青春

「BEASTARS」レビュー

青春
スポンサーリンク

評価 ★★★★★(91点) 全12話

あらすじ 中高一貫のエリート学校・チェリートン学園内で、ある日草食獣アルパカの生徒テムが肉食獣に殺されるという「食殺事件」が起きる。引用- Wikipedia

これは「ただ」の擬人化アニメではない!

原作は週刊少年チャンピオンで連載中の漫画作品。
監督は松見真一、製作は宝石の国などで有名なオレンジ。
2期の制作がすでに決定している。

本能


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

始まって早々に「羊」が追いかけ回され「食われよう」としている。
クラスメイトに「食べられる」というところからこの作品の物語は始まる。
この作品は「肉食」の動物と「草食」の動物が共存してる世界だ。
彼らは普通に学校に通いクラスメイトとしてともに勉学に励んでいる。

草食の羊もロバもインコもウサギも、
肉食のオオカミやトラやヒョウとともに暮らしている。
「肉食」の彼らにとって「草食」の彼らは本来は食べる相手だ。
だが、彼らは本能を抑えて暮らしている。

そんな中で「食殺事件」が起きる。
肉食動物が草食動物を食らう行為はこの世界では重罪だ。

この独特な世界観がCGで描かれる。
「ゆらりゆらり」とCG特有のなめらかな動き、細かい動物たちの耳の動き、
「ライティング」と「BGM」がよりキャラクターの心情を
アニメーションとして見せて表現している。

開始して10分足らずでこの作品の世界に飲み込まれる。
決してすべてを説明するのではない「見せて」表現する
アニメーションの妙をシーンの1つ1つから感じることができる。

レゴシ


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

彼はこの作品の主人公だ、オスの「ハイイロオオカミ」である彼は
物静かで優しい性格をしている。だが「ハイイロオオカミ」として
生まれてしまったがゆえに外見だけで怖がられる。
彼は決して怖くはない、だが、肉食であるがゆえに草食動物に怖がられる。

そんな控えめな性格の彼も「欲」に抗えない。
草食動物の匂いを鼻腔に感じ、その匂いが本能を呼び覚ます。
「食欲」だ。動物という種が生存のために抗えない「食欲」という本能、
普段は肉さえ食えない肉食動物だからこそ、
その本能がなにかのキッカケで目覚めれば暴走する。

周りは餌だらけだ。ふっとした瞬間にその「本能」が目覚める。
逃げる彼女がより本能を刺激し、ウサギを襲う。
作品の主人公がウサギを襲い、終わる1話などこの作品くらいだろう(笑)

だが、先が気になって仕方ない。彼が本能をどうむきあうのか。
抱きかかえる「ウサギ」の体を彼は堪能する。
柔らかい肌、小さい心臓、毛並み、全てが彼の本能を刺激し誘惑する。

「一体どれほど口内を満たす」

溢れそうな水にコインを入れるように彼の食欲は溢れんばかりだ。
まるで油が滴る上等なステーキを目の前にしたような、
幼い頃から抑え込んでいた「欲望」を満たすことができる、
欲望が満たされるという「喜び」と「罪悪感」と彼は戦う。

「17年分の焦がれてた味だ」

彼の本能がそうささやく。
ただ「肉食動物」が「草食動物」を喰らおうとしてるだけだ。
彼らが人間のような知性が有り、我々のような社会性があり、
「罪」という概念があるからこその「葛藤」だ。

一見すればこの作品はただの「動物擬人化」アニメに見えるかもしれない。
だが、そんな「ただの」なんて言葉で片付けてはいけない。
この作品は「本能との向き合い」を描いた作品だ。

向き合い


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

この作品は人間のような知性と社会を動物の姿をしたキャラで描いている。
だからこそ「差別」が如実に出る。
主人公は「ハイイロオオカミ」だ。動物の中では相当に強い部類であり、
彼が本能のままに本気を出せば、たちまち学園の支配者だ。

だからこそ主人公は喧嘩になっても「負けよう」とする。
彼は敗者であろうとする、自らが肉食獣であるという劣等感からくるものだ。
自分が肉食だから、自分が草食だから、
抗えない自らの生まれ持った「性」にこの作品のキャラクターは向き合っている。

