コメディ

「じょしらく」レビュー

コメディ
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(70点) 全13話

じょしらく 第一話 公式動画 By ビデオマーケット

あらすじ このアニメは女の子のかわいさをお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く番組です引用- Wikipedia

毒と萌の奇跡の融合

本作品の原作は、原作、久米田康治、作画ヤスによる漫画作品。
監督は水島努、制作はJ.C.STAFF

落語

落語を取り扱ったアニメだが、落語アニメ自体はアニメ初ではない
落語天女おゆいというアニメがあったが、あれは「美少女ヒーロー」ものなので
落語アニメといえるかどうか微妙だが、
本作品もまた、落語アニメと言えるかどうかは微妙な所だ(苦笑)

各エピソードの冒頭は各キャラによる落語から始まる。
枕からではなく、オチのあたりから軽く落語に触れ、
「お後がよろしいようで」という言葉とともに舞台を降りる。
そんな彼女たちが集うのは「楽屋」だ。

この作品はいわゆる「楽屋話」を扱っている。
落語というわけではない、高座にあがって話すわけでもない。
5人の落語家たちが楽屋でたわいもない話をしている。
それが全編にわたって描かれている作品だ(笑)

状況は楽屋という場所はあまり変わらないんだ、
どこかシットコムのような雰囲気すらある。
5人も女子キャラクターがいれば
萌え萌えな日常会話を想像する方も多いと思うが、この作品は違う。
なにせこの作品の原作を手掛けているのは絶望先生の久米田先生だ。

彼女たちの楽屋ばなしは色々とギリギリだ。
なにせ1話の楽屋での第一声はこれだ。

「漫画は漫画として読めばいい、何でアニメにするのか」

漫画原作のアニメの第一声がメタネタという始まりは
さすがとしか言いようがない。
メタネタ、パロネタ、時事ネタなんのその。
ありとあらゆる「毒」のこもった会話劇がテンポよく描かれており、
落語ではないのに落語を聞いているような気分にさせてくれる。

このアニメは女の子のかわいさをお楽しみ頂くため、 邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く

何気ない会話から社会風刺、自虐ネタなどをふんだんに織り込んだ
内容はいろいろな意味で「やばい」が面白い。
この作品はエピソードの前にこんなナレーションが入る。

「このアニメは女の子のかわいさをお楽しみ頂くため、
邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く番組です。」

あくまでも女の子の可愛さを楽しんでもらうため。
そういうスタンスではある。
確かに5人のキャラクターデザインは非常に可愛らしい、
落語家としての姿ではなく、各エピソードによって寝巻き姿や
普段着、コスプレなどいろいろな姿が出てくる。

5人のキャラしか出ないからこそ、
それぞれのキャラクターもしっかりとキャラ立ちしており、
個性のある5人のかわいいキャラによる会話劇を
萌得ながらも楽しめる。

しかし、その会話が問題である(笑)
例えば山では「やっほー」と叫ぶのが定番だが、
海ではなんと叫ぶのがいいのだろうか?という会話が繰り広げられる。
そんな中で彼女たちは「返せ」という言葉がいいのでは?と結論づける。

それはなぜか、各方向に叫べるからである。
日本地図と矢印が画面に描写され、様々な角度に矢印が向きながら
「返せ、人を」「返せ、技術を」「返せ、海底資源を」「返せ、領土を」なとと
可愛らしいキャラに叫ばせる、この作品はそういうアニメである(笑)

他愛のある話

1話毎に3つのネタで落語家の少女たち5人が他愛もない話をする。
本当にそれだけの作品だ。
例えば恋愛要素や落語家として悩むとかそういうのは一切ない、
ただ「どうでもいい話」に「ネタ」を織り交ぜつつ会話し「毒づく」。

ようは本作品は「絶望先生」を見やすくした作品だ。
やっている内容は「絶望先生」と変わらないものがあるもの、
シャフトが手掛ける「さよなら絶望先生」とはちがい、
JC.STAFFが手掛ける作画は癖がなく、見やすい演出やキャラクターを
5人に絞り外見が可愛い女の子にしたことにより、
「絶望先生」よりも気軽に見やすいアニメになっている。

逆に言えば絶望先生のネタが嫌いな方は本作品も楽しみ辛いだろう
ただ、絶望先生と違うのはキャラクターだ。
5人の女子落語家はそれぞれキャラクターが立っており、
彼女たちのいわば「楽屋トーク」が自然で、
この娘たちが脚本家や原作者の頭の中でのストーリーではなく
本当にこういう会話をしているかもしれないという妙な自然さがある。
キャラクターたちが生き生きしている。

しかし、そう感じるのは序盤だけだ。
話が進めば進むほど「久米田康治」節が強くなる。
1話から危ないネタをやっているものの、
話が進めば進むほどネタの毒が強くなっており、
ここで書くのも憚られるネタが増えていく。

執拗に繰り返される「海老○」ネタ、ディズ○ーランド、
更には歯を抜くという話から「原子力」関連の危なすぎるネタにつなげるなど
思わず「危ない!!」と叫んでしまうほど危なすぎるネタだ。
ある意味、絶望先生と違い本作品のキャラは
純粋に可愛いので余計にギャップが生まれている。

