「邪神ちゃんドロップキック」レビュー

評価 ★★★☆☆(47点) 全11話

あらすじ 神保町に住む女子大生・花園ゆりねは魔界から悪魔・邪神ちゃんを召喚することに成功するも、悪魔を帰す方法がわからず、邪神ちゃんを自宅に住まわせることにした引用- Wikipedia

恥も外聞もない親父ギャグが癖になる

原作はCOMICメテオで連載中の漫画作品。
監督は佐藤光、制作はノーマッド。

原作未読者お断り


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

1話でいきなりメインキャラが勢揃いしてすき焼きを行うところから始まる。
「邪神ちゃん」とタイトルに有る通り、メインキャラは邪神であり、
人間のキャラクターの方が少ない。

下半身は蛇だったり、牛の角としっぽが生えていたり、
エジプトの女王の格好のキャラクターが居たり、
ゴスロリなキャラクターが居たりとややカオスな中で、
すき焼きを行っている。
ちなみに調べた所、この話は原作の「59話」の話らしい(苦笑)

本来ならば描かれるべき原作の1話を描かずにいきなり59話に飛んでいる。
キャラクターたちがなぜここにいるのか、どういった状況なのか、
そういった基本的な舞台設定が理解できずに、
「知っている前提」で話を勧めてしまう。

正直、制作側は何を考えているのだろうか?
キャラクターの関係性が完成し、状況や設定も理解してる前提で
いきなり「59話」を描かれても原作未読者にとっては
内容を楽しむよりも先に状況を理解しなければならない。

例えるなら楽しく会話をしてるところに途中参加するようなものだ。
何の話をしているかを察し、作り笑いをしないといけなような感覚だ。
原作を読んでいてキャラクターを理解していない限り、
1話は色々と厳しい。

好みの分かれるギャグ


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

この作品はいわゆる「グロ要素」がある。
人間に召喚された邪神ちゃんは魔界に帰るために召喚者である「ゆりね」を
殺そうとしているが、いつも返り討ちにあってしまう。
ありとあらゆる手段で殺そうとするが返り討ちにするさまが
いわゆる「お約束」的な展開になっている。

ただ、描写がかなり過激だ。
部屋中に血が撒き散らされたり、骨折、ミンチ、切断etc…と過激な描写が多い。
ギャグ要素自体も好みの分かれる要素だが、
そこにさらに嫌悪感をいだきやすいグロ要素が入ることで
余計に好みが分かれやすくなってしまっている。

同じギャグアニメでも「よんでますよ、アザゼルさん。」でも
グロ描写がややあったものの、
あちらは二頭身のマスコットキャラが血みどろになるだけだったが、
この作品は下半身が蛇とはいえ人の姿をしているがゆえに、
グロ要素の過激さが余計に強まってしまっている。

切りつけられたところを「接着剤」で貼り付けてたりする様は
シュールで笑えたりするのだが、
パターン化してしまっている展開と相まって、
過激な描写の割には飽きやすい。

ご当地ネタや古すぎるネタ


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

この作品の舞台は「神保町」らしく、いわゆるご当地ネタが有る。
「ボンディの入り口は神田古書センターの裏側である。本屋から入るのはダメだぞ」
というセリフが閑話休題的に挟み込まれるのだが、
このネタで笑える人は何人居るのだろうか?

古いネタも多い。
クールポコの「やっちまったなぁ!」というセリフや、
「やらないか」などネタの鮮度が10年位古い。
原作が2012年から連載してることを考えると6年前なら笑えたかもしれないが、
正直面白さよりもふるさのほうが際立ってる

オヤジギャグのようなギャグも多く、
カレーにマヨネーズを掛けて「これはモハメド…アリですわ!」というような
台詞もある(笑)

非常に絶妙なセンスのネタであり、古いネタも「2018年にこのネタか」といような
感覚が逆に笑えてしまい、この妙なしょうもなさが見ているうちにクセになる。
正直、「くまむし」のネタをさらっと出してきたときは、
懐かしさも相まって逆に笑ってしまった。

