もそこにいて主人公と同じく「小惑星」を見つけようとしている。
運命の出会いだ。余計なおとぼけや、引き伸ばしなど無く、
1話の冒頭で出会いと再会をサクサクと描く。
わざとらしさや引っかかる部分がなく、スムーズに話が進んでいく。

相手が女の子なら全然いい

主人公が通う高校は一応は共学のようだが、
「きらら」原作らしい美少女動物園っぷりを遺憾なく発揮しており、
そんな美少女だらけな状況だからこそ「百合」な要素もある。

主人公のそばには「百合好き」な幼馴染がおり、
主人公が再会した「あお」も主人公のことを女の子と分かっていながらも
主人公のことを思っており、主人公の言葉で顔を真赤にしたり、
長い電話をしただけでニヤニヤしたりと、
1話から百合な雰囲気が生まれている。

1話の時点でメインキャラの関係性、立ち位置が明確に描かれており
彼女たちが目指す「小惑星の発見」という作品としての終着点を
1話の段階でしっかりと明示している。

この作品はこういうキャラが居て、
こういう雰囲気でこういう目的のストーリーです。
というのが1話できちんと分かる、本当に丁寧すぎると行ってもいいくらいの
わかりやすい1話だ。

星の観察


画像引用元:恋する小惑星 2話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

2話になると星の観察が始まる。
望遠鏡を設置して、星が見える位置に調整して、望遠鏡を覗く。
この当たり前の天文観察を非常に丁寧に専門用語を織り交ぜつつ、
素人の主人公通して見てる側も知ることができる。

決してご都合主義ではない。
彼女たちの目的は「小惑星の発見」ではあるものの、
そんな小惑星が簡単に発見できるものでないことを現実的に描写しつつ、
淡々と彼女たちの日常が綴られる。

はっきり行って地味だ。
強烈なギャグ要素や、強烈な萌え要素、強烈な青春要素があるわけでもない。
本当に淡々とした「日常」が描かれており、キャラクターとしても
強烈なキャラクターが居ないため余計に盛り上がりに欠ける。
何も起きない、何1つ起伏の有る展開が起きない。

なにかキャラ同士でトラブルわけでもなく、
部活の存続の危機が起こるわけでもない。地味だ。
淡々と繰り返される日常の中でキャラクターたちを描きつつ掘り下げつつ、
「地学部」の活動を丁寧に描いている。

まさに「日常系」という言葉がふさわしいほどの日常だ。
アニメ的な「わざとらしさ」が少なく、ご都合主義や非現実的な部分を
極力なくし、リアルに少女たちの日常を描写しようとしている。

このよく言えば「真面目でしっとり」としたストーリー、
悪く言えば「盛り上がりに欠けて淡々」としたストーリーは
人によって好みが分かれる部分だろう。


画像引用元:恋する小惑星 4話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

彼女たちには夢がある。
二人は小惑星の発見、一人は宇宙飛行士に、
一人は自分だけの地図を作るため、一人は夢を探している。
高校生という彼女たちは夢と希望と現実の間に生きており、
真っ直ぐに彼女たちは将来に向かって突き進んでいる。

1歩ずつ、1歩ずつ、彼女たちは夢に向かって進んでいく。
1つ1つは小さな一歩だ。だが確実に彼女たちは自分たちの夢を
現実のものにするために活動をする。

大人になったら、将来はどうするのが。先が見えない子もいる。
回りが夢に希望をいだいているからこそ先を考えられない子は不安に感じる。
中盤になるとそんなそれぞれの「青春模様」もえがかれることで、
この作品が日常系というジャンルだけでなく青春というジャンルも
含んだ作品になって行く。

早い


画像引用元:恋する小惑星 6話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

この作品の時系列の変化は凄まじい。
春から始まり、6話には文化祭まで一期に時系列が進む。
これでいわゆる「サザエさん時空」で登場人物たちの年齢が変化しない、
1年間がずっと繰り返されるなら、この時系列の変化でも驚かないが、
この作品はきちんと彼女たちの時計の針も進む。

メインキャラの内、二人は高校3年生だ。受験を控え、卒業も迫っている。
最初は部長と副部長だったキャラが文化祭で役職を降り、
2年制のキャラが部長になる。
驚くほど早い時間の経過であり、展開自体は地味で盛り上がりに欠けるのに
時系列の変化が凄まじく、その時系列の変化で展開の地味さを補っている感じだ。