5人のキャラも心に闇を抱えている者や腹黒だったり、
話が進めば進むほど、キャラが掘り下げられることによる
各キャラの「闇」も明かされていく。
その中で「蕪羅亭 魔梨威」ことマリーさんの小気味よいツッコミが素晴らしい。
「つまんねーこと聞くなよ!」というお約束とも言えるツッコミが
5人によるボケだらけの会話劇に締まりが生まれている。

可愛いキャラが自然に会話しているからこそ
ブラックジョークの「きつさ」が薄まり、
本来は重い危険なネタをその可愛さで濁している部分もある。

演出

「水島努」監督だからこそのジョークの盛り上げ方も素晴らしい。
ただ可愛い女の子を描くだけではない、本来ならただの「会話劇」だ。
「さよなら絶望先生」ではシャフトが同じように演出で盛り上げていたが、
この作品もまた、そんな演出が楽屋トークを盛り上げている。

いろいろな場所にいろいろな格好で訪れたり、
ツッコミやリアクションをやや過剰に描くことで会話劇を盛り上げている。
本来原作では彼女たちが「落語」をやるパートはない。
しかし、アニメでは落語の落ちの部分だけを楽屋トークの
「枕」に持ってくることで、自然と楽屋トークに入り込むことができる。

この作品はあくまでも「ギャグアニメ」だ。
だからこそキャラクターのリアクションや反応の数々を
妥協のない作画とカット割りでコロコロと入れ替えることで、
画面に飽きが生まれない。

キャラクターの可愛さがあるからこそ、成立する毒のあるネタの数々、
その「可愛さ」を強調するようなシーンも多く、
この作品はやけに「肌色」が多くなっている。
それが決してセクシーにまでは至ってない、
裸のシーンや風呂、水着のシーンはあるもののエロスではなく、
あくまでも「可愛さ」にとどまっている。

キャラクターの可愛らしさ、ネタの毒、その絶妙なバランスを
「アニメ」という媒体での演出で彩っている。
シャフトの場合は癖が強いが、この作品はそこまで癖は強くない。
やってることは「さよなら絶望先生」とそこまで変わっていなのに、
作る制作会社、綴るキャラクターで印象が違う。

「ももいろクローバー」が歌うエンディングも毎回聞いてしまうほど
キャッチーで印象に残るものだ。

声優

ギャグアニメは演技力が問われる部分が以外にも大きい。
「声を張り」「叫ぶ」ようなツッコミやボケやリアクションが大きいからこそ、
中途半端な演技力の声優が演ずれば途端にギャグに冷めてしまう。

この作品の配役は非常に絶妙だ。
南條愛乃さんや後藤沙緒里さんなど実力も経験もある
声優さんを落ち着きのあるキャラに配役し、
逆にテンションの高いツッコミや、可愛らしいキャラに
当時はまだ新人だった「佐倉綾音」さんや 「 山本希望」さんや
「小岩井ことり」さんを配役している。

この新人と中堅の絶妙なバランスで5人を配役することによって、
「可愛らしさ」と「ギャグという笑い」が同居する
この作品の面白さにもつながっている。

総評:可愛い子には毒を吐かせよ

全体的に見て素晴らしいギャグアニメだ。
「落語家」な可愛らしい5人のキャラクターたちに、
落語は申し訳ない程度の「枕」として扱い、
原作「久米田康治」らしい時事ネタや毒のあるネタ、
シュールなネタまでもバランスよく描かれている。

一歩間違えば毒がありすぎて笑えない、
一歩間違えば萌えアニメになってしまう。
その一歩を踏み外さないからこその絶妙な面白さがこの作品にはあり、
やってることはほぼ毎話同じなのだが、飽きさせない絵作りと
テンポのいい楽屋トークを1話1話しっかりと楽しめる。

またOPやEDもセンスが良く、毎話飛ばさずに聴いてしまう。
「水島努」さんの監督としての実力を感じるほど、
この作品は「アニメ」としての面白さをしっかりと感じられる。
この手のギャグアニメや会話劇の場合はアニメーションとしての面白さは
二の次だったりするが、そこに妥協はない。

1度見ればクセになる、1度見れば忘れられない。
放送から10年以上たった今でも見た人の心に
残り続ける作品だ。

個人的な感想:海老蔵

先日、10年ぶりに「じょしらく」の話題がTwitterであがり
久しぶりに見返した作品だったが、色褪せない面白さがある。
「久米田康治」先生の場合は時事ネタも多く、
当時だからこそ通じるネタも多いのが特徴だ。

この作品でも「北朝鮮ネタ」や「海老蔵ネタ」や「原発ネタ」など、
今でもぎりぎり通じる時事ネタが多いものの、
危惧していたほど、この時事ネタが作品の足を引っ張っていなかったことを
10年以上たった今だからこそ実感できてしまった。

「さよなら絶望先生」とやってることは同じでも
描いている角度が違う作品なだけに、
「さよなら絶望先生」と合わせてご覧いただきたい作品だ。

「じょしらく」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください