評価 ★★☆☆☆(33点) 全88分
あらすじ 気候変動により荒廃した2075年の世界。10歳の少女イリスは、不思議な虹色の物体が空から落ちてくるのを目撃する。それは、虹色の飛行スーツでタイムトラベルが可能になった未来から不時着した少年アルコだった 引用- Wikipedia
見ればハマる?世界規模の大爆死映画
本作品はフランスのアニメ映画作品。
監督はウーゴ・ビアンヴニュ。
ナタリー・ポートマンが共同制作に参加している。
キャラクターデザイン
見ていて感じるのは強烈なクセだ。
キービジュアルや予告編を観ていただけるとわかりやすいが、
この作品のキャラクターデザインはかなりクセがある。
フランスのアニメ映画だからこそなのかもしれないが、
少なくとも日本人からするとこのキャラデザのクセは
かなり強烈だ。
主人公もヒロインも素直にかっこいいとも
可愛いとも言えない。
見ているうちに慣れてくる部分はあるものの、
それにもまして妙なのが服装だ。
メインキャラの3人組は謎のサングラスをかけており、
主人公をはじめとする「未来人」は
タイツで生活し、空を飛ぶ時には頭までピンクのタイツをかぶり、
レインボーのマントを羽織る(笑)
キャラデザそのものには慣れるのだが、
この服飾デザインとも言うべき部分が
あまりにも尖りすぎており、私はこの姿をレインボーマンと頭の中で呼称し、
レインボーマンが出るたびに私は笑いが止まらなかった。
せめて全身タイツでなければ、せめてピンクでなければ、
せめて頭までタイツを被っていなければ。
シュールな笑いは起きなかったかもしれないが、
センターマンもびっくりなレインボーマンにただ笑うしかない。
これがフランスではありなのかなしなのかは、
私がフランス人でないためわからないが、
これが「あり」ならばフランスの美的感覚は
理解できないところだ。
世界観
この作品の世界観は若干ややこしい。
まずレインボーマンこと主人公のアルコは
未来人であり、非常にオーガニックな暮らしをしており、
空の上の家で自然とともに暮らしている。
そんなオーガニックな暮らしをしてるかと思えば、
睡眠時はなぜか謎の機械のなかで「浮きながら」寝ていたり、
レインボーマンに変身すると空を飛べるどころか
タイムスリップまでできる。
オーガニックなんだか未来なんだかよくわからない感じだが、
独特な未来の世界観はある。
アルコの家族はレインボーマンとして活動している。
このレインボーマンの仕事がなんなのかは最後までよくわからないが、
この世界の国の法律では12歳にならないとレインボーマンになることはできない。
だがある日、どうしてもタイムスリップして
恐竜を見てみたかったアルコは
姉のレインボーマン変身セットを盗み出し、
レインボーマンに変身してしまう。
しかし、レインボーマンとしての適性年齢でなかったせいか、
失敗して別の時代に落ちてしまう。
というところから物語が始まる。
親方!空からレインボーマンが!
2932年から2075年にアルコは訪れてしまう。
落下地点で気絶していたところに、「イリス」という少女が現れ、
彼を介抱するというところから物語が動き出す。
いわゆるボーイ・ミーツ・ガールな展開だ。
イリスという少女は閉塞感と孤独を感じている。
2075年の世界ではロボットが普及しており、
警察官や工事をする人までロボットだらけだ。
家庭内にも「子育てロボット」がおり、
幼い弟の世話をロボットがしつつ、自分の面倒も見てくれるのだが、
肝心の両親は仕事で離れた場所におり、1週間に1度会えるかどうかだ。
毎晩のようにバーチャル映像を通して
食事をしていたり、夜の寝かしつけをしてくれたりもするものの、
バーチャルと生身は違う。
変わらない孤独な日常に閉塞感を覚えていたところに、
虹を見かけ、空から落ちてきた未来少年アルコと出会う。
未来のミライ
この構造がやや複雑だ。
イリスにとってアルコは未来人だ。
だが、見ている私たちから見ればイリスも未来人であり、
アルコは未来人の未来人というややこしいことになっている。
イリスが住んでいる2075年の世界の未来感は面白く、
子供でもバイクのようなものを運転することができたり、
嵐が来ても家にはバリアのようなものが貼られていたり、
先生もロボットだったりと、未来感が強めだ。
ただその一方で、なぜか警備に人間がいたり、
妙なところで違和感はあるものの、
独特なこの作品だからこその未来感は悪くない。
そんな2075年と、2932年。その長い年月の間に
海面上昇が起こったことが後に語られる。
その結果、人類は地上に住めなくなり、まるで木に巣を作る
鳥のような暮らしを未来の未来ではしている。
アルコはロボットなんて見たこともない、
電気も自家発電でオーガニックな暮らしをしている。
その長い年月で失われたものがかなりある。
日常
レインボーマンであるアルコは元の時代に戻ろうとするものの、
レインボーマンの力の源であるレインボーストーン(仮)を
落としてしまっており、帰ることができなくなっている。
そんな事情を聞いたイリスは彼を元の世界に戻してあげようとする。
レインボーマンのレインボーストーン(仮)には
レインボーエナジー(仮)があるらしく、
このレインボーエナジー(仮)は虹の光の力を利用している。
それを聞いたイリスは「庭のスプリンクラー」で虹を再現する(笑)