過去回想で「こんな事がありました」とイベントやキャラに起こった出来事を
一気に紹介することも多く、本来はもっと丁寧に描いても良いのでは?
と思う部分もサクサクと勧めてしまう。
日常作品はたいてい、1クールで1年の時系列を描くことが多いゆえに
この展開の速さにやや戸惑ってしまう。

特に9話は怒涛の展開だ。
転校&引っ越し話が出たかと思えば同居の流れになり、
バレンタインイベントが有り、先輩たちが卒業する。
他のアニメなら3話くらい描けそうなイベントを1話で一気に描いている。
色々なイベントが同時進行で描かれてしまっており、集中できない。

この作品の「しっとり」と真面目な雰囲気にそぐわぬ展開の速さであり、
この展開の速さが有るからこそダレ無いとも言えるものの、
見ていて驚くほどの展開の速さはやや気になるところだ。
もっと丁寧に描ければ感動できるのに、速歩な展開のせいで
状況の変化に感情が追いつかない。

地味


画像引用元:恋する小惑星 6話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

中盤になっても地味さは変わらない。
この作品は女子高生たちの日常アニメでありながら、
進路や夢を考える青春アニメであり、
星を見て小惑星発見を目標にする天文部のアニメでもあり、
地質研究部のアニメでも有り、百合なアニメでも有る。

すごく色々な要素がこの作品には詰め込まれている。
その1つ1つが丁寧に描かれてはいるのだが、丁寧すぎるがゆえに地味であり、
ご都合主義や非現実的な展開がないため淡々としており、
その割には時系列の変化が早いためさらっと色々な出来事が
流れるように進んでしまう。

本来は1つ1つもっと掘り下げれば面白い要素だ。
しかし、その1つ1つの要素を1話1話の中でしっかり掘り下げるのではなく、
少しずつ掘り下げながら物語を薦めるため、
1つ1つの要素がいまいちしっくりとこず、宙ぶらりんな感じになってしまっている。

天文学や地質学は専門的な用語も多く出てきて、それの説明もきちんとされる。
しかし、そこに彼女たちの「結果」が現れない。
例えば小惑星を本当に発見したり、化石を発見したり。そういった成果がない。
途中で「地学オリンピック」というものに部員の一人が参加するも、
参加しましたけど駄目でしたとすごくあっさりとした描写だ。

彼女たちはプロではないし専門家ではない、だからこそそういった「発見」が
難しく成果を現実的には描きづらい部分があるのは分かるものの、
現実的すぎるがゆえに面白みが生まれていない。
はっきりいえば、この作品を見て天文学や地質学に興味を持てない。

決して「浅い」わけではないものの、もっとガッツリと掘り下げてほしいのに
中途半端にしか掘り下げられていない「もどかしさ」が常に付きまとう。

早足


画像引用元:恋する小惑星 9話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

はっきり行って展開が早すぎる。
本来は9話までの内容を1クールで描いて終わりでもよかったはずだ。
出会いと別れ、そして少しの成長。それが9話まで描かれており、
9話で異様までの展開の速さと同時進行で一気に描いてしまっているものの、
この9話の内容は本来は3話分くらいの内容がある。

それをあえて1話で描いてしまっている。
おそらくは制作側で「ここまで描きたい」というストーリー構成があり、
10話以降からはいってくる「新入生」たちのキャラも
出したかったのは分かるものの、出した所で残り3話しかない状況だ。
新入生以外にも新キャラが増えるため、余計にキャラが薄まる。

1クールでここまで描きたいという制作側の気持ちはわかるものの、
そのせいで本来はもっと深く描かれるはずの部分まで深く描かれずに終わっており、
もったいない感じがより強まってしまっている。

新キャラが出てくることで「気象」の要素もたされる。
正直、どれもこれも中途半端にしか掘り下げられていない状況で
更に要素が追加されるのは微妙にしか感じない。

10話の段階で2年目の春だったのに、10話の終盤には夏になってる。
ちょっと感化しがたいほどの時系列の変化だ。
下手したらダイジェストと言われてもおかしくない保の時系列の進め方だ。

序盤にあった丁寧さや真面目さ、ご都合主義の無さが
話が進めば進むほど無くなる。そこがこの作品の魅力でもあったはずなのに、
雑に時系列を勧めご都合主義な展開も溢れている。

