評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全12話
あらすじ Eランク冒険者のルード。そんな彼が持つ唯一のスキル『状態異常無効化』は、瘴気で満ちる迷宮で薬草を採取することぐらいしか役に立たない微妙なもの。引用- Wikipedia
何もかもが無駄
原作は小説家になろうで連載中の小説作品。
監督はさとうひかる、制作はImagica Infos / Imageworks Studio。
いわゆるライトアニメで制作されている。
ライトアニメ
ライトアニメも本作品で9作品目だ。
いわゆるモーションコミック的な技法で作られているシリーズであり、
低予算で素早いアニメ化を実現する技術として制作が続いている。
ヒット作と呼ばれるものはないものの、手早いアニメ化ということで
活用されているのだろう。
ライトアニメはモーションコミック、原作の絵などに軽く動きをつけたものであり、
日常系などだったら気にならないが、戦闘シーンが多いものだったりすると、
アニメとしての見ごたえが薄くなり、微妙な傾向にある。
もちろん、ライトアニメという形式そのものを否定したいわけではない。
低コストで原作の雰囲気を伝える手法としては意味がある。
問題は、その形式と本作品の題材があまりにも噛み合っていないことだ。
本作品はタイトル通りな作品だ。
当然バトルシーンもあり、序盤から主人公が「魔物を食らう」という
シーンから始まる。
無駄な説明
主人公は「瘴気」と呼ばれるものに満たされた迷宮を漁っており、
リスクを冒して「瘴気」を払う薬草を取ることで日銭を稼いでいたのだが、
そのせいで瘴気漁りと蔑まされている。
状態異常無効化のスキルくらいしかない主人公は戦闘力が低く、
溝さらいのようなことしかできなかったが、
新迷宮が出たことで瘴気を払う草の買取価格が減り、
焦った主人公は新迷宮に新たなパーティーと挑むことになる。
ここまでの「説明」で1話を使ってしまう。
1話だけならまだいいが、作品全体として説明セリフがあまりにも多く、
「マジックバッグ」というこの手の作品にありがちなアイテムにまで
無駄に尺を使っている。
世界観を説明すること自体は悪くない。
だが、この作品の場合は説明が物語を前に進めるためのものではなく、
ただ情報を読み上げているだけに感じられる。
そのせいで、短い尺のライトアニメにも関わらずテンポが悪い。
追放
いざ新迷宮に新パーティーと挑むものの、
強敵が出た瞬間に新パーティーに見捨てられて囮にされてしまう。
いわゆる追放系っぽいノリだ。
魔物との戦闘の中で迷宮の底に落ちた主人公は飢えを満たすため、
生き残るために禁忌とされた魔物を食らうことになる。
導入としては悪くないものの、結局は「どこかで見た」ことのある内容だ。
魔物を食らってどんどんと強くなり、スキルを手に入れていく。
魔物を取り込んで能力を得るという構造自体は、
なろう系ではすでに見慣れたものであり、新鮮味は薄い。
魔物を食らうまでもあっさりであり、食らったあともあっさりと
迷宮から脱出する。
拍子抜けするほどあっさりとした展開で、
テンポが遅いかと思えば急にダイジェスト的になったりと、
落ち着きがない作品だ。
追放したパーティーにざまぁな展開が訪れたりと、
ありがちな展開をありがちなまま見せられる。
悪い意味で、期待を裏切らない作品になってしまっている。
無駄な動き
ライトアニメは口だけがよく動く作品だ。
口だけはパクパクパクと動き、あとは動かない1枚絵を
カメラの動きで動いているように見せている。それだけだ。
特に戦闘シーンの多い作品だと、その「無駄な動き」が目立っている。
無駄にカメラを動かし、常に上から下に、横にスライドさせており、
見ていると「酔い」すら生まれてくる始末だ。
漫画的なエフェクトもごりごりに盛り込んで、
必死に動いてる感じを演出しているが、
これをアニメーションというのは厳しい部分がある。
同じ作画、絵を使いまわしている部分もあり、
