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意図的作画崩壊?「こめかみっ!ガールズ」レビュー

1.0
こめかみっ!Girls 日常
画像引用元:© Komekami Girls Project
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この記事を書いた人

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話

TVアニメ『こめかみっ!Girls』ノンクレジットオープニングムービー | 悠佑(いれいす)「Get Set Go!」

あらすじ 「一粒のお米には七人の神様が宿る」という伝承を元に生まれたお米の神様の子ども「こめかみっ!ガールズ」七姉妹が活躍するお話です。。 引用- Wikipedia

意図的作画崩壊?

原作は大分県宇佐市が舞台の作品で、2011年から始動したプロジェクト。
お米のパッケージや4コマ漫画、ライトノベルなど、さまざまな展開がされてきた。
そんな地域PR色の強い作品が、2026年についにアニメ化された。

監督は鈴木鏡規謙、制作はデイリープランネット、まんがコンテンツ振興機構、SO-DOクリエイティブ。

コメの神

この作品に出てくる少女たちは、お米の神様の血筋の子どもだ。
そんな母が天上界に呼び戻され、地上界に戻れなくなってしまっている。
地上に残された子どもたちは、よくわからないが、
お米を使った料理でバトルしている。

1話で何の脈絡もなく炒飯バトルが始まったかと思えば、
敵は中華料理屋のコンロを使って炒飯を作ったため、無効試合になる。
なんなんだろうか、これは(苦笑)

この時点でかなりシュールだ。
真面目に世界観を説明する気があるのか、
それとも最初から勢いだけで押し切るつもりなのか、
作品の方向性がいまいち掴めない。

髪色以外の顔が全員ほぼ同じという、
平成初期を彷彿とさせる作画もどこか懐かしさを感じさせる。
それが意図的なレトロ感なのか、単純に作画の余裕がないだけなのか、
判断に困るところだ。

適当に7人の姉妹の紹介がされ、天上界に行ってしまった母の言いつけどおり、
お米を使ってみんなを笑顔にしようとしている。
一応、作品としての目的はある。
だが、その目的に向かうまでの過程があまりにも雑で、
視聴者の理解が追いつく前に、次の展開へ進んでしまう。

変身

主人公などが料理をする際に変身するシーンがあるのだが、
不自然なCGのせいもあって、ちょっとAIっぽさを強く感じてしまう。
変身バンクとしての気持ちよさや派手さがあるわけでもなく、
見ていて妙な違和感だけが残る。

特に面白みもないチャーハンを作る過程を丁寧に見せられても、
それが作品としての面白さに繋がるわけでもない。
出来上がったチャーハンも、正直あまり美味しそうには見えない。

料理アニメとして見るには料理描写が弱く、
女児向けアニメとして見るにはキャラクターやバトルの魅力が弱い。
地方PRアニメとして見るには、
お米の魅力よりも作品の粗さのほうが目立ってしまう。
この時点で、かなり厳しい。

シーンによって作画がガタッと崩れる場面もあり、
無駄に長回しなシーンもある。
かなりギリギリの作画だ。

それだけならまだ低予算アニメとして受け止められる部分もあるのだが、
口パクまでズレている。
映像とセリフが噛み合っていないせいで、
キャラクターが喋っているというより、
映像に音声を無理やり乗せているように見えてしまう。

1話30分の通常枠なのだが、前半が通常アニメパートで、
後半からは雑学パートだ(苦笑)
SDキャラクターを申し訳程度に動かして、
お米料理や米に関する雑学をダラダラとやっている。

5分アニメで十分な内容を15分に引き伸ばし、
さらに残りの15分を雑学コーナーで埋めているような構成だ。
実質10分か15分の短編アニメであり、
雑学コーナーを飛ばしながら見ても、何の問題もない。

むしろ、そのほうが作品としては見やすいかもしれない。

ガタガタ

2話以降はよりひどくなる。
キャラクターの「背中」や「引き」や「アップ」、
謎の構図で作画枚数をかなりごまかしており、
動かさないための工夫が露骨に見えてしまう。

枚数をごまかすだけならまだしも、
1枚絵としての作画のクオリティも、話が進めば進むほどひどくなっていく。
低予算なりに工夫しているというより、
もはや映像として成立させるだけで精一杯という印象だ。

1話ではちょっとした音ズレだったが、
2話以降は音ズレというより、
そもそも口の形と声優のセリフが合っていない。
見ていると不安になってくるレベルだ。

ガタガタな作画とズレまくりなセリフ、
そして荒唐無稽なストーリーが合わさることで、
作品全体が妙な不安定さを放っている。

2話では小さな子どもと出会い、
メインキャラの一人がドーナツを渡すと泣きだしてしまう。
そこに現れた敵キャラがメインキャラに
「子どものドーナツを奪った」と因縁をつける。

さらに、敵キャラの一人がメインキャラの推しにそっくりで戸惑うものの、
メインキャラの一人が力を使って撃退する。
そして実は子どもは小麦アレルギーで、
主人公は米粉のドーナツを作ることになる。

そうかと思えば、また敵キャラが現れてドーナツバトルが繰り出される。
展開そのものは一応「米粉の魅力」を伝えようとしているのだろう。
だが、そこに至るまでの話の運びがあまりにも唐突で、
感動するより先に、困惑のほうが勝ってしまう。

意図的?

