評価 ★★☆☆☆(25点) 全12話
あらすじ 最古の神竜が人間に討たれた。悠久の時を生き、神々すらひれ伏す絶大な力を持つその竜は、孤独と共に己の死を受け入れた。しかし、次に気がついた時、竜は辺境の村人ドランとして第二の生を受けていた。 引用- Wikipedia
退屈すぎる人生
原作は小説家になろうで連載され、
のちにアルファポリスに移行して連載されている作品。
監督は西田健一 、制作はSynergySP、ベガエンタテイメント
死
本作の主人公は「竜」だ。
最強と呼ばれる古代の竜であり、長い時を生き、
人間に味方をしたものの、そんな人間に裏切られ死んでしまう。
しかし、彼は気づくと「人間の子供」に転生しているというところから
物語が始まる。
なろうらしく、タイトル通りな作品だ。
私達の世界から異世界への転生ではなく、
もともとファンタジーな世界で竜として生きてきたあとに
人間に転生するというのは特徴的な作品だ。
あっというまに16歳の成人になり、一人暮らしをしており、村で平和に暮らしている。
16歳の割には達観としており、落ち着いた性格をしている。
何万年も生きた竜としての記憶を転生後もしっかりと持っているからこその性格であり、
二度目の人生を彼は謳歌している。
夏は暑く、冬は寒く、決して豊かではない。
なにか大きな出来事が起こるわけでもなく、平和な暮らしだ。
そんな暮らしをしている彼はある日「ラミア」の少女と出会うところから
物語が始まる。
ラミア
ラミアの少女は婿探しの旅をしている。
ラミアは基本的に女性しか生まれず、それゆえに他種族と交わる必要があり、
しかもラミアには毒があるため強い男でなければならない。
1度目の人生では洞窟の奥に一人さみしく暮らしていた主人公だった。
だが、二度目の人生は違う。彼を愛する両親や兄弟たちがいる。
前世では味わえなかった「生の喜び」を彼は味わおうとしている。
前世が竜という魔物だったからこそ、ラミアに寄り添い、
彼女が人間と仲良くなるために序盤は四苦八苦してくれる。
丁寧ではあるものの序盤はかなり淡々としており、
いわゆるスローライフ系な雰囲気もある作品であり、
メインヒロインがラミアというのは一部の愛好家には
たまらない部分かもしれない。
前世
主人公自体は人間に生まれ変わっているものの、
前世の力を使うことができる。
この時点で「さよなら竜生」っぽさが薄れるのだが、
「前世のつながり」でさえ消えていない。
霊体の姿になるとかつての龍の姿そのままであり、
その姿で友達のように女神と接していたりもする。
どこが「さよなら竜生」なのだろうか(苦笑)
人間としての生活も非常に淡々としており、
ラミア自体は可愛らしいものの、
序盤から中盤まで淡々としたストーリーが
だらーっと続いてしまいテンポが悪すぎる印象だ。
ラミアの問題が完全に解決するまで4話までかかり、
中盤からは「エルフ」の里に魔族が現れ、
そんな魔族を倒すという流れになるのだが、
最後までずっと、エルフの里で魔族と戦っている。
はっきりいって話の内容が薄い。
1クールという物語の構成での物語の密度が薄く、
それもあってテンポがかなり悪くなってしまっている。
魔族
この中盤からの話のクォリティの低さは厳しいものがある。
序盤こそ人としての生をつけて、第二の人生を謳歌してる主人公と
ラミアなヒロインという組み合わせのスローライフっぽい
ストーリーを楽しめた部分はあったのだが、
中盤からはひたすらバトルバトルバトルだ。
そのバトルにしても、唐突に魔族たちが
「虐殺したいぞー!」と現れるだけで、恐ろしく浅い。
そんな魔族と主人公や主人公の仲間が戦うというだけで
それ以上でもそれ以下でもない。
ぽっと出の魔族とぽっと出の味方キャラが 戦っていても、
みてる側としては蚊帳の外だ。
そこに主人公たちが介入して、敵が一時的に撤退したりするのだが、
ダラダラとしていて面白みにかける。
これでやってくる魔族が一人くらいなら良かったのだが、
一気に4人もやってくるせいで
人数が多い分、時間も取られる。
バトルシーン自体が面白いとも言えない。
作画のクォリティ自体はそれなりに安定してはいる、
