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「TRIBE NINE」レビュー

1.0
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評価 ★☆☆☆☆(19点) 全12話

アニメ『トライブナイン』アニメーションPV第1弾

あらすじ 気が弱く、いつもいじめられてばかりの”白金 ハル”。最強の男を目指し、海の向こうからやってきた”タイガ”。ふたりの少年はとある夕暮れ、最強のXBプレーヤーであり、ミナトトライブのリーダーである”神谷 瞬”と出会う。引用- Wikipedia

ただの暴力

本作品はTVアニメオリジナル作品。
ソーシャルゲームもサービス開始予定のメディアミックス作品。
監督は小高和剛、制作はライデンフィルム

XB法

1話冒頭、世界観の説明がナレーションで描かれる。
近未来の東京、色々とカオスな状況になっている日本の切望した若者は
「ヒャッハー!」な状態であり、
様々な「トライブ」という名の集団が抗争を繰り広げている。
そんな中で日本政府は私闘を禁じる代わりに「XB法」を制定した

これがこの作品の世界観だ。
簡単に言えばヤンキーに私闘をやめさせるかわりに
なんでもありな「ベースボール」をやらせる法律だ。
なぜヒャッハーなヤンキー達がそんな日本政府の法律に従うのかが
よくわからないものの、そういう世界だと納得するしか無い。

1話から大量のキャラが出てきて殴り合いをしまくる中で、
「神谷 瞬」がバッド片手に登場する。
演じている声優さんが石田彰さんがゆえの存在感があり、
出てくるキャラクターのキャラクターデザインも尖ったデザインをしており、
妙に印象に残る。

各地のトライブ同士はにらみ合いつつもXBベースボールで抗争をしており、
主人公たちの港トライブはトップランカーだ。
そんなミナトトライブに気弱な性格の「白金 ハル」がやってきたところで
物語が動き出す。

XBベースボール

XBベースボールの規模は凄まじく街全体が球場だ。
審判は「ロボット」が行い、通信機器を使い、様々な機械を使う。
バッドも当然改造されており、とんでもなく飛距離が出る。
撃たれたボールはビルを駆け回り、時には駆け上がりながらキャッチし、
妨害行為はなんでもありだ(笑)

例え走者がタッチされようが、タッチしてこようとする相手を投げればいい。
暴力行為が全て野球の最低限のルールという名のもとには許されている。
しかし、あくまで最低限だ。
例えばフライボールをとってもアウトにはならず、
アウトは「タッチアウト」のみだ。

ボールを持った側とランナーにはバトルが発生し、
ボールを持った手でタッチされない限りはアウトにはならず、
ベースを踏めばいい。そのバトルにはなんでもありだ。
ぶっちゃけ選手をぶっ殺してもいい(苦笑)
そんな「ヒャッハー!」な未来野球界の中で、気弱な少年がどう成長していくのか。

とんでもない設定では有るものの、
ストーリー自体は王道の始まりだ。
でたらめな野球の描写と王道に見えるストーリーに
序盤の時点ではワクワクする期待感を感じさせてくれる。

キャッチャーは使い捨て

3話くらいからこの作品のとんでもなさが本格的になっていく。
この日本に存在する「王家」とやらが力と権威を示すために
各地のトライブに勝負を仕掛けている。
彼の投球は凄まじく、凄まじすぎてキャッチャーが使い捨てだ(笑)
天才と言われ、壊し屋と言われた「神谷瞬」がそんな彼と対峙する。

もはや野球とはなんだっけ?と思うほどの拳によるバトルだ。
ドラゴンボールのようなバトルを繰り広げ、
結果的に「神谷瞬」は死亡する(笑)
たしかになんでもありなスポーツというのは理解できるものの、
一応病人だったとは言え人死まで出るのがこの世界だ。

中盤

これは私だけかもしれないが各キャラの台詞の音声に対して
BGMが多すぎるせいで台詞が聞こえにくいシーンが多く、
音響監督は一体何をしてるんだと言いたくなってしまう。
BGMがバックグラウンドにおらず、キャラの台詞を邪魔するのは
本末転倒だ。

BGMの音量に合わせればキャラの台詞が聞こえにくく、
キャラの台詞の音量に合わせればBGMがうるさい。
下手したら字幕が欲しくなるレベルだ。

「神谷瞬」死亡以降のストーリーも心底微妙であり、
彼が死んだことでばらばらになるミナトトライブと、
新規メンバーの加入からの成長と他のトライブとの抗争などが
描かれるものの、そもそものXBの面白みが薄く、
なんかよくわからないなんでもありなルールの中で
キャラが殴り合っていつのまにか点を取ったり取られたりする。

序盤こそ作画もしっかりとしており、
このなんでもありなスポーツに面白さを見いだせたのだが、
中盤くらいからは作画のクォリティもややおち、
試合模様もよくわからない感じになってしまう。

野球ってなんだっけ?