当たり外れはあれども


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

ギャグアニメであるがゆえにあたりの話とハズレの話がある。
ただ1話あたり4エピソード以上の構成になっているため、
起承転結がスッキリとした話の中で外れの話があってもあまり気にならない。

一応、主人公である「邪神ちゃん」は魔界に帰るという目的はあるものの、
そのメインストーリーがキチンと描かれることはなく、
あくまでも彼女たちの日常の中でのギャグが基本となっており、
話が進むとキャラクターが増えたりはするものの、
良くも悪くも安定している。

1話の時点では原作未読者に優しくないものの、
2話、3話、4話、5話とはなしが積み重なりキャラクターを理解し、
この作品の妙な「しょうもなさ」が癖になってくる6話あたりで、
この作品の面白さが明確になり、
1話の印象は良くないのに最終話を見終わったあとはもう少しこの作品の
どこか古く、どこかズレて、どこかしょうもない雰囲気を
もっと味わっていたくなるような作品だった。

総評:好みは分かれる


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

全体的に見て好き嫌いははっきりと別れてしまう作品だろう。
ギャグアニメの中で行われる過激なグロ描写は人によっては嫌悪感をいだきやすく、
幾度もミンチにされてしまう邪神ちゃんを笑えるかどうかで、
この作品を楽しめるかどうかが決まる。

1話では原作未読者お断りな状況ではあるものの、
中盤になるとキャラクターの印象がしっかりと見てる側に伝わり、
そこに古さを感じるネタやパロディ、オヤジギャグなどが妙な味わいを出しており、
本来は「スプラッター」な部分が売りの作品ではあるものの、
そこに頼らない日常描写やギャグのほうがツボに入る作品だった。

惜しむべきはこの作品の1話がこの作品で1番面白くないという事だろう。
メインキャラが勢揃いしている「原作の59話」を1話に
もってきた制作側の気持ちも少しは分かるのだが、
この1話がきちんとした話の「導入部分」なら作品に対する第一印象は
だいぶ違っただろう。

同時期に1話から面白いギャグアニメがあっただけに、
他のギャグアニメの影に隠れてしまったのは残念なところだった。
中盤くらいまで見ればこの作品の面白さがしっかり分かってくるが、
グロ描写などの好みの分かれる部分も相まって、
その中盤までの視聴継続がなかなか難しい作品だ。

ただ1話で辞めてしまったという人は中盤くらいまで見てみると、
キャラクターの印象も深まり、作品の印象も変わってくるかもしれない。
1話切りする気持ちもわかるが、1話で判断するには早い作品だ。

個人的な感想:積み重なって重要だ


引用元:©︎ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック製作委員会

序盤こそほぼ無表情で見ていたのだが、「モハメドアリ」あたりから
クスクスと笑ってしまい、「なまあったかいんだから~」で
この作品をきちんと楽しめるようになっていた。

ギャグに関しては好みがあるので中盤まで見ても合わない人もいるかも知れないが、
まだ見ていない方は「この作品は1話が1番面白くない」ということを
頭に置いて中盤くらいまで見てから判断してほしい作品だ。
私は中盤以降、親父ギャグが出るたびに不意をつかれるように笑ってしまった(笑)

余談だが、原作者の年齢はいくつなんだろうか。
「セーラー服と機関銃」ネタや「モハメドアリ」など、
明らかに若者が思いつくネタではない上に若者に通じにくい。
だが、そのネタの古さを押し通し流行っている芸人ネタを恥ずかしげもなく
使いまくるこの作品のセンスを私はあえて評価したい。(笑)

円盤が2000枚以上売れれば2期をやるという宣言をしているのだが、
上下巻のBOX売りで上巻が現在、615枚売れているようだ。
ギリギリ達成できなさそうな絶妙なラインが、
ある意味この作品らしくて面白いのだが、2期をやるならば期待したいところだ。