「波よ聞いてくれ」レビュー

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評価 ★★★☆☆(58点) 全12話

あらすじ 2015年6月4日、札幌市のスープカレー屋「VOYAGER」で働く鼓田ミナレは、職場のラジオから自分の声が流れていることに気づく。引用- Wikipedia

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私の波を聞けっ!

原作は月刊アフタヌーンで連載中の漫画作品。
監督は南川達馬、製作はサンライズ


画像引用元:波よ聞いてくれ 1話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

1話始まって早々に主人公は「熊」と対峙している(笑)
一体全体どんな状況なんだ?と疑問に思いつつ、
そんな熊と対峙してる自分を主人公はまるで誰かに対して
説明するかのようにやや大げさに語る。

あまりにも突飛な状況にこの状況にどうやって至ったのか、
主人公がなぜ「ラジオ」のように自分が熊と対峙していることを話すのか、
1話の冒頭という1クールアニメで大切なシーンで、
この作品はしっかりと「先が気になる」シーンになっている。

彼女は熊を目の前にしながらラジオを続ける。
リスナーからのお悩み相談を読んでいる。
淡々ではあるものの、雪崩のように彼女はどんどんとリスナーからの
メールを読み上げる。

地方のラジオのどこの誰だかわからないようなラジオパーソナリティ、
そんな明らかに面白くないラジオに送られてくる
本当にどうでもいいお悩み相談。熊と対峙していなければただのラジオだが、
熊と対峙しているという「シチュエーション」で彼女が命からがらに
メールを読み上げる。

彼女は狭いブースの中で座りながら想像の中で熊と戦う(笑)
製作会社が「サンライズ」だからこそ無駄に動く熊との戦闘シーンは
「なにを見せられてるんだろう?」という感じはあるものの、
熊と戦いながらメールを読み上げる主人公の姿、
必死に戦いながらもお悩み相談を受ける主人公の姿が
意味のわからない面白さがある。

ラジオのパーソナリティが色々な「シチュエーション」で
アドリブで演じながらラジオのパーソナリティとしてラジオを届ける。
ある種のシチュエーションコメディをやりながら
彼女をはラジオをやっている。

やや実写的な内容を「熊との戦闘」というアニメ的な表現で見せながら
この意味不明な状況が紐解かれていく。

流出


画像引用元:波よ聞いてくれ 1話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

主人公は彼氏と別れたばかりで飲み歩いている中で
とある男性と出会う。見ず知らずの男性に彼女はからみ、
彼女は自分の恋愛の価値観や愚痴を彼に漏らす。
そんな価値観や愚痴、酔っぱらいのトークを彼は勝手に録音し
「ラジオ」で流してしまう。

やや強引かつ犯罪チックな流れであり、
そんな強引な流れのままに主人公はラジオパーソナリティにされてしまう。
怒涛の台詞量だ。彼女はラジオでなくてもひたすらに喋り続けるような女性であり、
畳み掛けるように喋るさまは圧巻されると同時にやや疲労感も生む。

本当に口を閉じているシーンのほうが少ないんじゃないかと思うほどに
喋り続けている。これが原作の媒体である漫画なら「文字」で
自分のテンポで読むことができるが、アニメという媒体だと
見ている側のテンポ感など関係なしにまるで濁流のように
鼓膜に流れ込んでくる。

予告でさえとんでもない量のセリフを喋っており、
聞いたあとに聞いていたはずなのに「あれ?今何を喋ってたんだっけ?」と
思うほどのセリフ量だ。
普通のアニメの台詞が「聞かせる」ものならば、
この作品の主人公の台詞は「聞け」というような印象を受けるほどの圧がある。

1話の時点でかなり好みが分かれる作品だ。
この怒涛のセリフ量、90年代のラジオを思わせるようなノリが
好きになれるかどうか。人によって印象は大きく変わりそうだ。

序盤の展開も熊との対峙という衝撃はあったものの、
2話以降はやや話が淡々と進みながら
主人公はお金のためにラジオパーソナリティになる。

波よ聞いてくれ


画像引用元:波よ聞いてくれ 5話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

5話でようやく彼女のラジオが始まる。スポンサーすら無い、自由なラジオだ。
ラジオのスタッフがラジオでやりたいことを主人公で遊ぶかのようにやる。
あまりにも自由すぎるラジオをまるで本当に奇想天外なラジオを
聞いてるかのような感覚に陥るほどの面白さを感じさせてくれる。

なにせ彼女は「彼氏を殺した」という設定でラジオをする(笑)
リスナーも戸惑いを見せる中で、今まさに彼氏を殺そうとしようといている女性も
彼女の生放送を聞いている。殺されかけているのは主人公の元カレだ。

意味のわからないラジオドラマを繰り広げる
主人公の怒涛の喋りの圧に圧巻される。
ややネタとして古い部分もあり「宇宙戦争」や細かい小ネタなど
元ネタの説明なしにさらっとでてくることもあり、
このネタが分かるのは少なくとも30代以上では?というネタも
さらっと使ってくる。

キャラクターたちの絶妙な例え、爆笑ではないがくすぐられるようなギャグが
見れば見るほど癖になってくる。

彼らは大人だ。
大人であるがゆえに過去があり、大人であるがゆえにこれまでの経験がある。
そんな大人の彼らの一人ひとりに物語があり、
話がすすめば進むほど彼らがどうなるのかが気になってくる。

