評価 ★★★★☆(70点) 全13話
あらすじ キラキラしたものが好きな女子高生・谷川瑠璃は、雑貨屋で見かけた水晶の結晶に心を奪われ、かつて祖父が水晶を採取していた山へ向かう。 引用- Wikipedia
値千金の価値
原作は漫画な本作品。
監督は藤井慎吾 、制作はスタジオバインド
スタジオバインド
スタジオバインドという制作会社はいい意味で頭のおかしい制作会社である。
元々は無職転生を作るために作られた制作会社なのだが、
そんな制作会社のはずなのに、この作品は女体賛美なアニメを作る事に長けている(笑)
「お兄ちゃんはおしまい! 」は小学生のような未成熟な体を
フェチズム全開で描いており、この制作会社のヤバさが
露呈したが、この作品でもそんなこの制作会社のヤバさが全開になっている。
1話冒頭から可愛らしい女の子の可愛らしい動きがコミカルに描かれている。
今はやや失われてしまった感じがあるが、かつての動画工房で
描かれたあの「女の子」の可愛らしさを感じさせる動きだ。
アニメ的でコミカルな動き、現実ではあり得ない動きという
アニメーションだからこその動きの中の可愛さを見いだせる。
そんな可愛らしい女の子はキラキラしたものが大好きだ。
山でかつて祖父が見つけた水晶を探していると、
彼女は「スタイル抜群」の大学院生に出会うというところから物語が始まる。
ただ歩いてるだけなのに「おしり」の動きが繊細に描かれ、
胸はもう飛び出てるとしかいいようがないキャラデザになっている。
原作でもスタイルの抜群さは描かれているものの、
アニメではそれを「誇張」して描いている。
さりげない服のシワがムチムチ感を強調し、
より女体のフェチズムを強調させている。
鉱物
この作品は鉱物をテーマにした作品だ。
日常+趣味アニメはここ数年の流行りであり、この作品もそれの流行りの1つだ。
キラキラしたものが大好きな主人公と、鉱物学を専攻する大学院生 が出会い、
様々な鉱物を探し出す、そんなややマニアックな日常だ。
地上からは見えない鉱物たち、それを時には堀り、ときには掬う。
土の下に隠れた鉱物を見つけ出すという「ロマン」、
子供の頃に石にひかれた人は多いはずだ。
ツルツルとした石、色々なもの見える形の石、
何気ない道端の石を大切に蹴りながら帰った人も多いはずだ。
石、鉱物にはロマンがある。
そんなロマンを成長しても忘れずに追い求めているのが
この作品の主人公、そしてメインキャラクターたちだ。
主人公は大学院生のお姉さんに出会ったことで、
そんな鉱物の世界に取り込まれていく。
価値
鉱物の解説も作品のテイストとして必然的に多い。
身近な鉱物から知らない鉱物、ありとあらゆる鉱物が私たちのそばには有る。
2話で描かれる「黄鉄鉱」という鉱物は面白い。
見た目は金のようだが、金ではないものの自然にサイコロのような形になる。
様々な鉱物の成分、温度などでサイコロではなく違う形になることも有る。
そこには「価値」がある。
その「価値」はイコール、金銭的な価値ではない。
本来はその鉱物があるはずのない場所にその鉱物があったら、
ありえない形の鉱物があったら…鉱物学の世界において
それは値千金の価値になる。
金銭的な価値はわかりやすい指標だが、それ以外の価値が鉱物には有る。
やや説教臭い台詞回しや解説解説したセリフは多いものの、
「金に夢中」だった主人公が鉱物に夢中になっていく姿、
金銭的な価値ではない値千金の価値の魅力にハマる姿、
変化がきちんと描かれている。
そんな真面目な要素を描きつつも女体賛美は忘れない(笑)
ムチムチな大学院生に目が奪われがちだが、
主人公のスマートなボディもさりげなく、だが、確実に
こだわりまくって描かれており、ルームウェアで部屋にいる姿1つにしろ、
強烈なフェチズムを感じる。
探検
毎話、色々な鉱物を求めて色々な場所に行くのだが、
この毎話、ちょっとした冒険だ。
ガーネットを探したり、川で砂金を探したり、廃坑になった場所に行ってみたり。
本を読むだけでは、ネットで調べるだけではわからない、
現地に行くことで得られる発見と気付きの数々は冒険譚を観ているかのようだ。
人もろくにいない山道ばかりで危険は伴う趣味、研究だ。
だが、そんな冒険の末に見つかる鉱石の数々はまさにロマンの傑物だ。
誰もしらないけど、綺麗な石が取れる場所、
産地がわからない鉱物「サファイア」を目指す冒険が始まる。
地味な調査を積み重ね、砂を見続ける。
「石は動く」
長い年月をかけて石は少しずつ動き、鉱物は様々な形に変わる。
同じ分類の石でさえ、少し模様が違えば違う名前になる。
現実世界の日常ものなのに、まるで異世界のファンタジー冒険譚のような、