動物の姿だからこそ、肉食と草食が共存してる社会だからこそ
一匹つづの「差」は人間同士の社会よりも激しく、差別は生まれやすい。
だが、そんな社会の中でこの作品のキャラはそんな差別とも向き合っている。
自分自身の生まれに、自分自身の本能に。
それぞれが己の「処世術」を持ち生きている。だから魅力的だ。

ルイ


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

自分を弱く見せようとするオオカミに対し強くあろうとするシカのルイ、
彼は学園のスターであり演劇部で主役を張る存在だ。
誰もが憧れ、強い存在だと思われてる彼も「草食動物」だ。

自らの身体のモロさや弱さを分かりつつ、
「肉食動物」には体の強さには敵わないとは知っている。
強い態度で彼は「レゴシ」に迫る。
自らに牙を見せろと、自らを「草食動物」であると決めつけるなと
彼の口に自らの手を差し込む。

「噛んでみろ、俺を噛め!」

草食動物という生まれからくる肉食動物には敵わないという劣等感が
彼をより強くあろうとさせる。だが、少し牙が刺されば恐怖が襲う。
それもまた草食動物の本能だ。

そんな「ルイ」に対し「レゴシ」は憧れを抱く。
草食動物の強さはみんなに憧れを抱かせるが、肉食動物の強さは恐れしか生まない。
肉食と草食、互いの生まれ持った「性」をぶつけ合う。

肉食の主人公が「レゴシ」ならば草食の主人公は「ルイ」だ。
自分なりの生き方で己の生まれを向き合いつつも、
日々を必死に過ごしている彼らが愛らしい。


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

そんな中で主人公である「レゴシ」はウサギである「ハル」に好意を抱く。
1度は食欲に逆らえず食おうとした彼女の姿に食欲でなく
「愛」という感情が湧き上がる。
彼女の言葉、態度、性格を彼は好きになった。

だが、そんな彼の態度を見てウサギである「ハル」は行動を起こす。「性欲」だ。
自ら服を脱ぎ、彼の前に「食われ」に行く。
ちなみに2話はウサギがオオカミに迫ってくるシーンで終わる(笑)
とんでもないアニメだ。

1話はオオカミがウサギを襲うという食欲で終わり、
2話はウサギがオオカミを襲うという性欲で終わる。
欲望の対比が素晴らしく、話の区切りの素晴らしさに思わずニヤニヤしてしまう。
艶めかしく彼女が迫る姿は妙なエロさすら感じる。

その行為は「ハル」の処世術だ。彼女は草食動物であり、小さな体のウサギだ。
だからこそ彼女は「性欲」を捧げている。

肉食であるがゆえに


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

肉食動物達はどこか「遠慮」している。
当たり前だ、彼らは本能をむき出しにすれば草食動物をいとも簡単に食えてしまう。
だからこそ彼らは力を隠し、本能を抑え、遠慮する。
「肉食動物」はそうあるべきだという社会の本質からくる抑圧が存在する。

ある意味で彼らは自由ではない。自由に本能を開放すれば社会が崩壊する。
「草食動物を食べたい」という本能を常に抑えて生活している。
抑圧はストレスを生み、そのストレスをなるべく生まないように
他者に「遠慮」することで生きている。

しかし、そんな中でも「肉食動物」として誇りを持って生きようとするものがいる。
まるで「ドラッグ」のように草食動物の血液を使うものもいる。それも生き方だ。
この作品の社会としては悪だが、見てる側としては彼らの生き方を
強く否定はできない。

だが正しく、この作品の社会で生きようとする「レゴシ」には
その生き方は理解できない、だからぶつかり否定する。
肉食動物としての「本能」の否定と許容、
それを彼らは舞台の上で「演劇」として観客に見せる。

まるで観客と同じように見てる側が観客になり舞台の飲み込まれる。
劇中劇でありながら、ここまで体を前のめりにし固唾を呑んで
結末を貪るように見てしまう作品は他にはない。

結末は悲しい。肉食動物は勝者として描かれてはいけない。
この社会の本質が舞台の結末に繋がる。
例え主役が「肉食動物」でも、光り輝く舞台に肉食動物は立ってはならない。
社会的優位すら肉食動物が奪ってしまえば、草食動物の立場がなくなる。