何だこの話と思う話も多く意味不明な話も多い。
例えば主人公の家の階下に住んでる男性の家に除霊しにいったりもする(笑)
序盤から彼のエピソードにつながるような伏線が張り巡らされており、
「あのシーンは一体何だったんだ?」と思うシーンが後のエピソードにつながる。
序盤では意味のわからないシーンが中盤でつながってくることにより面白さが増す。

それを彼女はラジオで話す。拍子抜けするようなオチがつくこともあり、
そんな彼女の体験、彼女だからこそのラジオが作り上げられていき、
そんなラジオが面白い。

ラヂオの時間


画像引用元:波よ聞いてくれ 11話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

終盤になるとどこか実写映画でもある「ラヂオの時間」を思い出させる。
主人公はラジオでラジオドラマをやることになる。
古臭いとも言えるラジオによる音の出し方、ラジオだからこそ、
声と音だけだからこそ「想像」できるドラマの面白さ。

ラジオドラマを撮る過程を描写しつつ、
そんなラジオドラマの中で彼女は「過去」を振り切る。
終盤でラジオは彼女の人生そのものになりつつある。
ドラマのアドリブの中で台詞の中で彼女は自分自身を見つめ直し、
ラジオにおける「自分」というものを確立していく。

『私は死ぬまで!さまよえる日本人!鼓田ミナレだ!』

11話で彼女のセリフは11話までのストーリーがあったからこそだ。
スープカレー屋でバイトし、バイト先の男に好かれ、
付き合ってる男には金を貸して持ち逃げされ別れ、
ラジオのおじさんと出会い、ここまできた。

そんな彼女の言葉を彼女に関わった多くの人も聞いている。
様々な人、多くの人の思いが最終話で交差する。
この作品はたしかに地味だ、だが、その地味さを1話から積み重ねることで
それが面白さにもつながっていく。

みんな生きている


画像引用元:波よ聞いてくれ 12話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

高校時代から放送作家に恋のような憧れをだいていたAD、
スープカレーのバイト、兄に束縛されていた女性etc…
様々な思いが交差する中で「地震」が起きる。

「災害時にラジオだけは止めてはいけない」

TVやネットがつながらずとも「ラジオ」という電波は最後の通信手段だ。
停電をシてもラジオ局は自家発電で動き、電池の入ったラジオさえアレば
情報を仕入れることができる。

素人でやってきた主人公が、プロとしてラジオで情報を届ける。
プロだからこそ彼女はどんな時も伝える。
生放送でリスナーに寄り添い、情報を伝える。
ラジオを聞いている人も情報を寄せる。
ラジオという電波によって生まれる「繋がり」が災害時の安心感を生む。

この作品は「ラジオ」の良さというのを最終話で伝えている。
そんな良さを実感したからこそ彼女も腹をくくり、
ラジオパーソナリティとしての覚悟を決める。

私のラジオはこれからだ。
そんな言葉すら聞こえてきそうな爽やかなラストは
気持ちのいい爽快感を感じさせて終わる作品だ。

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総評:このまま腐るだけの媒体じゃない


画像引用元:波よ聞いてくれ 12話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

全体的に見て非常にまとまりのある作品だ。
1話の熊の対峙で衝撃を受け、そこから徐々に主人公が
ラジオパーソナリティになっていく。強い盛り上がりこそなく
淡々とした展開は続くものの、その淡々とした展開の中でキャラクターを描写し、
一人ひとりの大人の物語と、主人公であるミナレの物語を描いている。

良くも悪くも主人公であるミナレは好みの分かれるキャラクターだ。
四六時中喋り続け、怒涛とも言える台詞を荒ぶる波のごとく叩きつけてくる。
あまりにも多すぎるセリフは長い長い自己主張だ。
そんな自己主張は圧があり、その圧を気に入れるかどうかがこの作品を
楽しめるかどうかのポイントだ。

小ネタやキャラクターの台詞もやや世代を感じるものも多く、
若い人には「わからない」と感じるネタも多いだろう。
ある意味でアラサー向けだ(笑)
小ネタや台詞に面白いと感じれるかも人を選ぶ部分がある作品だ。

しかし、好みに合えばガッツリと面白い作品だ。
普通の主人公の3倍位は喋ってるようなセリフ量、
ラジオパーソナリティなるまでのストーリーと主人公の過去の男への決別、
主人公を取り巻くキャラクターの物語もしっかりとあり、
最終話はラジオの存在意義をしっかりと伝え、
その意義に主人公も共感し、決意をする。

原作がまだ続いていることもあり、色々と片付いていない問題や
「あれはなんだったんだ?」的な部分あるものの、
1クールで綺麗にストーリーがまとまっており、
1話1話積み重ねてそれが光っていくような作品だ。

目の影


画像引用元:波よ聞いてくれ 1話より
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局

個人的には序盤はあまりピンとこなかったが中盤くらいから
しっかりとした面白さを感じられた作品だった。
ただ「目の影」というか白目の部分に描かれているのが非常に気になってしまった。
コンタクトかズレていると言ってる人も居たが、
そういう違和感を感じさせるような謎のキャラクターデザインだ。

そんなキャラデザや怒涛のセリフ量に序盤はややなれず、
中盤でなれてきてこの作品の面白さが見えだしてきたような、
そんな作品だった。

コメント

  1. ななし より:

    人を選ぶ分,辛い点数?