評価 ☆☆☆☆☆(0点) 全12話
あらすじ 隕石の落下から10年。巨大結晶が放出する謎の粒子〈メビウス・ダスト〉の影響で、一部の子どもたちは〈ラムス〉と呼ばれる特殊能力を得ていた。 引用- Wikipedia
駄作
本作品はProject Animaから生まれた作品。
監督は岩崎太郎 、制作は動画工房。
ProjectAnima
本作を語るうえで外せないのが「Project Anima」という企画だ。
この企画はアニメ化を前提とした企画で、
「選ばれたら即アニメ化! 」というキャッチフレーズのもとに
多くの漫画や小説を募集した企画だった。
そんな2018年から始まった企画に選ばれた3作品が決まり、
最初の作品として「サクガン」が2021年に放送された。
あのサクガンである。
いろいろな要素を投げっぱなしで終わったあげく、
現作を改変しまくったラストは意味不明でしか無かった。
その後、音沙汰が失くなり、企画自体が頓挫したのかと思いきや、
2024年に「魔法使いになれなかった女の子の話」が放送され、
これもサクガンと同じく様々な要素をぶん投げた作品だった。
そしてそんなProjectAnimaの最後の作品がこのメビウスダストだ。
いろいろな会社が集まって動いた企画ということもあって、
サクガンの時点で止めることが出来なかったのだろう、
完全なる後処理、遺産整理に近い。しかも負の遺産だ。
当サイトでは3作品中2作品が酷評していて、
最後の作品がどうなるかは私個人としては色々な意味で気になっていた。
3度目の正直となるのか、二度あることは三度あるになるのか…
バブル
1話冒頭、子供たちが「ゲーム」のようなことをしている。
街中を駆け回り、パルクールアクションをしながら
「フラッグ」を狙っている。
子供たちは不思議な能力を使い、フラッグを奪い合い、
「エリア」を奪い合っている。
この時点で想像するのは「バブル」だ(笑)
あのバブルとほぼ同じ事をしているのだが、
動画工房とは思えないほど作画のレベルが微妙で、
アニメーションとしての見ごたえがない。
この世界では隕石がおち、東京の葛飾区にいる子供たちは
隕石の影響を受けて不思議な能力を得たのだが、
街から出ることができなくなっている。
さらっと説明されるものの、だから何?というほどのものでしかなく、
能力ものであることを除けばほぼバブルである。
船頭多くして船山に登るだったバブルと似たようなことをしても
バブル以下にしかならないのは想像に容易い 。
1話からバカみたいな数のキャラクターを出している。
子供たちのチームは5チームに分かれていて、
それぞれ6人が所属している。
その段階で30人もキャラが居る、1クールのアニメで
正気の沙汰とは思えないほどのキャラ数だ。
誰が主人公で誰がヒロインなのかすらゴチャゴチャした中で、
子供たちのもとに謎の博士から「外に出してあげよう」という
動画が届くというところから物語が動き出す。
実験
彼らに動画を送ったのはメビウスダストという粒子、
及びメビウスダストの影響を受けけた子供たちであるラムスを研究している。
国から能力を制限されている彼らは、実験と称して全開で力を出せるようになる。
実験を繰り返していけば外に出られるかもしれない。
子供たちは研究に参加することになる。
これが少人数ならまだいいのだが、
もう本当に気が狂ったようなキャラクターをだし、
なぜか喋って仁王立ちの犬まで居る。
わざわざ「エリア」を奪い合っているのもわけがわからず、
主人公たちはラムス同士でゲームをすることになる。
これでデスゲームなら大量のキャラにも意味がある、
しかし、別にデスゲームではない。
ただの実験であり、命の奪い合いは発生しない。
それぞれが色々な能力を使いながらチーム戦でフラッグを奪い合ったり、
ボートレースをしたり、迷路でレースをしたり。
色々な能力がでてくるが、その能力自体の面白さがなく、
そもそも大量に出てくるキャラのせいでどのキャラがどんな能力を持つのか、
そもそもキャラクターの名前すら頭に入ってこない。
改変
ProjectAnimaは現作をめちゃくちゃにすることでおなじみだが
この作品も類に漏れずだ。
原案では血戦同盟というテロ組織と警察が
設立した対RC部隊員養成総合学校の物語となっている。
ここまでのレビューを読んでいただけた方なら、
この2行程の原案の説明でまるで別物なのがわかるだろう(苦笑)
テロ組織側が主人公なのだが、アニメではテロのテの字もでてこない。
隕石によってメビウスダストがあふれ、能力に目覚めた子供たちがいる。
それくらいしか共通点がない。
わざわざアニメ化するための原作を募っておいて、
こういう扱いにするのがProjectAnimaの最悪なところだ。
主人公
この作品の主人公の影は薄い、自分に自信がなく、
能力も知覚系の能力で空気中の「ダスト」を感じ取ることで、
敵の場所などを知ることができる。
ダストによる能力バトルであるがゆえに予知能力に近いこともできるのだが、
だからなに?と言わんばかりに地味だ。
それを主人公も自覚しており、地味で目立たない自分を嫌悪している。
ぼそぼそと喋り、特に何か主人公らしい要素というのが
まったくなく、その主人公の周りのキャラの印象もろくに残らない。
ラムス達の体はダストと結合しており、
ダストがないエリアに行くと結合箇所の身体が消失する。
だからこそエリアから出ることが出来ない。
それは理解できるのだが、そのエリア内のエリアを
子供たちがゲームで何故奪い合っていたのかは謎だ。
バブルのように食料を奪い合っているならまだ理解できるが、
それすらない。バブル以下だ。
遊ぶ子供たち
実験と称した子供たちのゲームを見続けるののがこの作品なんだ。
近所の公園で遊ぶ子供達を見ているのと何も変わらない。
3話になると別のチームが色々とでてきたりするが、
近所の公園で遊ぶ子供たちを見るという構図は変わらない。
そんな公園で遊ぶ子供たちの様子は博士や大人、
ネットの世界では動画として公開されており、
人気になるものも居るが、主人公は地味であるがゆえに人気が出ない。
そんな状況で「俺なんか…俺が出来損ないだから…俺のせいで…」と
ウジウジしてる様子は不快感すら感じる。
3話ででてくる別のチームは悪ガキ的な存在だが、
悪ガキではあるものの、べつに命の奪い合いをするわけでもない。
話が進んでも子ども同士の遊びでしか無い。
ずーっとゲームをしている、多少キャラが増えたりするものの、
減ることはなく、ずーっと色々なゲームをしている様子を見て、
彼らの研究をしている博士がニヤニヤしたり、
なにか企んでいる大人がなにか企んでる風の会話をするだけだ。
この状況が1クールの7割を占めている。
何を考えてこの台本にしたのか本当に分からない。
彼らの目的は「街の外」に出ること、自由を得ることだ。
その目的に向かって何も進んでいない、ずーっとゲームをしている。
それの何が面白いんだろうか?
30人近いキャラをさばくこともできず、掘り下げることも出来ず、
1ミリも印象に残らない子供たちのゲームを見続ける。
大玉ころがしなんてやってる場合ではないのに、
呑気に大玉ころがしをしている様子を描くのがこの作品だ。
しかも作画、アニメーションの魅力も薄い。
能力バトルものとしての描写も甘く、
キャラのかっこよさや可愛さも1ミリも感じない描写は、
あの動画工房とは思えないほどだ。
やりたくないけど仕事としてやってますという気持ちがにじみ出ている。
なにをされてるんです?