きら星チャレンジ


画像引用元:恋する小惑星 12話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

終盤はきら星チャレンジに挑むストーリーだ。
この「きら星チャレンジ」は序盤で主人公たちは知ってはいたものの、
知ったときには募集時期が過ぎてしまっており参加できなかった。
終盤はそんな「きら星チャレンジ」に参加する流れになる。
この「きら星チャレンジ」は小論文を提出して審査に通った人のみが参加できる。

主人公はそんな審査に通ったものの、幼馴染であるアオは落ちてしまう。
この審査基準にしても曖昧かつ明示されておらず、
主人公やアオがどんな小論文を描いたのかもよくわからない。
主人公だけが通り、アオは落ちましたという結果のみが描かれてしまう。

いざ「きら星チャレンジ」に訪れると、きら星チャレンジが開かれる
石垣島で行われる天体イベントにゲスト出演する女性アイドルに
会うために参加したようなキャラもいる。ちょっと意味不明だ。

これで選考基準がゆるくて大勢参加できるなら、
そういう子が参加できても不思議ではないのだが、少人数制だ。
本来は純粋に「天文」への情熱が熱い子が参加すべきイベントなのに、
そんな情熱の有るアオは通らず、アイドルに会いたいだけの子が通ってしまう。
ものすごい違和感だ。

しかも、落ちたアオが押しかけると謎の「参加者枠」があり
普通に参加できてしまう。本当に意味不明だ。
なら最初からその参加者枠で参加する流れにすればいいのに、
「押しかける」という流れにしてしまうため余計に意味がわからなくなる。
変なご都合主義やストーリー展開のせいで噛み合っていない違和感が生まれている。

結局、小惑星の発見には至らない。
それ自体はこの作品らしい真面目と安易なご都合主義な展開ではない部分であり、
展開自体には問題はないものの、最後までどうにも盛り上がりに欠けるまま
終わった作品だった。

総評:2クールで..


画像引用元:恋する小惑星 12話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

全体的に見てアニメ化が早かった作品だ。
原作ストックはたった3巻しか無く、ほとんどのストックを使い果たす勢いで
アニメ化されている。原作も展開が早い部分はあるのかもしれないが、
それでも明らかに9話などの詰め込みすぎて展開が早すぎるストーリー構成は
速歩すぎてこの作品の良さを打ち消してしまっている。

本来はもっと丁寧に描いて、時間を描けて掘り下げれば面白くなる。
そんな要素やキャラクターが多いのに序盤をすぎると
速歩な展開で雑に描いてしまっており、中途半端にしか掘り下げられず、
この作品が本来持っている良さを60%くらいしか発揮しきれていない
もどかしさが常につきまとってしまう。

この作品は1クールではなく、2クールで描いたほうが光った作品だ。
1クールで主人公と幼馴染の同棲まで描き、そこから1度目のきら星チャレンジ、
終盤に進級して2度目のきら星チャレンジをへて二人の目標でも有る
小惑星の発見に至る。そんなストーリー構成ならば、
この作品はもっと面白くなったはずだ。

しかし、やや強引に「きら星チャレンジ」を描くためにストーリーを進めてしまい、
そのストーリーの進行速度に見ている側の感情が追いつかず、
本来ならば感動できるはずの所で感動できない。
描かれている内容は要素はいいのに、それをきちんとした形で描ききれていない。

盛り上がりそうで盛り上がらず、最後まで「地味」な印象を拭えない作品だった。

個人的な感想:残念


画像引用元:恋する小惑星 1話より
©Quro・芳文社/星咲高校地学部

序盤こそ地味ながら、この作品のしっとりとした雰囲気なゆるい百合な
キャラ同士の関係性を楽しんでいたのだが、
中盤くらいからこの作品の異様なまでの時系列の変化についていけず、
雰囲気はしっとりとゆるいのに時系列の進行だけはやたらめったら早いという
ちぐはぐな感じに最後まで慣れることができなかった。

天文学、地質学、少女たちの日常と夢を追う青春、
1クールでは描ききれないほどいろいろな要素が詰め込まれており、
それだけに2クールでこの作品の要素をしっかりとした形で描かれていれば
もっと面白い作品になったかもしれないだけに残念だ。

この作品の雰囲気はすごく好きなだけに、もったいなさが残る作品だった。

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