2話中盤ではメタ的な会話が繰り広げられる。
あえて1枚絵のままで「諸事情により作画1枚でお送りしています」という
テロップが出たまま、
キャラクターたちが作画やオープニングが間に合っていないと
メタ的な会話を繰り広げている。

制作がまだ慣れていないという、
よくわからない言い訳も飛び出す始末だ。

これを本気でやっているならシンプルに酷い。
しかし、一周回って、もしかしてこれは「意図的」なのではないか?
という邪推すら生まれてくる。

1話から作画が悪く、音ズレも発生し、
2話以降は作画も音ズレもより酷いものになっていく。
低予算でスケジュールがきついという事情はあるのだろう。
おそらく、それは事実だ。

しかし、この作品はその状況を逆手に取ったのかもしれない。

どういうスケジュールと予算なのかはわからないが、
まともに1クールのアニメをやれるほどの予算とスケジュールがなかったのだろう。
なら中途半端に普通のアニメをやるより、
「あえて」作画崩壊をメタ的にいじることで、
話題性を狙ったのではないか。

作画崩壊というのは、良くも悪くも話題になる要素だ。
さらにそこに加えて、尺が余る、オープニングが間に合っていない、
制作現場が大変だという事情をキャラクターに語らせる。
そうすることで、炎上商法的なものを狙ったようにも見えてしまう。

監督のXアカウントでも制作事情を匂わせるようなことが多くつぶやかれており、
もしかしたらこれは狙っているのか?と感じてしまうところだ。

逆に狙っていないなら、シンプルに酷いとしか言いようがないが(苦笑)

右から左に

序盤こそ作画崩壊や音ズレ、メタ的な部分など、
ネタになる部分がある。
何だこのアニメは?という感覚があり、
ある意味では目が離せない。

しかし、中盤くらいになると、そこにも慣れてしまう。

そして慣れたからといって、面白くなるわけではない。
毎話の内容のシュールさもあいまって、内容が頭に入ってこない。
7姉妹それぞれを毎話掘り下げようとしているのはわかるが、
それすらも右から左へ流れていく。

行方不明の母の手がかりを求めて全国各地に赴き、
各地でのトラブルを解決したり、
敵である「おこげ」と料理バトルをしたりする。
構造だけ見れば、日曜朝の女児向けアニメっぽさはある。

だが、そうかと思えばメタネタなどの大人にしかわからないネタもある。
子ども向けなのか、大人向けのネタアニメなのか、
地方PRアニメなのか、料理アニメなのか。
そのどれにも振り切れていない。

結果として、どこを見ればいいのかわからない作品になっている。

終盤

終盤になると、敵である「おこげ」がボス的な存在に操られてしまう。
彼女を依り代にボス敵が復活し……と、終盤らしい展開になる。
一応は1クールで、ある程度区切りのあるストーリーが展開しており、
母親とも一時的に再会する。

いつでも「2期」ができるような余白のあるストーリーになっているが、
最後だけ綺麗に収められても、
序盤から中盤までのよくわからない展開の数々に振り回された末のラストであり、
どう受け止めてよいのか困ってしまう。

物語として最低限の着地はしている。
しかし、そこに至るまでの道筋がガタガタすぎる。
最後に少しだけ綺麗なことを言われても、
それまでに見せられたもののインパクトが強すぎて、
感動よりも困惑が残ってしまう。

どこをターゲット層にしているのかもはっきりせず、
炎上商法をしているのかどうかもはっきりしない。
この作品はいったいなんなんだろう……と、
最後まで感じてしまう作品だった。

総評:もしかして炎上商法?

全体的に見て、これを狙ってやっているのか、
そうではないのかの判断がつきかねる作品だった。

作画崩壊寸前の作画、口パクのズレ、
後半パートを雑学で埋める構成、
1話1話のツッコミどころのあるシュールな展開、
そして制作事情をネタにするメタ会話。

あえて「炎上商法」を狙ってやっているとすら感じる。

だが、その一方で、炎上商法は狙っておらず、
厳しいスケジュールや予算の結果として、
苦肉の策でこうなってしまったのかもしれないとも感じる。
ターゲット層の曖昧さも含めて、
このどっちつかずな感じが常につきまとう作品だ。

面白いか面白くないかで言えば、間違いなく後者だ。
しかし、いろいろな見方ができるという意味では楽しめた作品でもある。

低予算アニメの限界なのか、炎上商法の失敗例なのか。
どちらにせよ、この作品が米の魅力よりも
制作現場の限界を伝えてしまったことだけは間違いない。

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