なんでもありな近未来野球という設定自体は面白いが、
その設定の面白さは序盤で使い尽くし、
野球という本来の根本の要素がどんどんと薄まり、
暴力的な要素がどんどんと強まってくる。
最低限きちんと野球をして欲しいが、してくれない。

敵側のキャラとして「鳳 王次郎」が最強のキャラとして
君臨し、彼をなんとかしようと各地のトライブが奮闘するのだが、
もはや相手にならない。そももそも最低限野球のルール上で
戦ってるはずなのに
「まとめてかかってこい」ともはや野球ですらない乱闘でケリがつくことも有る。

話しが進めば進むほど「野球」要素がなくなっていく。
審判のロボットがハッキングされたり、
ランナーが100人現れて一気に100点取ろうとしたり。

野球の技術やルールなんてものは無視で、
選手を試合続行不能にすれば価値な野球は野球なのだろうか…
癖があり個性的なヒャッハーなキャラは多いものの、
その多いキャラクターを使いこなせておらず、
ソーシャルゲームへの展開を想定したキャラ数であることは分かるが、
顔見せ程度のキャラが多い。

こういったハチャメチャな、現実的にはありえないスポーツアニメは多いものの、
この作品はそのハチャメチャを履き違えている。
ただ滅茶滅茶なだけだ。それが面白さに変わっていない。
ただただ子供が散らかした部屋を見せつけられて
「コレは現代アートです」と言われているような気分だ。

恐らくはこのハチャメチャな部分を見ている側に突っ込ませたいという
制作側の気持ちはわかるが、突っ込む気持ちより呆れ果てる気持ちのほうが強い。

ヒャッハー!

終盤はXBのルールが代わり、より無法地帯になる。
そもそもが無法地帯なのにメインキャラクターたちが
より無法地帯になった現状に憤るのは意味がわからないものの、
最低限、メインキャラ達は野球をしているつもりであり、
もはや野球ですらなくなったXBを正常に戻したいという流れは分かる。

分かるものの面白いわけではない。
そもそもの「主人公」の存在が希薄であり、
序盤で退場してしまった「神谷瞬」の存在感に負けてしまっており、
「神谷瞬」が退場してしまったことでこの作品の面白さも
無くなってしまった印象だ。

メインキャラでさえ存在感が薄いキャラもおり、
特に「4つ子」など最初から出ているが存在感は強烈に薄い。
XBにおいて外野も別に1人か2人くらいれば問題ないので
四つ子がただの数あつめとしての存在でしか無いのかもしれない。

終盤には今まで戦ってきたキャラが大集合して
同じチームで戦うという制作側としては熱い展開なのかもしれないが、
特に思い入れのないキャラも多く、そもそも、
ガチで主人公側のキャラを殺しに来ていたキャラまで
仲間のような顔をしているのはよくわからない展開だ。

終盤になると明らかに止め絵も多くなり、BGMも大きくなる。
本気でアニメ視聴中に「聞こねぇよ…」とつぶやいてしまったのは
この作品くらいかもしれない。
野球の最中に「拳銃」まで持ち出すやつも現れる始末であり、
もう何がしたいかわからない。

謎覚醒

主人公は終盤で謎覚醒しており、因縁の薄い敵と戦う。
ただ状況として野球なんかしている場合じゃない。
天空に浮かぶ城が街に墜落しそうになっており、街は崩壊寸前だ。
野球そっちのけというより、ボールそっちのけで
徒手格闘を繰り広げており、試合がどうなってるかなんて一切わからない。

物語自体も主人公そっちのけであり、
なんかよくわからないが全て解決して終わる。
主人公の最後のセリフは皮肉たっぷりだ。

「さぁ!今日も楽しくプレイしよう!」

どこが楽しいんだろうかこの暴力野球。

総評:野球とは殴れば勝つスポーツである

全体的にみて序盤こそなんでもありな近未来野球「XB」の面白さを感じたが、
「神谷 瞬」が物語から退場したあたりから一気に雲行きが怪しくなり、
序盤こそ最低限の野球をしていたのだが、中盤くらいからは
もはや野球ですら無くなっており、ただの暴力だ。

キャラクターも多い割には使いこなせておらず、
別にいらないと感じるキャラばかりだ。
そんなキャラを出すくらいなら掘り下げも印象も薄い主人公や
ストーリーをきちんと描けばいいのにソシャゲ展開を想定した
キャラクター数に物語が振り回されてしまっている。

なんでもありな「XB」という野球みたいななにかも、
なんでもありすぎて、そこを突っ込むことでギャグ的に
楽しませたいのは分かるものの、ちょっとなんでもありすぎて
呆れてしまう部分が多く、色々とセンスのズレを感じてしまう作品だ。

ヒプノシスマイクみたいな世界観でSK∞みたいな感じの
作品にしたいのは分かるが、見事に噛み合っていない。
作品全体でやたら大きいBGMものせいで有名声優さんたちの
演技や声がかき消されてしまうことも多く、
シーンによっては本気で字幕をつけたくなるレベルだ。

作画自体も序盤こそ良かったものの、中盤辺りから力尽き気味であり、
作品全体のバランスが、音量を含めて悪かった作品かもしれない。

個人的な感想:ソシャゲはいつだ…

こういうメディアミックス作品でソシャゲが出るのは
最近のはやりでは有るものの、恐らくはそこを売りたいはずの
ソーシャルゲームが未だにいつサービス開始するのかすらわからない。

本来ならアニメの放送中、もしくは最終話放送後に
サービス開始が理想のはずなのだが、
去年放送された「takt op.Destiny」などもいまだにサービス開始しておらず、
どうしてどれもこれもタイミングが間違っているのではないのか?と
感じてしまう。

もしかしたらゲームでは石田彰演じるあのキャラが生き返ったり
実は生きてましたみたいな展開になるかもしれないが果たして…

「TRIBE NINE」は面白い?つまらない?

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  1. 匿名 より:

    主人公のビジュアルがどうしてもゲームで何回も見ていたせいかダンロン二作目の狛枝に見えてしまい、それなのに声は緒方さんではなく石田さんという違和感に最初は慣れなかったのですがそれが気にならなくなるくらい話がしっちゃかめっちゃかになっていくのは見てて苦笑してしまいました
    唯一感動したところはあのダンロンの絵師さんがアニメでも絶対に目の情報量を最小限にしてたのに目が結構書き込まれていたことですね
    笠さんのストーリーでの感想がまんま自分のと一緒で驚きました