評価 ★☆☆☆☆(14点) 全12話
あらすじ なろうサイトで人気の原作!3,300万PVを誇る原作が、小説・漫画・そしてアニメへ!【鑑定】することしかできない最弱職で不遇職の【鑑定士】アイン。 引用- Wikipedia
作画崩壊、制作限界、医療崩壊
原作はライトノベルな本作品。
監督はいわたかずや、制作はproject No.9。
原作のキャラクターデザインをいとういのぢさんが手掛けており、
2025年春からは実写ドラマ化もされている。
原因不明
この作品は「カルテ」とタイトルに有る通り医療モノだ。
1話から原因不明の病気を持つ人が入院してくるものの、
いくら検査しても原因はわからない。
この手の医療モノとしては非常にありがちな展開だ。
多くの医者が頭を悩ます中で「主人公」が現れる。
見た目は中学生くらいの可愛らしい姿をしているものの、
口調は強く、年上だろうが敬語をつかないような傲慢な性格をしている。
時間にも他人のも厳しい主人公ではあるものの、彼女は天才医師だ。
他の医者が頭を悩ます中で彼女は少々検査結果をみて
診察しただけであっという間に原因を見抜いてしまう。
ただこの病院はかなりやばく、子どものビタミンAの過剰摂取はともかく、
大人が腹痛で運ばれてるのに「アニサキス」が見抜けないほどの
医者しかいない(苦笑)
天才キャラを作るために周囲のキャラを馬鹿にするという
手法はよくあるが、この作品もそれだ。
医療モノというドラマではよくあるジャンルではあるものの、
アニメではほとんどお見かけしない。
その原因はリアリティラインにもある、アニメとはファンタジーだ、
実写でやってしまうと違和感が出るような内容もファンタジーという名の
嘘で誤魔化しやすい。しかし、逆に実写でやるような内容をアニメにすると、
リアリティラインの問題もあり違和感が生まれやすい。
アニメの1話と2話は原作者が監修しているとは言え、
アニオリ脚本のようだが現役の医師である原作者の割には
もう少しマニアックというか本格的な「天才医師」にしか
見抜けないような病気にすることはできなかったのだろうか。
1話から妙にガバガバ感が目立っている。
釣りが趣味の患者の身体的特徴を見抜き
釣りが趣味でアニサキスが原因だ!と推理力を描きたいのはわかるが、
これは推理力とは言えないうえに、医者としても使えない医者が多すぎる。
しかし、それでもいいのかもしれない。
この作品は医療モノではあるものの、同時にミステリーだ。
青い血
主人公たちの病院に急患が運ばれる。
青い血を持つ患者、しかも左足を噛みちぎられてしまった死体。
大きな獣に食いちぎられた患者はどうしてそうなってしまったのか。
「これは面白い!」
死体を目の前にして歓喜する姿はとても医師には見えないものの、
謎を解き明かしたい、不思議な死に方をした被害者を
医師として解決したいという欲がある。
巨大な獣に噛みちぎられたような後はなんなのか…
「ティラノサウルス」である(笑)
1話前半でアニサキスなどのリアルな病気を出しておいて。
1話後半でティラノサウルスに噛みちぎられたという
意味不明なトリックが明らかになる。
青い血の謎は医師が手掛けたからこその謎ではあるものの、
犯人は証拠の残る左足を消すために、
「ティラノサウルスの標本」を使っている(苦笑)
色々と強引な手口であり、謎が明かされても
「なるほど!」とはなりづらい。
1話と2話でリアリティラインが定まっておらず、
リアルなのかファンタジーなのかが曖昧だ。
だからこそ変なツッコミどころが生まれている。
呪いの動画
3話になると呪いの動画を見た双子の片方が自殺未遂をするという
事件が起こる、精神科医にかかるものの原因は特定できずにいる。
呪いの動画が起こした事件なのか本当に精神的なものなのか。
呪いの動画自体は「光の点滅」が多い動画だ。
この時点で多くの人が気づくだろう。ポリゴンショックだ。
光刺激によるてんかん発作という、ポリゴンショック事件を知ってるなら
誰もが気づきそうな部分であり、そんな病気ですら
主人公以外は気づかない。
この作品の中の医者に頼るよりChatGPTあたりにきいたほうが
よっぽど適切に診断してくれそうだ。
1話と2話の事件はまだ医療知識と殺人事件がからみ、
ツッコミどころがあるとは言えこの作品らしい面白さを感じられたが、
3話以降はどんどんとミステリーとしても医療モノとしても、
アニメとしての面白みも薄れていく
強引
4話などもはや病院など関係なく、
数々の事件を解決したという噂が世間に出回り、
主人公のもとに歴史学者がかかった呪いの解決依頼が舞い込んでくる。
次々と起こる呪いによる連続殺人事件、謎の人体発火現象、犯人は誰なのか。
事件としては興味深くサスペンスとしての緊張感はあるのだが、
肝心の解決があまりにも強引だ。
真犯人は偶然の自然発火を狙いずっとトリックを仕掛けていたものの、
そのトリックが発動せず、周りの関係者が偶然病気になったり、
偶然、別の同期を保つ犯人が動いてましたという偶然が重なりすぎている事件だ。
いろいろな偶然が重なりすぎた結果の連続殺人事件なのはわかるものの、
序盤の事件と同じく事件が解決しても
「なるほど!」とはなりづらいストーリーになってしまっている。