それが変に「目立つ」せいもあって、チープさがより極まっている。
動かないなら動かないなりの見せ方があるはずだ。
しかし、本作品は動かせない部分をカメラワークとエフェクトで
強引にごまかそうとしているため、かえって安っぽさが際立ってしまっている。
無駄な要素
魔物を食らって生き残った主人公は強くなり、イキりまくる。
魔物を食らえば強くなることにハマった主人公は、
次々と魔物を食らう。中盤になるとわざわざ料理して食べるシーンがあるのだが、
この魔物料理という要素も無駄でしかない。
作画が死んでるのに料理をやられても、
それがダンジョン飯のような面白みになるわけでもなく、
ただただ尺を無駄に使っている。
本来なら「魔物を食う」という要素は、この作品ならではの個性になるはずだ。
しかし、料理描写に面白さがあるわけでもなく、
食べることによる変化やリスクが強く描かれるわけでもない。
結局、魔物を食べるという設定すら、主人公を強くするための装置でしかない。
そんな無駄に使った尺の中で強くなったはずの主人公だが、
中盤で冒険者狩りに出会い、あっさりと苦戦する。
小賢しい手を使ってようやく勝てるという展開は
爽快感すらなく、無駄な展開になってしまっている。
結局勝つなら最初からストレートに勝てばいいのにと、
モヤモヤとした感情が折り重なっていく。
終盤
中盤で冒険者狩りに襲われていたエルフなヒロインを助けた主人公は、
彼女がかかっている呪いをあっさりと解いてしまう。
そんなエルフなヒロインとパーティーを組んで、
Sランク冒険者を目指すことになる。
中盤以降は話が進んでいるんだか進んでいないんだかもよくわからない。
強い魔物が現れて倒したり、主人公が新しいスキルの使い方を覚えたり、
呪いの魔剣がいきなり出てきて、なんやかんやで主人公の剣になったり。
そんなありきたりな話が終盤まで続き、
最後はボス的な敵を倒して俺達の戦いはこれからだで終わってしまう。
この作品だからこその部分がなく、印象が薄いまま終わってしまう作品だった。
物語が進んでいるようで、実際にはイベントを順番に消化しているだけに見える。
主人公が強くなる、ヒロインを助ける、新しい武器を手に入れる。
要素だけを並べればそれっぽいが、そこに驚きや盛り上がりはない。
総評:口だけはよく動く
全体的に見て微妙な作品だ。
なろう系原作のアニメとしては新鮮味のある部分は一切なく、
ありきたりな要素とありきたりなキャラでありきたりな話をしている。
普通の1話30分のTVアニメとして作られていれば、
もう少し印象は違ったはずだ。
ライトアニメという手法であるがゆえに、1話1話の尺が短く、
それなのにテンポが悪いと感じるほどの説明台詞が多かったり、
逆にダイジェスト的に急にサクサクと話が展開したりと、
ストーリー構成の甘さはひしひしと感じてしまう。
戦闘シーンが多い作品なのに、低予算なライトアニメで
制作してしまったがゆえに戦闘の面白みは一切なく、
必死に動かそうとして画面酔いしそうなほどカメラを無駄に動かしており、
余計にチープ感が漂ってしまう作品だった。
口だけはよく動く。
しかし、肝心の物語も、戦闘も、
キャラクターも動いているようには感じられない。
それがこの作品に対して抱いた一番大きな印象だ。
個人的な感想:ライトアニメ
ライトアニメは9本制作されており、私もほとんどの作品を見たが、
この手法での限界を感じてしまう。
9本やって特にヒットすることも話題になることもなく、
作品としての評判を落としてしまっている作品も多い。
ライトアニメという形でアニメ化するなら、
その形式と相性の良い作品を選んでほしいところだ。
会話劇や日常もの、止め絵でも雰囲気を出せる作品なら、
まだ見せ方次第で面白くなる可能性はある。
しかし、バトルが多く、成長やアクションの爽快感が求められる作品を
ライトアニメでやってしまうと、どうしても厳しい。
もう少しライトアニメでやるなら、ライトアニメでやっても
面白さを感じられる作品をアニメ化してほしいところだ。