人間の社会にも通じるような「社会の本質」の描き方が悲しく、
必死で生きている彼らの姿に飲み込まれる。


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

草食動物と肉食動物の恋愛は困難だ。
主人公であるレゴシとヒロインであるハルは身長差だけでも80cmある。
大人と子供のような体格差だ。それだけではない「本能」も邪魔をする。

レゴシとハルが初めて一緒に御飯を食べるシーンが有る。
本来は主人公とヒロインの初めての食事だ、微笑ましさしか無いはずだ。
だが、彼らはオオカミとウサギだ。
オオカミが食事を口に運び口を開けるたびに、
ウサギは「本能」から逃げ出したくなる

ただの食事でさえ「本能」が邪魔をする。
異種族同士の恋愛の難しさを「食事」というシーンだけで表している。
だが、そんな叶わぬ恋と思わせておきながら
彼と彼女がちょっとしたきっかけで「視線」を合わせることで可能性も見出す。

きちんと互いに向き合い、互いを知ることで「本能」を超えた
関係性が生まれるかもしれない。
彼が彼女と話すときに「視線」を彼女にあわせる仕草は
本当に微笑ましい。

そんな可能性が描かれたのに「食殺事件」のニュースが流れれば、
肉食と草食の関係性と空気は悪くなるが、
それと同時に「レゴシ」に好意を抱く同種族も現れる
物語の上げ沈みの描き方が素晴らしく、だからどんどんと物語の先が気になる。

ちなみにレゴシが恋を抱いたハルはシカのルイと関係を持っている(笑)
オオカミとシカとウサギの恋愛模様が気にならない人などいるだろうか?
これほど気になる三角関係は他にはないと言ってもいいくらいだ。

裏市


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

まるで「闇市」のようにこの世界には「裏市」というものが存在する。
そこには自らの「指」を売るものや、表では手に入らないものが手に入る。
「肉」だ。
肉食動物にとって「肉を食べる」という本能を解消する場所だ。

表では法律に触れ、違法な行為だ。
だが「抑圧」された本能のはけ口がなければこの社会は崩壊する。
だからこその「裏市」だ。大人の肉食獣は多くは裏市を利用している。
そうでなければ本能に支配され、社会を保てなくなる。

大人の肉食動物達は平穏を保ち、草食動物と仲良く暮らしている。
その姿にレゴシは「可能性」を見出したのに、真実に裏切られる。
「社会の真実」に彼は気づき、絶望する。
彼の本質は肉食を否定する、だが本能は肉食を求める。
鼻腔をくすぐる肉の匂いは自然と「唾液」を垂れ流す。

「肉の誘惑」にこの世界の肉食動物はあらがっている。
本能のままに「食殺事件」もいる、こっそり「裏市」で満たすものもいる、
だが罪悪感と自己嫌悪で狂ったりするものもいる。

そんな中でレゴシはウサギであるハルに対する感情が
「狩猟本能が変質したもの」と指摘される。
恋愛経験がなかったがゆえにレゴシは勘違いしているのだと。
だが、レゴシは「嫉妬」から恋を自覚する。

肉食動物として彼の考えを否定するものもいれば、
彼と同じような考えをするものいる、同じ肉食動物でも考え方は違うのだ。
1話1話で描かれる内容が本当に深く、動物の姿と社会ではあるが、
まるで「人間」を描かれてるようなそんな見透かされるような感覚にすらなる。
作品の世界の社会の仕組みが明かされるだけでこの作品は面白い。

レゴシが普段何気なく食べてるたまごサンドイッチが
実は隣の席の「鶏」の卵だったということだけでも面白い、
ちょっとしたサブキャラがちょっと出るだけでも強烈なインパクトを残す。
しっかりとした世界観と社会の仕組みがあるからこその面白さだ。

誰も彼もが可愛い


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

この作品のキャラクターは本当に魅力的だ。
それぞれのキャラごとの処世術がきっちりと描かれているからと言う部分もあるが、
「見た目」の可愛さにどんどんハマってしまう。