作画もこのあたりから悪くなっていき、
カットがかかるたびに作画ミスが頻発する。
登場人物の服の色が変わってたり、手袋をしていたはずなのにしていなかったり。
作画監督による監修や指摘が間に合っていないのだろう。
キャラの顔もガッタガタであり、全体的に引き気味の絵がかなり誤魔化しているが、
ごまかせないほどの作画ミスと安定しない顔の作画のせいで
アニメとしての面白さも減っていく。
作画崩壊
元々この作品は会話劇であり、アクションシーンのようなものは少ない。
それなのに作画が明らかに間に合っていない。
スタッフ欄を見るとわかりやすいのだが、6話の作画監督、総作画監督ともに
「会社名」だ(苦笑)
個人名ではなく会社名になる場合はいわゆる外注に投げた結果であり、
海外のグロスに6話は丸投げしたことがスタッフ欄を見てもわかってしまう。
作画の限界さもそうなのだが、脚本自体もおかしい。
6話の犯人が蔵にガソリンを撒きマッチで火を付ける。
周りは火に囲まれているという状況なのに
主人公は「呑気」に犯人に説教を続けており、
そもそも密室にガソリンを巻けば火がついたどころの
騒ぎではないのだが、誰も怪我をしておらず、呑気な絵になっている。
これが灯油ならまだ納得できたのだが、
もう、話が進めば進むほど作画も話も限界だ。
限界
6話を超えたあたりで作画はほとんど瀕死状態だ。
なんとか万策が尽きないように、なんとかスケジュール通りに。
そんな制作側の叫びが聞こえてくるほどの作画ではあるものの、
この作品は放送中に3回も「特番」を挟んでいる。
最初からギリギリのスケジュールだったのだろう。
2025年春からの実写ドラマにあわせる、そのためのスケジュールで
製作しており、こうなってしまうのは必然だったのかもしれない。
作画面ではそういった事情もあるのかもしれないが、話も限界だ。
子どもたちが入院する部屋で違った病状が同時におこる、
そんな事件が起こるのだが、その原因は子どもたちが
病院から薬を盗んでいたことだ(苦笑)
これで大人がこっそりぬすいんでいたならともかく、
子どもたちが病を装うために病院から薬を盗み出すという
「ガバガバ」な薬の管理をしている病院に怖さすら感じる。
事件のトリックありきで細かい部分のツッコミどころが凄まじく、
この病院には絶対に行きたくないと思ってしまうほどひどい描写だ。
限界突破
10話の作画などはもはや限界を超えており、
いかにキャラクターを描写しないか。そんな努力を感じるほど
背景背景背景背景だ(苦笑)
無駄に扉や窓ガラス、時計、スマホや車などをアップにするシーンも多く、
アップにするだけでなくやたら描写する時間も長い。
芸樹的なまでの作画の省略は制作側の
なんとかスケジュールに間に合わせるという努力を感じるものの、
見ている側としては話に集中できない。
会話シーンすらろくに描けないほどの作画のクォリティだ。
作画のミスも頻繁にありカットがかかると服装が変わっていたり、
セリフと口があっていなかったり、
状況と作画があっていなかったりともう限界突破だ。
最終話こそ作画のクォリティが戻り、
1クールの締めのエピソードとしては悪くないのだが、
作画の悪さもあいまってなんとも言えない印象が残る作品だった
総評:ヤブ医者しかいねぇ…
全体的に見て色々と厳しい作品だ。
中盤から作画が明らかに悪くなり、作画崩壊しているような
体のパーツの描写だったり、作画枚数をごまかすための露骨な背景や
小物のアップで尺をもたせる構成だったりと、制作が
スケジュール的に限界だったことを感じさせてくれる。
実写ドラマが2025年春からであり、その前にアニメを放送し、
ドラマの宣伝にもなり、アニメの宣伝にもなる。
そんな一挙両得を狙ったのかもしれないが、
大人の事情に振り回され制作のスケジュールが限界を迎えてしまった。
制作のproject No.9は一昨年あたりから作画崩壊が目立つ
制作会社になってしまっており、露骨に無理な量の製作数を請け負っている。
そういうギリギリなスケジュールや予算でも請け負ってくれる、
いわゆる駆け込み寺のような制作会社になってしまっているのかもしれない。
作画崩壊に関してはそういう事情があるからこそ仕方ない部分はあるが、
脚本についてのツッコミどころも多すぎる。
主人公を天才医師に仕立て上げるためなのはわかるが、
同僚の医師がアニサキスを見破れず、てんかんも見破れないのは流石に厳しく、
終盤は子供が病院の薬を何度も盗み出している。
医療モノというリアリティラインが上がってしまっているジャンルだからこそ、
このあたりのガバガバ感がやたら気になってしまい、
ガソリンが巻かれた蔵の中で呑気に説教をかましてるシーンなど
違和感が大爆発していた。
ところどころ悪くないエピソードはあるものの、
それを上回るほど突っ込みどころのある部分や作画の悪さが
目立ってしまっている作品だった。
個人的な感想:約束のネバーランド
約束のネバーランドも実写映画にあわせて2期を製作した結果、
とんでもないことになっていた作品だったが、
この作品も実写ドラマに合わせるために
こんな出来栄えになってしまった作品だ。
同じ内容でも実写ドラマは作画崩壊しないだろう、
内容的にも元々アニメ向きの作品ではなかったかもしれない。