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ハイテンション探偵コメディ「まったく最近の探偵ときたら」レビュー

3.0
まったく最近の探偵ときたら コメディアニメ一覧
画像引用元:©2024 五十嵐正邦/KADOKAWA/まったく最近の製作委員会ときたら
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評価 ★★★☆☆(42点) 全12話

TVアニメ『まったく最近の探偵ときたら』放送直前PV|2025年7月1日より放送開始!

あらすじ その昔、一世を風靡した名探偵の名雲 桂一郎。彼が解決した事件は数知れず。そんな彼も今では元名探偵。 引用- Wikipedia

ハイテンション探偵コメディ

原作は漫画な本作品。
監督は久城りおん、制作はライデンフィルム

おじさん

主人公はおじさんだ、うだつのあがらない探偵。
名探偵と呼ばれた若い時代、高校生探偵として大人気だったものの、
今やそんな影すら無く、若さを失ったおじさんは腰痛に悩み、血圧に悩む日々だ。
仕事も数えるほどしか無い、場末の探偵だ。

そんな探偵事務所に「女子高生」が探偵を目指してやってくる。
ハイテンションで人の話を聞かない女子高生は
この作品における「ボケ」だ。そんなボケをおじさん探偵が突っ込む。
1話でスタイルが出来上がっている。

おじさんは「新しいもの」を受け入れられず、この時代にスマホすら知らず、
写真を撮るのもインスタントカメラだ(笑)
あんぱんと牛乳片手に探偵業をする時代に取り残されたおじさんと、
今どきJKのコンビの物語の幕が上がる。

基本的に探偵業をストーリーの主軸にしているが「ギャグ」アニメだ。
蜂の巣の駆除を頼まれて、ヤクザの事務所の駆除になったりと、
1話から「ズレ」という名のボケが効果的に作用している。

演じているのもおじさんを諏訪部順一さん、JKを花澤香菜さんと
ベテランだからこその安定さもあり、
エンディングでは花澤香菜さんによる「ラップ」も聞ける(笑)

ギャグ

この作品は1話あたり2エピソード構成になっている。
30分だとマンネリするところ15分だからこそ
1エピソードごとにきちんとしたテンポ感が生まれており、
同時に毎エピソード「起承転結」がすっきりとしている。

心霊騒動だったり、迷子猫だったり、爆弾騒動だったり。
基本は探偵ものではありがちな導入からギャグに話を展開している。
ギャグに関しては好みがあり、特に序盤はギャグ自体の
切れ味自体が甘い感じがある。

しかし、そんな序盤をすぎるとキャラも増え、ギャグが馴染み、
「探偵もの」という軸はブレず、探偵ものという舞台設定を
逆手に取るかのようなエピソードが増えてくる。

特に4話では山の上にある館の資産家の食事会に
唐突に招待されたかともえば、怪しげな仮面をつける使用人が出迎え、
なにかしらわけありな人物たちがそこに集っている。
「金田一少年の事件簿」なら連続殺人事件が始まりそうなムードだ、
だが、そんなムードのなかで何もおこらない(笑)

ミステリーのあるあるを逆手に取るかのようなギャグは斬新だ。
ミステリーもののテンプレートを使いつつ、
見てる側に「なにか事件が起こりそう」な雰囲気を醸し出しつつ、
そんな雰囲気の中でギャグをヤる、事件が起こりそうな緊張感と
ギャグによる緩和、緊張と緩和がうまく働いている作品だ。

何も事件が起きていないのに、それをギャグに転換するのが非常にうまい。

キャラクター

ギャグアニメというジャンルではありがちなのだが、
話が進めば進むほどどんどんとキャラが増えてくる。
マンネリやネタ切れを防ぐためなのはわかるものの、
そのキャラによる当たり外れ、エピソード自体のブレもかなり大きい。

キャラクターもある程度、ボケが固定化されている部分があり、
吉本新喜劇のごとく、同じキャラが同じボケをしている感じも強い。
銀魂やこち亀、そういった少し懐かしいギャグアニメなノリがあり、
まちなかに潜む「変態おじさん」たちや大量のサブキャラなど、
両作品のテイストを感じる部分もある。

劇画タッチへの瞬間的な切り替えなど、
アニメーション部分でも遊びがきちんとあり、
ギャグアニメで重要なテンポ感、勢いというものをきちんと感じる演出だ。
そこにキャラクターを演ずる声優さんのハイテンションな演技がたされることで
この作品の笑いがより強調されている。

パロディ

ギャグアニメという都合上、好みは分かれる部分はあるものの、
中盤くらいまで見るとこの作品の傾向や流れが掴みやすく、
キャラやギャグに良い意味でのテンプレ感が生まれてくる。

金田一少年の事件簿、名探偵コナン、探偵はBARにいる、
スマホを落としただけなのに、TRICK、
様々なミステリーをパロディし、ギャグ仕立てに仕上げているエピソードは
秀逸であり、それ以外の日常エピソードはパンチが弱いものが多いものの、
秀逸なミステリーパロディギャグは冴え渡っている。

パロディもとの雰囲気を出すための演出も素晴らしく、
金田一少年の事件簿の容疑者の描写や、探偵はBARにいるのときはハードボイルドにと、
アニメ的な遊び心も素晴らしく、
話が進めば進むほど面白さが増していく作品だった。

総評:何も!何も起きないのである!

全体的に見て「探偵」というジャンルそのものをパロディして
逆手にとりギャグアニメに仕上げている作品だった。
序盤はやや作品自体に迷走感があり、ギャグの当たりハズレも激しいのだが、
4話くらいになるとキャラクターとギャグがこなれてくる。

様々な探偵もののパロディはシンプルに面白く、
何か事件が起こりそうで結局起こらないストーリーは
元の作品を知っていれば知っているほど楽しめるようになっている。

その一方で作品としてある程度パターン化しており、
ヒロインであるJKの怪力、ゴリラネタなどマンネリを通り越し
お約束としてこなれてくるまでやや時間がかかる。
大量のサブキャラとの絡みも序盤よりも中盤のほうが
ギャグの切れ味も増していくため、序盤で切ってしまうともったいない作品だ。

ただ、ギャグ自体の好みは人によって本当に大きく分かれる。
特にこの作品は最近のギャグアニメというよりも、
こち亀や銀魂などのテイストに近く、
そういったノリが嫌いな人は受け入れられない作品かもしれない。

エピソードによる当たり外れも激しく、序盤のこなれてなさもあいまり、
高い評価はしづらいものの、今から見る人は4話くらいまで様子を見てほしい作品だ。

TRICK

特に個人的に終盤の「TRICK」ネタは
私がTRICKが大好きだったこともあり本当に笑ってしまった。
こういった面白さがでてくるのが4話からであり、
しかも毎エピソードというわけでもない。

そのあたりのエピソードのブレが凄まじく、
そのブレも含めて楽しめるのかが人によって大きく違う。
私は序盤よりは中盤からのほうが好きだが、
人によっては序盤は好きだったのに…という人もいるかも知れない。

ギャグアニメとしての難しさを感じつつ、
もし2期があったら、もっと面白さに磨きがかかる可能性を感じる作品だった。

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