序盤のスローライフ部分はヒロインの可愛さをしっかりと感じられるくらいの
作画のクォリティはあるものの、バトルシーンの面白みは薄い。
手加減
主人公は前世の記憶があるだけでなく、竜としての力も引き継いでいる。
だが、人間として生きているがゆえに「本気」を出すことはない。
常に手加減だ。
しかし、終盤には魔族が現れたことで手加減していることもできない状況になる。
竜であることがバレてしまえば、この人生を保つことができないかもしれない。
それでも彼は今の人生で手に入れた大切なものを守るために
本気を出す決意をする。
そういった状況を描きたいのは分かるものの、
敵の安易さや、テンポの悪さなどのせいもあって、
みていて盛り上がりに欠け、ひたすらに退屈だ。
特に主人公以外のキャラのバトルパートは非常にどうでもよく、
かつて竜のときに主人公を殺した勇者の力を引き継いでいるものや、
かつての竜の主人公に憧れた魔族が相対したりするものの、。
盛り上がりに欠ける。
物語の盛り上げるための順序立てができていないせいで、
中盤からの魔族とのバトルがひたすらに退屈になってしまっている。
邪神
終盤になると邪神という存在が現れて主人公にちょっかいを仕掛けてくる。
また前世がらみだ。もう全然竜生にさよならできていない。
邪神の精神攻撃で人としての生を邪魔され、
竜としての、前世の自分に戻ることを誘惑される。
この終盤の展開でやりたいことはわかる。
二度目の人生でえたものを噛み締め、人として生きることの
喜びをしり、全力で生きることを決意する。
そういった展開を描きたいのは分かるのだが、
中盤からの盛り上がりの薄さと、前世絡みの関係性が
あまりにも多いのは気になってしまう。
しかも最終話では、それまでは部分的に竜化してたりしたり、
霊体では竜の姿だったりしたのだが、
最終話ではヒロインを追いかけるために普通の龍の姿に戻っている(苦笑)
「さよなら竜生、こんにちわ人生」というよりは、
ただ竜が人間の姿に返信してるだけのように見えてしまう作品になっていた。
総評:さよならという言葉の意味すら知らないのか?
全体的に見て序盤は悪くなかったのだが、
中盤以降は非常に微妙な印象を受ける作品だ。
偉大な竜だったものの人間に裏切られ孤独だった主人公が
人間としての第二の人生を歩み、生きる喜びを知る。
そういったことを描きたいのはわかる。
しかし、中盤以降はどうでもいい敵とのバトルを
ダラダラと描いてしまい、終盤になると前世絡みのキャラもでてきて、
前世の記憶があるのはいいにしても、力も、関係性も失われていないのは
前世を「さよなら」しきれていない感じが強い。
ラミアなヒロインや牛人 という種族が村中に自らの乳を
提供していたりと、そういったモンスター娘的なフェチズムを
感じる部分はあるものの、そこも活かしきれていない感じがある。
何もかもが中途半端だ。
竜としての前世を捨て、人間としての今生を生きるという部分や、
モンスター娘的要素、俺つえー要素も常に手加減、
どれもこれもぱっとしない感じで終わってしまっている。
このあとは学園編が始まるようだが、
そういったベタななろう系的な展開になると、
余計に特色を失ってしまいそうだ。
原作は24巻、コミカライズは12巻と
長期連載作品になっており、2期の可能性もなくはないのだろうが、
この印象の薄さが2期があった場合、覆るのかどうかは
気になるところだ。
個人的な感想:アルファポリス
なろう系という言葉で囲ってしまうものの、
最近、アルファポリスの作品を色々と見ていたせいか、
傾向のようなものが見えてきたかもしれない。
基本的に作画が悪いか、印象が悪いかの2択だ。
THE NEWGATE やとあるおっさんのVRMMMO記など
壊滅的な作画の作品や、いずれ最強の錬金術師?などの
印象の薄い作品のどちらかという印象が強い。
かつてはGATEなど面白い作品もアルファポリス原作のアニメでは
あったのだが、近年はそういう作品もなく、
印象が薄いか、作画が悪いなろう系作品なのが
アルファポリスという印象がつき出してしまった。
今年も多くの作品がアニメ化される予定だが、
この傾向のままなのか、この傾向を打ち砕く作品が生まれるのか…
見守りたいところだ。