ゲーム部分を飛ばしながら見てもさして問題がないくらい、
ゲーム部分がこの作品の核となるストーリーに影響していない。
ただゲーム中にたまに重要な描写があったりするので
飛ばすことも出来ない、作品の大半で描かれるゲーム要素が
面白みにかけ、飛ばしたいくらいなのに飛ばせないのは厄介だ。
序盤は対してストーリーが進まず、
自分のせい、目立てない、勝てないと落ち込み、
滅茶苦茶な指示を出したりして更に落ち込む主人公の様子を見続ける。
そんな主人公に同じチームの妹がこんな事をいう
「ねぇアラキ、外に行きたくて頑張りたい気持ちはわかる。
けど私達、外に行くためだけに遊んでるんじゃない!」
じゃあなんで遊んでるんだろうか(苦笑)
つまらないゲームそのものを否定するキャラが居ることで
もうわけがわからなくなる。
そもそもゲームの勝ち負け自体がストーリー的に
どうでもいい部分であるため、主人公たちが勝とうが負けようが
心底どうでもいい。
この妹も中盤くらいになるまで
序盤の時点では主人公の「妹」であることすら視聴者に明示されていない。
大量のキャラに振り回されてメインキャラの1人の
基礎的な設定すらきちんと説明できてないのがこの作品だ。
そんな妹と主人公が実は血の繋がりがないという
設定が中盤で描かれるが本当にどうでもいい。
どうでも良さもここまで来ると呆れという感情に変わってしまう。
6話では日常回っぽいのが描かれるが、特に観なくても問題はない。
エリアの外に出られないという問題はあるものの、
べつに普通に日常をやれる世界というのも
この作品の意味不明さを加速させている。
記憶
妹には記憶にない記憶があり、兄が自分を引き取るような記憶が時折蘇る。
妹は不審に思い色々と捜索すると、兄の嘘がバレる。
平気で嘘をつき、夜な夜な夜空に向かって能力を使う主人公、
彼は毎晩、能力を使って記憶を改変していたことが明らかになる。
そんな事実が妹だけでなく他のキャラにも明らかになり、
主人公は自己嫌悪に浸る。
仲間たちにも妹にも攻められるが、主人公はこんな事をいう
「ごめん!俺達元に戻れないかな!?」
バカなんだろうか(苦笑)
ずっとこのままだったはずなのに、そうはならなかった、
それは自分のせいと攻めるのだが、この主人公の心理描写が
よくわからず、記憶改変の能力まであるのに
「俺なんか…人気でないし…」とウジウジしてた序盤から中盤までも意味不明だ。
主人公ですらきちんとしたキャラ描写が出来ていない。
そもそも博士による実験が開始する前は
国が能力者が力を使うことに対して監視、警告していたはずなのだが、
主人公がそんな明らかにヤバイ力を使ってるのに
国は何をしていたんだろうか?
主人公が別のチームに行ってしまったりするが、
もうどうでも良さを越えて無だ。
主人公が別のチームに行く展開や、主人公の記憶改変能力など、
もっと序盤にやれば違ったかもしれないが、
この作品はそんな事をやらずに子どものゲームをひたすら描いてる。
しかも終盤でも無意味なゲームをし続けている。
色々なチームと対戦するのだが、
終盤になってもほとんどのキャラの記憶が残っていないため、
知らない子供と知らない子供がゲームで遊んでいるだけだ。
無意味
本当にこの作品は意味のない要素が多すぎる。
作品の大半で描かれるゲームそのものも意味がなく、勝敗すら意味がない。
勝っても負けても得るものも失うものもない。
かといってそのゲーム自体が面白いわけでもない。
会話自体も無駄だ、新しい情報が出るわけでも、
進展があるわけでも、キャラ描写が深まるわけでもない、
そんな会話が作品の6割くらいある。
3話くらいで描ける話をキャラを増やし、無駄なゲームをやらせ、
無意味な会話で水増ししているだけにすぎない。
10話ではよくわからない野良ゲームをするのだが、
このゲームにも特に意味はない。
主人公の元チームと現チームが争い、
「主人公がもとチームには必要」みたいな展開になるのだが、
そもそも主人公が元チームを出ていかなければならなかったのは
ゲームの勝敗やゲーム内におけるプレイイングではなく、
主人公の気持ち悪い記憶操作にある。
主人公も元チームへの未練があり、
みんなとのゲームが楽しかったみたいなことを言うが、
そんな環境をぶっ壊したのは主人公の記憶操作である。
それなのに元チームの妹以外が
「お前が必要なんだ!」と訴えても、意味不明でしか無い。
この作品の脚本を考えたひとは何を考えて
こんな脚本にしたのかと7日間、1日30分しか
寝かせずに問いただしたいくらいだ。
どうでもいいゲームやどうでもいい会話はいいから、
早く主人公が記憶操作してる理由を描いてほしいのに、
引き伸ばして引き伸ばして引き伸ばしまくっている。
緊急
11話でようやく主人公のウジウジが収まって妹に理由を話すのかと思いきや、
街中でダストの塊が大量発生する、また引き伸ばしだ。
