STAND BY ME ドラえもん

評価/★★★☆☆(51点)

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90分でわかるドラえもん

本作品は三丁目の夕日などの監督でお馴染みの「山崎貴」が脚本を手がけた
3DCGアニメ作品。
内容は『ドラえもん』を再構築した作品だ。

基本的なストーリーはSF.
勉強もできない、遅刻はする、運動はできない、いじめられてばかりののび太。
そんな彼の目の前に22世紀から彼のひ孫というセワシ、ネコ型ロボットのドラえもんが訪れた
セワシはこのままではのび太の未来が借金まみれになってしまうことを告げた
そして、そんな未来を帰るために「ドラえもん」を彼の元へと送り出した
というところからストーリーが始まる

見出して感じるのは圧倒的なCG描写だろう
のび太が寝転がっている「畳」の「目」までわかるような細かい描写でありながらも
ドラえもんというファンタジー作品らしいアニメアニメした雰囲気も残っており、
リアルな描写というよりは「ミニチュア」の世界観のような描写で
廊下の窓から差す光の描写や、動く影の描写など、細かいポイントまできっちりと描く事で
しっかりと「CG」で「ドラえもん」の世界観を楽しむことができる

序盤の山場でもある「タケコプター」で空を飛ぶシーンは
のび太のドジで激しい空中アクションになっており、浮遊感たっぷりの描写だ
大胆なカメラワークと素早いシーン展開で爽快感溢れるタケコプターによる飛行シーンを描いており、
「のび太らしい」オチで終わることでタケコプターのシーンが非常に印象に残っている

ストーリー的には原作通り進む内容だ。
のび太の前にドラえもんが現れて、道具を使って少しずつ日常が変わっていく
アニメや原作を見た方ならお馴染みの懐かしい道具の数々がダイジェスト的にたっぷりと登場する
遅刻にはどこでもドア、テスト勉強には暗記パン、野球にはがっちりグローブetc…
懐かしい道具の数々を久しぶりに見て、昔と同じように楽しい気持ちになることができる
個人的には「雲固めガス」が出た時にテンションが上ってしまった
そして、そんな便利な道具をドラえもんから借りてもドジな展開で終わってしまう
お約束展開の数々が久しぶりに見るドラえもんの面白さを呼ぶ起こすかのようだ

だが、原作通りでない部分もある。
最大の特徴はネットでも少し話題になった「成し遂げプログラム」だろう。
ドラえもんは最初、セワシくんの頼みである「のび太の未来を帰る」という
命令にめんどくさがっている。
だからこそセワシくんは自分の明るい将来のためにもドラえもんにプログラムを施す。
それが「成し遂げプログラム」だ。
このプログラムはのび太の未来が幸せなものに変わらない限り未来に帰れない。
未来が幸せなものに変わったら強制的に未来に帰されるというものだ。

ドラえもんという作品に愛着があると「何じゃそれ?」と思ってしまうだろう。
だが、これはこの作品を「90分」でまとめるための要素だ。
なぜドラえもんがのび太の手伝いをしているのか、
そして、なぜドラえもんは帰らなければならなかったのか。
しっかりとわかりやすい理由付けることで90分のストーリーの
「起承転結」をハッキリと作り上げている

逆に言うと、この作品でオリジナルな部分はそこくらいで
他は原作にあるエピソードをつなぎあわせている。
ドラえもんとの出会い、のび太の未来が変わる話、雪山、結婚前夜、別れ、嘘800と
原作やアニメを見た方なら「見たことがある」ストーリーだ。
いわゆるドラえもんのメインストーリーとなる部分だけをピックアップし、
サブストーリー的なストーリーを省いている。

90分という尺で「ドラえもん」という作品を楽しめて1つの作品にするためのストーリー構成だ。
ドラえもんという作品は知っている、見たことはあるが内容は忘れてしまった、
そもそもドラえもんってなに?という人にとっては新鮮なストーリーで
「ドラえもん」という作品を楽しむことができるのだが、
逆にドラえもんが大好き!原作もアニメも何度も見なおした!という人にとっては
「焼き直し」な感じも強く、細かいポイントも気になってくるはずだ。

特に私が気になったのは「雪山」のシーンだ。
この雪山のシーンはのび太が雪山で遭難しかけている未来のしずかちゃんを助けて
気を引こうという感じのストーリーだ。
私もこの雪山のシーンは原作かアニメで見た記憶が有ったのだが、
その「記憶」と映画とでは話が違い物凄い違和感が生まれる。

少しネタバレになってしまうが原作では助けに行った「のび太」がドジを連発して
結局助けに行ったはずのしずかちゃんに助けられてばかりで一緒に下山する
そんなドジなのび太を「放っておけない」と思い、しずかちゃんは結婚を決意する
といった内容だったはずだ
(細かい部分が違うかもしれません)

しかし、この作品ではしずかちゃんが風邪を引いてしまい瀕死の危機になってしまう。
しかも、のび太が余計なことをしすぎたためだ。
しずかちゃんが羽織るはずだったものまで借りてしまい風邪が悪化してしまう。
正直、このシーンはのび太が嫌いになりそうなシーンになってしまっている。
本当に余計なことをしすぎている。

のび太はドラえもんを必死に呼ぶが来ず、最後の最後で「ある可能性」にかける。
それは今の自分から未来の自分への「記憶」という可能性だ。
遭難に会った日、場所、時間をしっかり今の自分が覚える
覚えたら未来の自分も記憶に残ってるはずであり助けに来るはずだと。
すると、大人ののび太が助けに来る。

タイムパラドクス大発生だ(苦笑)
そもそもドラえもんが来た時点でタイムパラドクスは発生しているのだが、
このシーンに限っては突っ込みどころが多すぎる上に
わざわざ原作の内容を改変してまでオリジナルに仕上げる必要があったのだろうか?
原作やアニメの内容を知っているだけにわざわざ「のび太」が嫌いになるような
ストーリー展開にしてしまったことは「ドラえもん」という作品が
好きなだけに納得出来ない部分だ

その中盤の山場である「雪山」で強い違和感を感じてしまい、
その後の「結婚前夜」のシーンは「アニメで感動した」部分がカットされている
この結婚前夜は大人のしずかちゃんとしずかちゃんのお父さんのシーンが有名だ
だが、それ以外のシーンでも非常に印象に残るシーンが多い。
有名なしずかちゃんとお父さんのシーンだけピックアップしてしまい、
ダイジェスト的に細かい部分が省かれており
特に「ジャイアンの一言」と「先生が登場しない」というのは個人的には納得出来ない

その後ものび太とジャイアンの喧嘩、そして「 ウソ800」と感動できるストーリーが続くのだが、
本来なら感動できるはずなのだが、違和感を抱えたままのせいで感動しきれず、
見終わった後に「面白かった・・・けど」という感覚が残ってしまった作品だ

全体的に見てドラえもんという作品を純粋に楽しもうとしている人向けの作品だ。
それこそ子供は素直にこの作品を楽しめただろう
起承転結でわかりやすいストーリー構成と90分という尺で
ドラえもんという作品をしっかりとまとめており、
そういった意味では「ドラえもん」という作品本来の力強さをひしひしと感じる作品だ

しかしながら、ドラえもんが好きであればあるほど純粋に見れない人ほど
この作品から感じる「違和感」を拭い去ることは出来ない。
ドラえもんという作品を知っていれば知っているほど好きであれば好きであればあるほど
「のび太」という主人公の描写や、ジャイアンやスネ夫といったキャラクターの描写不足など
不満に感じる部分は多いはずだ。
90分という尺に収めるためにピップアップしたエピソードから更に省いている部分もあるため
見たことのあるストーリーなだけに省かれているという部分が気になってしまう

あくまでもこの作品は90分で1つの映画にするための「ドラえもん」という印象だ。
個人的にはやっぱり「CG」よりもドラえもんは「セル画」のアニメで、大山のぶ代さんの声で
というのが旧ドラ世代の懐古主義な感想だ(苦笑)
水田わさびさんの声も決して悪いわけじゃない、だが、私にとって
私と同じ年代からそれ以上の年代の方なら「ドラえもん」の声は大山のぶ代さんであり、
未だにその気持ちが抜け切れていないのを感じてしまう作品でもあった。

評価が大きく別れるのも納得の作品だ。
ある意味で「ドラえもん」にかける個人個人の思いを試されるような作品でもある
ドラえもんという作品自体が嫌いでなければ、そういった意味でも見て損はない作品だ。