だが、それではパワーが足りず、アルコは卑屈になる。
このアルコは基本的にネガティブ思考だ。
「だめだ」「自分なんか」といったマイナス思考な台詞が非常に多く、
あまり主人公らしくない。それは最後まで変わらない。
そのくせイリスは口説く。
鳥のさえずりを真似しながらイチャイチャしたりしながら、
どんどん仲が良くなっていく。
一方でイリスの幼馴染はイリスを心配して
イリスの家を盗撮していたりする。
おかしなやつしかいない。
大迷惑
このアルコは非常に迷惑な男だ。
彼が来たことで巻き起こるやらかしがあまりにも多い。
イリスには迷惑をかけ、なおかつ彼女の子育てロボットが
この時代に存在しないアルコを見てバグって壊れる。
未来を知ってはいけないんだ!とアルコはいうものの、
イリスにもその他の人にも自分が未来から来たことを
さらっと喋ってしまう。
未来を知られてはいけないはずなのに、そのリスクが
本作では描かれておらず、なんだったんだ?となるポイントだ。
アニメーション的に面白いか?と言われると微妙なところだ。
フランス映画だからこその独特な配色とキャラクターデザイン、
街並みなどは面白く、芸術的かもしれないが、
それがアニメーションとなると別だ。
ときおりフレームレートが落ちたかのようにカクっとなる瞬間もあり、
レインボーマンとして活躍するシーンも多くはないどころか、
活躍と呼べるものがほぼないのが今作の問題だ。
気候変動
2075年の未来では、100年後に海面上昇が起こる影響なのか、
気候変動が進んでおり、激しい嵐もしょっちゅう起きているようだ。
そのせいもあってか「山火事」も起こっている。
この山火事は特にアルコに無関係なことなのだが、
ずーっと山火事が起きており、終盤はとんでもない規模の火事になっている。
そんな中でアルコがイリスの両親にバレて通報され、逃げ回り、
家に帰ろうとするアルコにイリスがついていこうとし、
山に落下してしまう。
その結果、助けようとした子育てロボットが完全に破壊されてしまう。
アルコのせいである。
大集合レインボーマン
ラストは大爆笑だ。ここでアルコがレインボーマンとして
ヒロインを助けようとしたり、山火事をなんとかしようとするならわかる。
だが、別にヒロインを助けようとしないし、山火事もなんとかしようとしない。
結果的にアルコの家族が迎えに来てくれて終わる。
びっくりするほど拍子抜けするラストだ。
その家族も数年の時間をアルコの捜索に費やしており、
感動の再会、涙の別れみたいなように描かれても、
感情が一切ついていけないどころか大爆笑だ。
アルコの家族は当然12歳以上でレインボーマンになれる。
つまりラスト、レインボーマンが大集合する(笑)
全員同じ色の、頭まで覆う全身タイツとレインボーのマントを羽織っており、
それが複数人集まって泣きながら抱き合っている姿は
あまりにもシュールすぎて感動よりも笑いが圧倒的に勝ってしまう。
アルコが過去に来たことで大きく未来が変わるわけでもない。
一応エンドロールでは「タイムパラドックス」的な要素があり、
アルコが来たことでイリスの生活にも変化が起きたようなのだが、
どうにも釈然としないラストだ。
ただ、フランスアニメ映画というなかなか味わえないもので、
なおかつ「大量のレインボーマン」を劇場で見られるのは今しかない。
強くおすすめする作品ではないが、もしこのレビューで気になったら
ぜひ劇場へ足を運んでいただきたい作品だ。
総評:大迷惑なレインボーマン見習い
全体的にみて記録的には大失敗な作品ではあるものの、
1度見たら忘れられない強烈な記憶に残る作品だった。
レインボーマンをはじめとしたビジュアル的なインパクトは凄まじく、
その最初のインパクトが終盤まで持続し、ラストで大爆発する。
あのレインボーマン大集合のために、この映画はあったのかもしれない。
ストーリー的には王道だ。
ラピュタ的なボーイ・ミーツ・ガールであり、
そこに「ET」的な要素を足している。いわゆる王道だ。
その王道がクセのあるキャラクターデザインと服飾デザインで
クセのある作品に仕上がっている。
色々とツッコミどころはあるものの、脇役の謎サングラスの3人組や
盗撮していた幼馴染など妙に印象に残るキャラも多く、
アニメーション的な魅力は薄いものの、
劇場、もしくは配信で見る機会があればぜひチェックしていただきたい。
きっとあなたの頭もレインボーマンでいっぱいになるはずだ。
個人的な感想:虹色
制作側も狙っているのかなんなのかわからないが、
エンドロールで爆笑してしまった作品はなかなかない。
散々レインボーマンで笑ったあとに、エンドロールでは
各スタッフの名前が羅列してスクロールしているのだが、
その名前が「レインボー」に光り輝いている(笑)
虹は多様性の象徴として使われることもあるが、
その要素は一切なく、レインボーを最初から最後まで
ふんだんに使った作品だ。
アルコを演じている声優さんの演技は
ところどころ気になる部分があるものの、
4月のラストに頭の中が虹色に染められるような、
とんでもない作品を味わってしまった。
キャラデザ的に日本受けはしないが、
海外ではどうなのか?と調べたが、海外でも興行収入は6億円ほど、
製作費が17億円かかっているようなので大赤字だ。
フランスでも受けたわけではないと考えると、
色々と謎すぎる作品でもあった。