レゴシの心理状態に反応する「耳」はピンっとたったり、
落ち込んだらしゅんとなったりする。
しっぽも嬉しければブンブンと動き、落ち込めば地面につかんばかりに下がる。
動物だからこその心理描写が「耳」と「尻尾」という部分に現れる。
これが本当に可愛い(笑)

表情だけでなく耳と尻尾に注目してしまう作品だ。
CGで作られてるからこそ、ここまでヌルヌルと自然に耳と尻尾が動く。
青春ストーリーという本来は動きの面ではあまり期待できない
ジャンルなのに、この作品はアニメーションとしての面白さをしっかりと感じる。

CGと言わなければそうはわからないであろう質感の素晴らしさが、
この作品の面白さをより引き立てている。

声優


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

この作品は配役も素晴らしい。
レゴシを演じる「小林親弘」さんの演技は本当に素晴らしく、
彼の「葛藤」をなめらかに自然に演ずることでより、レゴシという
キャラの魅力を感じる。弱々しい声と力強い声のギャップもぴったりだ。
レゴシが「恋」を自覚するシーンの演技は震えるほどだ。

ルイを演ずる「小野友樹」さんの演技も素晴らしい。
孤高のアカシカという彼の精神的な力強さを感じる声と、
動揺したときの声のギャップが素晴らしく、
ルイというキャラの魅力をより掻き立てる。

ハルを演ずる「千本木彩花」さんの演技も本当に可愛らしい。
ウサギである彼女の可愛らしさと性格を「声」で感じることができ、
セクシーなシーンでの艶めかしい「声」は
外見がウサギでもしっかりとしたエロティシズムを感じる。
何気ない彼女の本音も彼女の声でより突き刺さる。

キャラと声に違和感がなく、それどころかしっかりと
「キャラクターの魅力」をより強めている。
キャラクターのセリフ1つ1つが重みがある、
だからこそ声優さんたちの演技にも磨きがかかっているように感じる。

目覚め


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

「レゴシ」の恋心は本当に切ない。
彼が思いを寄せるのは「ハル」であり「ハル」が思いを寄せるのは「ルイ」だ。
草食動物同士の関係性はお似合いで「レゴシ」は「ルイ」に対し劣等感もある。
そして「ハル」を襲ったという負い目もある。
生まれと本能が彼の恋には立ちはだかる。だからこそ彼は想いを告げようとする。

そんな中で「ハル」がさらわれる。
権力者と繋がりのある「ルイ」はその事実を知っても助けることは出来ない、
好きになった女を彼は立場を守るために助けることが出来ない。
「助けたい」という気持ちを抑え、社会の本質に従おうとする。

そんな彼に苛立つのは「レゴシ」だ。彼は自らの意思で草食動物に力を振るう。
せっかく諦めかけた恋なのに「ルイ」は恋を捨て立場を得ようとするからこそ、
「レゴシ」は本気でぶつかり答えを出す。

「ハルは俺がもらう」
彼自身が素直に恋敵に自分の気持ちをぶつけ、自分の気持ちを核心へと至らせる。
肉食獣としての独占欲と自らの意思としての独占欲が、
彼に明確な「意思」を表に出させる。1話の彼では出来なかった本音の吐露だ。
恋心が彼の本質を変質させた。

愛する人のために彼は「本能」を開放する。
自らが否定し、自らが17年間抑え込んでいた「本能」を自らの意思で解き放つ。
だが、その本能の開放が自己矛盾を生む。

「ハルちゃんは俺の獲物だ」

なにげなく、本能のままに解き放ったセリフがひどく悲しい。
彼女を守るために本能を開放したはずなのに、
その本能は「恋」ではないことの否定になってしまう。

彼女に対する思いは「愛」なのか「食」なのか。
だが彼は「本能」より手前にある感情を感じる。それは明確な「恋」だ。
例え本能が彼女を獲物として感じてしても、その前には「恋」がある。

主人公の本能と本質のぶつかりあいが見ていて切なく、だが愛おしい。
彼は終盤に彼女の目の前で「本能」を見せる。
愛する人を守るために、彼は本能を開放する。

草食動物


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

1度は好きな女を諦めた「ルイ」。だが、彼はレゴシに殴られた。
殴られたことで彼も目覚めた。
草食動物である彼が肉食動物の前に拳銃片手にたはだかる姿、
「角以外何も残すな」と自らを捧げる覚悟で彼もまた好きな女のために
レゴシと同じように全てを見せた姿だ。