30人近い能力者がダストの塊に対処するという無駄なシーンも描かれ、
更に引き伸ばしをする、いい加減にしろと思うほどの作品だ。
このダストの塊は主人公に執着していたキャラなのだが、
このキャラは女の子の幽霊みたいな見た目をしているのに男だ、
せっかく主人公を手に入れたのに主人公が自分のチームから
でていってしまい「全員困れ!」と困らせてくる(苦笑)
しかもダストの発生源から力を吸収したことで
エリアがどんどん収縮していく。
主人公たちが生存できる場所が狭まるという、
最初からそういう設定を持ち出して話を展開しておけよという
ストーリーが11話でようやく起こる。
癇癪を起こしたやつと、30人を超えるキャラが戦うさまを見せられるが、
このシーンも意味がない、飛ばしながら見てもいいくらいだ。
しかも、ゲームをしてる場合ではないため、11話と12話はゲームをしない。
ゲームとは一体何だったんだろうか(苦笑)
癇癪起こした敵が主人公と遊びたくてゲームを仕掛けてくる、
生存をかけたゲームが終盤描かれる!という展開でも良かったのに、
そんなことすらしない。
クソ真実
最終話でようやく主人公が記憶改ざんしていた理由が描かれる。
隕石が落ちたときに妹の本当の両親は死んでいたらしく、
帰る場所がない主人公と妹だが、主人公は親戚に引き取られることになる。
そんな中で主人公は完全に身寄りがない妹を妹にしてしまう(苦笑)
意味がわからない。
「俺が1人で行きたくなくて…」
とクソみたいな理由を出すのだが本当にクソだ。
これで妹の件は解決だ、引っ張った挙句のクソみたいな理由で
本当に怒りしかでてこない、モニターを私の拳で破壊しなかったことを、
褒めてほしいくらいだ。
なぜ癇癪起こした敵が主人公にそこまで執着してるのかもよくわからない。
彼は体を失い自分を失ったようで、主人公は元友達だったようだ。
だが、そのエピソードも心底薄く、主人公と対話して消えていく。
本当に何から何まで酷い。
ゲームはどこへ行った。ゲームは。
最後はダストの発生源が空に浮かび、ダストの欠片のようなものが生まれ、
その欠片があればエリアの外でも行きていけるのようになる、
めでたしめでたしだ。
なんだろうかこれは。
総評:99%無意味な駄作
全体的にみて究極の企画倒れな作品だ。
能力者を30人以上出し、5つものチームを用意し、
ゲームという作品の中心になりそうな要素を用意しておきながら、
そのほとんどが物語に必要ない。
ゲームに勝っても何も起こらない、負けても何も失わない。
大量にいるキャラクターも掘り下げられない。
主人公の記憶改変という重要な要素も、
終盤まで引っ張った末に出てきた理由はあまりにも弱い。
そして11話になってようやく、
「このままだと生きられる場所がなくなる」という
最初からやっておけばよかった話が始まる。
1クールの大半を使って描いてきたゲームとは何だったのか。
30人を超えるキャラクターは何だったのか。
主人公の人気がどうとか、チームを移るとか、
大玉ころがしをしていた時間は何だったのか。
この作品の9割が無駄と無意味でできている。
そして何より皮肉なのは、
「選ばれたら即アニメ化!」を掲げ、
アニメ化するために原作を募集したProject Animaという企画でありながら、
その原案から大幅に内容を変えてしまっていることだ。
「サクガン」、「魔法使いになれなかった女の子の話」
そして「メビウスダスト」。
3作品を見届けたが、少なくとも私は最後まで
「この企画は何をしたかったのか」が分からなかった。
壮大に始まったProject Animaという企画は、
最後に何か大きなものを残すでもなく、
泡が弾けるように消えていった。
いや、泡ですらない。泡が塵になっただけだった。
個人的な感想:駄作
私は「駄作」という言葉を意図的に作品を評する言葉として
使わないようにしている。
私が面白くないと思った人でも面白かったという人もいる、
1つ1つの作品に面白さという「意義」を感じる人が少なからずいるからだ。
逆に神作という言葉も敢えて使っていない。
そんな私がこの作品に対しては迷わず駄作という言葉を使っている。
それほどこの作品は無意味な要素が多すぎる。
制作自体がこの作品を面白いとすら思っていない、
少なくとも完成した作品からは、
制作側が何を面白さとして提示したかったのかすら伝わってこない。
原案となった作品すらもそう思い、自分たちの色に染め上げようとして
「駄作」としかいいようがない作品を生み出している。
15年ほどレビューを続けているが、
そんな私が迷わず駄作という言葉を使う、本当によっぽどな作品だ。
そして、この作品でProject Animaは最後を迎えた。
「選ばれたら即アニメ化!」という華々しい言葉から始まった企画が、
最後に残したものがこれだった。
Project Animaとは、いったい何だったんだろうか……。