そんなロマンが鉱物というものには詰まっている。
そのロマンの裏には地味な積み重ねが必要だ。
その積み重ねを無視することはできない。
小さなミスすら許されない。
地味な積み重ねの果てに得られるロマン、
まるで長い年月をかけて出来上がる鉱物のように、
彼女たちが追い求めるものも積み重ねて得られるものだ。
そんなロマン、男性にとっては女体こそロマンである(笑)
水辺にありがちな鉱物、それゆえに少女たちは濡れる。
その一瞬の、濡れた足、濡れた衣服、濡れた髪、濡れた肌。
「濡れた女体」へのロマンも忘れない。
鉱物を探すというだけでは地味になりがちな部分を、
スタジオバインドらしい女性キャラの描き方、アニメーションで見せる
女体賛美が素晴らしいスパイスになっている。
理解
中盤からはメインキャラが一人追加される。
それまでは3人のメインキャラを中心に様々なロマンが描かれていたが、
中盤はそんなロマンを別角度で描いている。
鉱物に限らず、趣味というのは必ずしも万人受けするものではない。
理解されない、大衆的ではない趣味というのは多く存在する。
鉱物というのもそんなものの中の1つだ。
中盤から追加されるメインキャラ「瀬戸 硝子」は自分を隠している少女だ。
両親の期待に答えるように、真面目に勉学に励んでいる。
子供の頃から石が、鉱物が大好きなのに、それを理解してくれる人が
彼女の周囲にはいなかった。
だが、それでも彼女はひっそりと自らの趣味を続けている。
誰にも理解されず、それでも一人、鉱物の採集を続けている女の子だ。
そんな女の子が主人公や、大学院生に出会う。
まっすぐに自分の夢を好きなものをぶつけられる、
そんな存在に彼女は始めて出会う。
ときにロマンは理解されないものだ。
男性の女体に対するロマンも同じだ、大きなのが好きな人がいれば、
小さいのが好きな人も居る。
よき理解者にであうことで、そのロマンはより光を増し深みを増していく。
ムチムチ大学院生もいれば、眼鏡っ娘大学院生もいて、
ロリもいれば、ポニテ女子も居る。サブキャラにはギャルまで居る。
この作品には様々な女体という「ロマン」がつまりまくっている。
様々なロマン、そんなロマンはひとりひとり違う。
みんな違ってみんないい、そんなメッセージすら感じさせてくれる。
映像
キャラクターの表現だけでなく、背景の描写も秀逸だ。
特に印象的なのは「川」の描写だ。
鉱物というものを扱う上で山や川が多く登場するからこそ、
その描写にかなり力を入れており、特に川の印象は凄まじい。
水面の描写、その水面に反射する光が映るキャラクターたち、
鉱石が沈む川底の描写は幻想的であり、
リアルな川の描写でありつつも同時にアニメ的な幻想的な描写を含んでいる。
この絶妙なバランス、アニメという媒体だからこそ許される
本当と嘘が入り混じった描写がより、この作品の世界観を強めてくれる。
鉱石の数々に関しても大量に、都合よく見つかるのはご都合主義といえる。
だが、それはアニメだからこそ許されるご都合主義だ。
鉱物という地味になりがちな要素を最初から最後まで真面目に描きつつも、
アニメ的な嘘という名の虚像、ロマンを盛り込み、
それが鉱物というロマンと上手く噛み合った作品だった。
総評:そこには女体という名の宝石があった
全体的にみて素晴らしい作品だ。
少ないメインキャラクターの特徴を最大限活かした描写の数々は
スタジオバインドという「変態的」な制作会社らしいものになっており、
一瞬の描写にロマンを詰め込みまくっている。
鉱物という色々な価値を持つもの、その価値を色々な角度で描きつつ、
キャラクターたちの価値観の変化をも描くストーリーは素晴らしいものの、
それは同時に地味になりがちな要素だ。
そこは丁寧に、真面目に描きつつ、それを飽きさせないアニメーションの描写が
上手く相互作用しており、1クール飽きさせない作品になっている。
日常アニメというのは絵面的に地味になりがちだ。
それをアニメーションとして最大限映えさせる構図や演出、撮影、
すべてが素晴らしく、アニメーションとしてみていてシンプルに面白い。
日常アニメでありながら冒険ファンタジーでも観ているかのような
そんな錯覚を感じさせてくれる素晴らしい作品だった。
個人的な感想:表裏一体のロマン
個人的には鉱物というロマンと女体というロマン、
これが表裏一体、比喩的に描かれているようにも感じる描写が
凄まじく刺さった。
話題になった作品ではあるものの原作ストック的に
すぐに2期というのは難しいものの、1期だけでも完成された作品だ。
色々なロマン、値千金の価値を感じさせてくれる
作品だった。