愛すべき肉食動物と、愛すべき草食動物。
どちらの生き様も惚れ惚れしてしまうほどかっこいい。
だが「男」だけではない「女」もまたこの作品はかっこいい。
だからこの作品が好きだ。男も女も肉食か草食かなんて関係ない、
この作品が目指す理想の社会がキャラクターに活きている。

ウサギは自らを助けてくれたオオカミに心の底から身を捧げる。
彼女は覚悟して彼に尋ねる。

「あなたが決めるの、抱くか、食べるか」

草食動物のある種の本能だ。
本質として彼に抱かれたいと思いつつ、本能でも食べられたいと思っている。
「好き」という感情が肉食動物とは違った形で現れている。

告白


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

最終話の告白はあまりにもシンプルで、だが、あまりにも涙腺を刺激される。
主人公は1クールの中で成長した。そう、しっかりと感じるセリフだ。
自分の本能に向き合い、自分の気持ちに素直になり、自分の本質を定める。
至極、単純な理由で彼は「ハル」という女の子に思いを告げる。

『君が好きだからだよ』

そう、その一言だ。
好きだから本能にも抗える、好きだから悩み続けることができる、
好きだから社会にも抗うことができる。
それが彼が1クールあけて出した答えだ。
すごくシンプルなその言葉が、シンプルであるがゆえに本当に突き刺さる。

「俺…もっと強くなるよ」

彼は弱くあろうとした、肉食動物であるがゆえに、恐れられないために。
だが、最終話の彼は強さを求める。
本能にあらがい、社会にもあらがい、全てを乗り越えられる力を求める。
全ては「ハル」という女の子を大切にし、好きであるためにだ。

総評:彼らが彼らであるために


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

全体的に見て素晴らしい作品だ。
見た目は「擬人化」した動物の作品にしか見えないが、
描かれてる内容は「本能」と「本質」とのぶつかりあいだ。
肉食動物と草食動物が共存した社会だからこそ如実に現れる差別と、
共存してるからこそ抑え込まなければいけない「本能」とそれに抗う者たち。

1クールでここまで濃ゆく世界観が作り込まれた作品はなかなかにない。
1話1話で描かれてる内容は本当に根深く、魅力あふれるキャラがつむぎ、
その1話1話が最終話の主人公の「答え」に繋がる。
1クールと言うストーリー構成も見事に活かし、本当に素晴らしい作品だ。

ただ原作がまだ続いてることも有り、話はまだまだ続いてる状態で終わっている。
結局、1番最初に描かれた「食殺事件」の犯人も分かっておらず、
「ルイ」も行方不明のままだ。
主人公である「レゴシ」の気持ちの整理と告白は終わり、区切りはいいものの、
続きが気になって仕方ない(笑)

だが、2期の制作が決まってるという安心感がある。
この素晴らしい作品の続きをまた見れる。
2期がこれほど「楽しみ」な作品は久しぶりだ。

「本能」、「処世術」、「社会」、「本質」と
描いている要素はかなり深い。レビューで書くと難しい作品に見える部分もあるが、
試しに1話見てほしい。
きっと貴方も「ぴょこぴょこ」動く彼らの耳や尻尾の可愛らしさに
ハマってしまうはずだ。

個人的な感想:徹夜するほどに


引用元:©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

久しぶりに本当に見てて止まらない作品だった。
魅力的なキャラクターと声優と深い世界観、そしてストーリー。
どれもこれもが完璧で本当に欠点らしい欠点がない作品だった。

CGで作られている利点も多く感じた。
特に耳や尻尾の動きと表情の何気ない変化は見ているだけで面白く、
彼らの「もふもふ」な肉体に触りたいと感じさせるほどの
CGのクォリティは圧巻だ。

好みの問題はあるかもしれない。
血液や暴力表現、セクシーな表現もある。
そういった過激な表現が嫌いな方にはおすすめしづらいものがあるが、
そこが嫌いでなければぜひ1話を見てほしい。

今から2期が本当に楽しみだ。

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください